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保育士が保護者対応で困ったときに大切な考え方~元男性保育士が考える【保育士の考え方のヒント】

hirofuminice元保育士Webライター

保育士の皆さん、毎日のお仕事お疲れさまです。

保育士の数多い仕事の中でも、保護者対応は大切な業務の1つ。

保護者にもいろいろな人がいるので接しやすい人もいれば苦手な人がいることもありますが、どの保護者にも公平で平等に接しなくてはいけません。

保護者の中にはかわいい我が子を預かって保育している園や保育士に対して感謝の気持ちをもち、協力的な人がたくさんいます。しかし、あまり協力的ではない人、自分本位の考え方を押し付ける人、上から目線で保育士を下に見る人、ちょっとしたことでクレームを言ってくる人など対応に困る保護者もいるでしょう。

対応に困る保護者がいたために物事がスムーズに進まなかったり、対応に時間を取られたりして苦労した経験がある保育士は多いと思います。そこで今回は、保育士が保護者対応に困ったときの考え方のヒントをお伝えします。

保護者対応をテーマに書こうと思った理由

今回、保護者対応をテーマに記事を書こうと思ったきっかけは、SNSです。SNSでは保育関係の仕事をしている人とのつながりが多く、相互フォローをしていなくても保育関連の投稿がたくさん流れてきます。その中で、保護者の悪口を書いている保育士さんの投稿を目にする機会がたくさんありました。

僕が読んだ投稿の主な容は、次の3つです。

  1. 仕事が休みなのに園に預ける。預けるだけではなく、延長保育をしていつもと同じ時間に迎えに来る。
  2. 体調が悪いのに登園させる。
  3. お願いしたことを全然守らない。わかっていない。

僕も長年保育士として働いた経験があるので、本当にたくさんの保護者の方と出会いました。僕も同じような保護者の方がいた経験があるので、投稿している保育士さんの気持ちはよくわかります。保護者に直接言えないのでストレスが溜まって吐き出し口としてSNSに投稿するしかないのかなと感じますが、同時にとても悲しい気持ちにもなりました。

過激な表現で書いている人が多く、ポストに対して同じように感じている人が共感したリプや“いいね“がたくさんついていることも多いです。しかし、誰が誰に向けて書いているかはわからなくても、これを読んだ人の中にはよい気持ちはしない人も多いでしょう。実際に同じ保育士の人からポストの内容を批判する声が挙がり、ポストした人と批判する人とでやり合うような場面を見たこともあります。同じ保育士同士でやり合うのも、SNSがきっかけで保育士によくないイメージをもつ人が出てくるのも悲しいです。

保護者の悪口を投稿している保育士さん達は、投稿せざるを得ないほど大変な思いをしているのでしょう。SNSに投稿することで気持ちがスッキリして次の日もまた明るく頑張れているなら、どんどん投稿するとよいと思います。しかし、投稿して気持ちがスッキリしたとしても、現状は変わらないのではないでしょうか。

そこで、何かヒントにしてもらえるようなことが提案できないかと考えたのが、この記事を書くきっかけです。

保護者に対する考え方や対処法

ただでさえ多くの仕事量をこなし、過酷な労働条件で働いている保育士も多いので、保護者が協力的だと本当に助かります。しかし、いろいろな子どもがいるように、保護者にもいろいろな人がいるのは当然です。保育士さん達は、いろいろな子ども達と関わりながら子ども一人ひとりに寄り添った温かい援助や配慮をしていると思います。保護者にも子どもと同じような気持ちをもち、同じような温かい目線で見ることができれば、保育士自身が楽になれるのではないでしょうか。

主に投稿されている3つの内容それぞれについて、考え方や対処法を紹介します。少しでも参考になれば幸いです。

仕事が休みなのに園に預ける保護者

仕事が休みの日は、一緒に休ませる人や登園しても早めに迎えに来る保護者もいるので、普段どおりに預ける人にも「同じように休ませてほしい」「休ませるべきだ」と思うから頭にくるのでしょう。限られた人数の保育士で行っている延長保育は、人数が少なければ危険のリスクが下がったり早めに1人抜けて別の仕事ができたりするので、休みなら早く迎えに来てほしいと思うのも無理はありません。休みの日に預ける保護者に限って悪びれず、当然のような態度だったりするので余計に腹が立つこともあるでしょう。

