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掛布監督いわく「そういうメンバーの中に入った」榎田大樹投手《8/30 阪神ファーム》

岡本育子フリーアナウンサー、フリーライター
8月30日のウエスタン中日戦(ナゴヤ)で5回を投げ1失点だった榎田投手。

 8月30日、いっそう日差しが強烈になったナゴヤ球場で行われた中日戦は、終盤に1対1と追いつきながら勝ち越しを許して敗戦。その結果、試合のなかった広島を抜いて中日がウエスタン・リーグ首位に立ちました。そして31日はナゴヤドームで朝10時20分開始の“モーニングゲーム”を行い、7対6 (7回規定によりコールド) と1点差で負け。これで首位・中日と2位・広島の差は0.5ゲームになっています。阪神はこの3連戦、結局3連敗…ですね。

 また、30日に植田海選手が1軍昇格!ナイターのヤクルト戦 (甲子園) は代走で出場し、大山選手の犠牲フライで貴重な同点のホームを踏みましたね。スポーツ新聞にも写真つきで出ていて、小虎ファンの皆様も大喜びです。お母さんはやはり急すぎて、昨夜はテレビ観戦だったとか。海選手らしい仕事で、よかったですね。次は生でぜひ!

 その植田選手について話した掛布監督のコメントや、残念ながら左わき腹の張りで名古屋から帰った原口文仁選手のことは、きのうの記事でご覧ください。→<両者わずか3安打ずつの戦い 内野ゴロで敗れる>

 では、30日の試合詳細とコメントをご紹介しましょう。

《ウエスタン公式戦》8月30日

中日-阪神 21回戦 (ナゴヤ)

 阪神 000 000 100 = 1

 中日 010 000 02X = 3

 

◆バッテリー

【阪神】榎田-福永-●高宮(2敗) / 小豆畑

【中日】若松(6回2/3)-小川(1回)-○浅尾(3勝1敗13S)(1/3回)-S福谷(2敗8S)(1回) / 杉山

◆三塁打 阿部、緒方

◆二塁打 杉山

◆打撃   (打-安-点/振-球/盗/失) 打率

1]中:江越  (4-0-0 / 0-0 / 0 / 0) .140

2]右:高山  (4-1-0 / 1-0 / 0 / 0) .319

3]一:キャン (3-1-0 / 1-1 / 0 / 1) .297

4]三:陽川  (4-0-0 / 1-0 / 0 / 0) .264

5]二:今成  (4-0-0 / 1-0 / 0 / 0) .228

6]指:新井  (4-2-0 / 0-0 / 0 / 0) .287

7]左:緒方  (3-1-1 / 0-0 / 0 / 0) .241

8]捕:小豆畑 (3-1-0 / 2-0 / 0 / 0) .204

9]遊:荒木  (3-0-0 / 1-0 / 0 / 0) .208

◆投手 (安-振-球/失-自/防御率) 最速キロ

榎田 5回 69球 (4-5-0 / 1-1 / 3.31) 141

福永 2回 43球 (2-1-1 / 0-0 / 3.17) 148

高宮 1回 16球 (2-0-1 / 2-1 / 5.12) 139

《試合経過》  ※継承略

原口選手が帰阪し、スタメンはこうなりました。
原口選手が帰阪し、スタメンはこうなりました。
先発は榎田投手。5回69球、無四球です。
先発は榎田投手。5回69球、無四球です。

 三者凡退で立ち上がった阪神先発の榎田。2回も4番・赤坂、5番石垣を内野ゴロで簡単に2死とします。ところが6番・阿部の放った大きな飛球を、センターの高山が完全に見失った模様。あわててバックするも届かず、なんと三塁打としてしまいました。続く杉山に初球を左前打された榎田。その杉山は自身の牽制で刺しますが、先に1点を失っています。

 3回は三者凡退、4回は先頭の三ツ俣に唆前打されながらも後続を立って (遊ゴロ併殺崩れが2つ続き、最後は石垣をチェンジアップで空振り三振!) 無失点。5回は1死から杉山に左中間二塁打されますが、あとはファウルフライ2つで、追加点を与えず交代しました。

 打線は1回に高山とキャンベルの連打で1死一、二塁のチャンスがあったものの無得点。2回、3回、4回と若松の前に三者凡退という攻撃です。ようやく5回に新井が左前打、でも1死後に盗塁を刺され2死となってから小豆畑に中前打…。荒木は三振で得点なしと、うまく噛み合いません。6回は2死からキャンベルが四球を選んだだけです。

2人目は福永投手。2イニングずつの連投も何のその!
2人目は福永投手。2イニングずつの連投も何のその!
8回は高宮投手。残念ながら勝ち越しを許してしまいました…。
8回は高宮投手。残念ながら勝ち越しを許してしまいました…。

 その裏から、阪神は連投の福永が登板。6回は2死を取ってから3番・近藤に中前打され、続く赤坂はサード内野安打(陽川がダッシュして捕り一塁へ送球、それを見た近藤が三塁へ!しかし三塁は無人…)で一、三塁となりますが、石垣をスライダーで空振り三振に仕留め終了。7回は1四球のみで抑え、前日と同じく2イニングを投げて無失点でした。

 すると7回、打線は1死から新井が左前打し、続く緒方が左中間オーバーのタイムリー三塁打!やっと追いつきました。ただし後続の小豆畑は見逃し三振、投手が小川に代わって新木は遊ゴロで同点止まり。8回も三者凡退です。

その裏に登板した高宮は、先頭の友永に四球を与え、犠打で二塁へ。近藤の左前打で1死一、三塁として赤坂に勝ち越しの左前タイムリーを浴びました。なおも1死一、二塁。次の石垣は三ゴロで5-4-3の併殺!と思ったら…今成の送球をキャンベルが捕れず(記録はキャンベルのエラー)、もう1点。これで3対1となります。9回は福谷の前に三者凡退で試合終了。

