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ルーキーの湯浅京己投手がフリー打撃初登板《阪神・安芸キャンプ》

岡本育子フリーアナウンサー、フリーライター
安芸キャンプで初の打撃投手を務めたルーキー・湯浅投手。緊張の登板前です。

 きょう16日、阪神タイガースの安芸キャンプでは西武B班(ファーム)との練習試合が行われます。11日の四国銀行戦は雨天中止だったのと、人数の関係で紅白戦もできない安芸組にとっては今季初実戦。朝から青空も覗き、練習は安芸ドームで行ったものの、試合前のシートノックもメイングラウンドで実施されています。

 スタメンはこちら→1(中)荒木、2(二)熊谷、3(右)伊藤隼、4(左)陽川、5(一)山崎、6(指)小宮山、7(遊)森越、8(捕)片山、9(三)藤谷

また投手陣は先発が岩田で2イニング、以降は岡本、谷川、歳内、福永、尾仲、石崎という順です。

15日のフリー&シート打撃

 安芸キャンプ第4クール・2日目の15日は朝から小雨がパラパラして、お天気のレーダーを見ても雨雲は見あたらないのに午前11時頃から本格的に降りました。日差しがないままだったので気温が低く、チームや安芸市の皆さんは「今キャンプ一番の寒さ」と震え上がるほどでした。そんな中、もしかして延期になるかも…と案じた“初登板”は無事に行われています。

 まずルーキー・湯浅京己投手がフリーバッティングに登板、続いて高橋聡文投手、呂彦青投手、高橋遥人投手の3人がシートバッティングで投げました。冷たい雨が降ったり止んだりという悪コンディションではあったものの、それぞれ一歩前進で何よりですね。

 では内容からご紹介しましょう。最初にフリーバッティングの湯浅投手です。

◆湯浅

 10分間 打者9人(伊藤隼、小宮山、片山で3巡)

 真っすぐのみ42球(ストライク19、ボール23)

 安打性 3本(小宮山・中前打、伊藤隼・右前打、伊藤隼・左前打)

 次にシートバッティング、3投手ともシート打撃は初登板で、高橋聡投手は打者に投げるのも今季初でした。

シート打撃で投げる高橋聡投手。
シート打撃で投げる高橋聡投手。

◆高橋聡

打者5人 27球 安打1

【山崎】遊飛

【陽川】遊ゴロ

【熊谷】四球

【小幡】四球

【俊介】左越え二塁打

◆呂

シート初登板の呂投手。
シート初登板の呂投手。

打者8人 31球 安打2

【陽川】 空振り三振

【藤谷】 左翼線二塁打

【森越】 二飛

【荒木】 四球

【伊藤隼】見逃し三振

【陽川】 中飛

【藤谷】 左越え二塁打

【森越】 左飛

◆高橋遙

高橋遥投手もシート初登板です。
高橋遥投手もシート初登板です。

打者7人 33球 安打2

【荒木】見逃し三振

【伊藤隼】二ゴロ

【陽川】中越え二塁打

【藤谷】二ゴロ

【森越】四球

【荒木】二ゴロ

【伊藤隼】中前打

まだ焦らすなよ~と平田監督

 練習後の平田監督の談話をまとめてご紹介します。まず湯浅投手の初BPについて「ちょっとバラつきはあったけど。初めてで、ちょっと力んだりしたと思う。ケージが気になったりね。これからだよ。徐々に。でもいいね!力のある真っすぐを投げるし」と、今後に向けて期待を込めた言葉でした。

 フリー、シート通じて初登板だった高橋聡投手は「フリーよりシートで初めて投げてね。ことしはシェイプアップして、体のキレを感じているんじゃない?きょうは寒くて冷えたけど、上がってくると思うよ」と、何ら心配はないという様子。

シート打撃が終わったメイングラウンド。かなり水が浮いていました。
シート打撃が終わったメイングラウンド。かなり水が浮いていました。

 次に、10日のフリー打撃に続いて、この日は初のシート打撃登板だった高橋遙投手に「きょうはツーシームもスライダーも投げてたね。首を振って実戦さながらに自分で考えて投げていた。そりゃあ“はまった”時のボールはね!ブルペンでも、ちょっと違うどころじゃない。間違いなく戦力になるから!」と平田監督は話しています。

 ゲームはいつ?「シートをクリアしたわけなので。まあ、そう焦らすなよ~(笑)。きょう投げた結果を踏まえて、最終クールにどうなるかってとこじゃない?」。もう一度シートで投げそうですが、順調にいけば今キャンプ中にゲーム登板の可能性もあるかな、というところ。でも焦らずに、ですね。秋山投手のゲームも、藤本トレーナーいわく「今クールの様子をみて」とのことでした。

 ではここで高橋遥投手のコメントをひとことだけ。「感覚はよくなっています。この前のフリー打撃より真っすぐがよかった。まだ上がると思うので、しっかりやっていきたい」

「ちょっと力んだ部分がありました」

マウンドへ上がる前に投球練習場で投げる湯浅投手。ちょっと緊張気味?
マウンドへ上がる前に投球練習場で投げる湯浅投手。ちょっと緊張気味?