しかし、保護者は園に子どもを預けたおかげで休みを満喫してリフレッシュでき、迎えに来た後はいつもよりも子どもに温かく接することができるかもしれません。子どもも、園でたくさん遊んで楽しく過ごし、帰ったらいつもよりお父さんやお母さんが優しくて嬉しい気持ちになっていることもあるでしょう。そう考えたら、預かってよかったと思えるのではないでしょうか。

体調が悪いのに休ませない保護者

保育士さんの中には、ギリギリの人数で保育しているため自分が休んだら迷惑がかかると思い、少し無理をして出勤したり休みづらく感じたりしている人もいると思いますが、保護者も同様です。本当は仕事を休んで子どもを休ませて家で様子を見たいけど、どうしても仕事が休めなかったり休みづらかったりしてやむを得ず登園させている人もいます。

しかし、子どもの体調が悪い場合は、休ませてもらうのが1番よいことは明らかです。ただの風邪ではなく感染症だったとしたら園児本人も大変ですが、集団生活の場である園内に感染症が流行ってしまうことになるので登園は避けてもらうことが望ましいです。朝は大したことがなかったのに、登園してから急激に高熱になるなど体調が悪化することもあるので保護者に理解を求めましょう。

保護者の事情は理解しつつも、園として「休ませたほうがよい」「休んでほしい」という園の事情を伝えることも必要です。もちろん無理強いはできませんが、理解を求めていくことは大切だと思います。担任から言いにくければ、主任や園長など上の人から言ってもらうのも1つの方法です。

お願いしたことを守らない保護者

園から保護者にお願いして協力を求めることが、たくさんあります。おたより、連絡帳、メール、口頭などいろいろな伝え方がありますが、守ってもらえなかったりわかってもらえなかったりすることは多いでしょう。

おたよりに書いたり連絡帳に書いたり、直接口頭でも伝えたりして何回も伝えているのに守ってもらえなければ保育士はお手上げだという気持ちになります。しかし、伝えなければいけないことや理解してもらいたいことは根気よく何度でも伝え続けていくことも必要です。

子ども達も1度言ってすぐに理解してできる子と、何度言ってもなかなかできない子がいますが、子どもには根気強く指導や援助をしたり配慮や工夫をしたりしていると思います。保護者も子どもと同じように、何度言ってもわからない保護者には対応を工夫したり援助をしたりしましょう。たとえば、何度言っても持ち物を準備してくれない保護者がいれば園で準備したり、提出日を守らない人には前日に念押ししたりするなどの方法です。仕事が増えたり手間がかかったりしますが、「また守ってくれなかった!」ってガッカリしたり怒りが湧いてきたりするよりはよいのではないでしょうか。それが当たり前になってますます何もしない保護者もいるでしょう。しかし、もしかしたら「先生にやってもらうのは申し訳ない」と感じて、やるようになる保護者もいるかもしれません。

保護者は、信頼している保育士の言うことなら耳を傾けると思います。日頃の保育をしっかりとやることで子どもが園生活や担任を大好きになり、毎日生き生きと登園し、保護者に園での話を楽しそうにすれば、保護者は担任を信頼して言われたことを守ろうとするかもしれません。

まとめ

保護者対応について偉そうに書きましたが、自分自身の経験の中で感じたことや心掛けていたことです。「理想論だ」とか「そんなのとっくにやってる」「そんなことでうまくいくわけない」など、いろいろな感想があると思います。しかし、少しでも「なるほど、やってみようかな」と参考にしてもらえたりヒントになったりすることがあれば嬉しいです。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

元保育士Webライター

元保育士で、現在はフリーランスとしてWebライターのほか、リトミックや親子遊びの指導など幅広く活動しています。保育士やリトミック指導のスキルや知識、父親としての子育て経験を基に、子育てや保育に関する情報を発信していきます。

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