榎田投手、雌伏の時をプラスに

 試合後、掛布雅之監督は「榎田はいい形だったね。“そういうメンバー”の中に入ったと思う。上に推薦できる」と、榎田投手が1軍の先発枠に推せる段階へ来たと話しています。そのあと、2回に高山選手が打球を見失ったこと (記録は阿部選手の三塁打) に言及。「高山自身が捕らないといけないプレー。ピッチャーのリズムを崩すとともに、あの失点が勝負を分けることになる。1点勝負でいっているわけだから」

8月19日の新潟三条にて。始球式で三塁へ投げてしまった子に「前へ」と榎田投手。
8月19日の新潟三条にて。始球式で三塁へ投げてしまった子に「前へ」と榎田投手。
今度はバッターの方へ投げました。おお~ナイスボール!
今度はバッターの方へ投げました。おお~ナイスボール!
審判の方と一緒に思わず笑う榎田投手。お疲れ様でした。
審判の方と一緒に思わず笑う榎田投手。お疲れ様でした。

 さらに「高宮は経験豊富なピッチャーなのに、先頭へフォアボールを出して。しかも左バッターに。そりゃ失点につながるよ。きょうは負けるべくして負けたゲーム。2回に高山がボールを見失うミス。準備しておかなかったのはミスと言っていいでしょ。それとキャンベルのエラーに高宮と。してはいけないことをしたからね」。なかなか厳しい言葉が続きました。

 でも「そんな中で5回1失点。バランスいいピッチングだった」という評価をもらった榎田大樹投手。本人は「悪くはなかったです。バランスよく、しっかり投げられました。いい形で来られているかなと思う」と話しています。掛布監督の言葉に「チャンスがあるのかないのか、わからないですね。あるならもっと早くにあったのかな。自分はしっかり結果を残すだけです」と淡々。

 ずっと好投していたのに呼ばれなかった…。「いろいろ試しながら先発で投げたりしてきたので、そういう意味ではプラスの時間だったと思います。中継ぎでは丁寧にいきすぎていたけど、先発だと大胆に投げられているかも」。そういう時間で得たすべてのことを、1軍で出せる日も近い?期待が高まりますね。

 

急きょスタメン、応えた緒方選手

 

 ちなみにこの日、植田選手がいないことは最初からわかっていて、練習メニューにも名前はありませんでした。でも原口選手はこの日も5番・ファーストで先発出場予定だったので、離脱が確定したあと掛布監督やコーチ陣の動きは慌ただしかったですね。

練習中にメンバー変更を検討する掛布監督(左)と山田コーチ(右)、藤本コーチ(中)
練習中にメンバー変更を検討する掛布監督(左)と山田コーチ(右)、藤本コーチ(中)
その後、急きょスタメンを告げられた緒方選手。
その後、急きょスタメンを告げられた緒方選手。

 キャンベル選手がレフトからファーストへと変わり、新たに緒方選手がレフトに入りました。急きょ先発を告げられた緒方選手はバッティングを終えてから走塁、守備と、おそらく“早送り”でこなしたはずです。筒井コーチに「巻きでやらないと全部終わらんよ」と言われながら。

 そして7回にタイムリー三塁打!チーム唯一の打点をあげ、掛布監督が「一時期に比べて状態がよくなってきている」と振り返った緒方凌介選手。試合後は「結果を出すしかないので、必死でやっています」と短く語っただけでした。きょう31日も3番ライトでフル出場し、2安打3打点の活躍です。

One for all , All for one の精神

 最後に、連投で2イニングを投げた福永春吾投手。前日に課題として挙げていた『3球で1-2のカウントにする』という点は「できたところもあるし、できなかったところもあります」とのこと。

 また6回2死一塁で赤坂選手のサード内野安打で走者を三塁へ進めた場面について聞くと「僕がカバーに行かなあかんかったと思います。一塁への送球を見てしまっていて…。もっと広く見られるようにします!」と反省&誓いの言葉。

 なお、このシーンのことを藤本敦士守備走塁コーチに聞いたところ「本来はショートが三塁に入るべきです。ただ荒木は『ぶつかりそうになってバランスを崩し、そのため間に合わなかった』と。ゲームは練習と違って、何が起こるかわからないので基本通りにはいきません。ただ、その前に声掛けがきちんとできていたかどうかですね」と説明がありました。

 つまり何かが起きることを想定し、事前に打ち合わせをしておけば防げたかもしれない、ということでしょうか。逆に、高山選手のミスについては筒井壮守備走塁コーチが「試合前に何度も確認したことだから、あれは言い訳のしようがないですね…」と。掛布監督いわく “負けるべくして負けたゲーム” の中から学んだことを、必ず次に生かしてくれると信じています!

      <掲載写真は筆者撮影>

フリーアナウンサー、フリーライター

兵庫県加古川市出身。MBSラジオのプロ野球ナイター中継や『太田幸司のスポーツナウ』など、スポーツ番組にレギュラー出演したことが縁で阪神タイガースと関わって約40年。GAORAのウエスタンリーグ中継では実況にも挑戦。それからタイガースのファームを取材するようになり、はや30年が経ちました。2005年からスポニチのウェブサイトで連載していた『岡本育子の小虎日記』を新装開店。「ファームの母」と言われて数十年、母ではもう厚かましい年齢になってしまいましたが…1軍で活躍する選手の“小虎時代”や、これから1軍を目指す若虎、さらには退団後の元小虎たちの近況などもお伝えします。まだまだ母のつもりで!

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