 ついで、湯浅投手の話をご紹介しましょう。初めてのBPについて「ことしに入ってから初めてバッターに投げたので、ちょっと力んだ部分はありました。ブルペンで、ことし一番よかったと思うんですけど、逆にネットがあって投げ辛かったり、ちょっと力んだ部分がありました」というのが初BPの感想。そして「本当にブルペンでは、ことし一番いいんじゃないかなと思ったんですよ、感覚的に」と繰り返します。

 バッター相手に投げて大きく前進したのでは?「そうですね。キャンプに入って球数も増やしてきたので。第4クール目ですか?ここでバッターに対して投げられたことはよかったと思います」。きょうは真っすぐだけ?「はい」。それはコーチの指示で?自分で?「変化球を投げていいよと言われていたんですけど、自分の中できょうは真っすぐだけ投げたいなという感じでした」

安藤投手コーチ(左)に見守られながらフリー打撃登板。右のネットが曲者でした。
安藤投手コーチ(左)に見守られながらフリー打撃登板。右のネットが曲者でした。

 それから再びネットの話になりました。「ネットが…そこが…。僕はプレートの一塁側から投げるので、L字型になっているネットの側で。絶対に当たらないとわかっていても、投げていると視界に入ってくるから、怖いと思っちゃうんで」。よほど投げにくかったんでしょうね。

 早くシート打撃に投げたい?と聞かれ「実戦形式でバッターと勝負というか、投げてみたいですね」と湯浅投手。いつごろでしょうね。「順調にいけば、もうすぐかな?」。少し笑顔も見えました。今週末にはご家族も見に来られるとか。本人にもご家族にも楽しみなブルペンになりますね。

まぐれだけど(笑)見事な2安打

 最後に、16日の西武B班(ファーム)との練習試合について平田監督に聞いています。藤原崇起オーナーが初めて視察に来られる件で「若い子も中堅も、スタメンも後からから行くのも、みんな意識してやらないとね。キャンプの御前試合で、しかも第1戦だから力が入る。それで当然。いい意味で緊張感がないと」と言い、続けて「勝ち負けより、テーマを大事に。いろんな立場の選手がいるから」と試合の意味を語りました。

 ルーキー小幡竜平選手については「途中から行くよ」とのこと。足も見せてほしいところですが、盗塁のサインは?「フリーで!まだ出さないよ、サインは」。

藤谷選手(右)最初の二塁打のあと「先っぽですよね?」と陽川選手(左)に確認中、でしょうか。
藤谷選手(右)最初の二塁打のあと「先っぽですよね?」と陽川選手(左)に確認中、でしょうか。

 ところで、15日のシート打撃で藤谷洸介選手が左越え二塁打を2本放ちました。「まぐれやけどね(笑)。まぐれでもよかったやん。あしたスタメンだよ。しょうがない、2本打っちゃったもん」と言って、またニヤリと笑う平田監督。「やっぱり福留や糸井とは意味が違う。こうやって打つとスタメンで使ってみたくなる。結果もだけど姿勢も。スタメンで行こうや!という気持ちにさせる。3ケタの選手やで。3月に近づいて落ちてくる選手がいたら、いよいよ出番がなくなるわけで。使おうかという気にさせないとダメたよね」

 4番は?「陽川。他にいないだろう?さすがに藤谷は(笑)。2本打ったから4番ってわけにはなあ。ガハハ!!」。大きな声で笑ったあと、真顔になって「でも見事な2本やで!ほんま」と締めくくった平田監督です。

2本目の二塁打のあとは伊藤隼選手に何か声をかけられていました。
2本目の二塁打のあとは伊藤隼選手に何か声をかけられていました。

 というわけで、藤谷選手のコメントも。2打席連続の二塁打に「1打席目は先っぽで、2打席目は詰まった」と言います。「ちゃんと仕留められるようにしないと。特に1打席目はノースリーだったのに」。なるほど、そこが悔しいんですね。「今やっていることは出せたから、それはよかったけど、仕留められなかったのでまだまだです」

 2打席目、詰まっていなかったらホームランだったかも?と言ったら「でも結果は詰まっているんでね」と、あくまで反省を繰り返す藤谷選手。とにかく体が一段と大きくなって、でも「体脂肪はひとケタやと書いといてくださいよ!」とのこと。練習中のサク越えがどんどん増えてくるのを楽しみにしています。

    <掲載写真は筆者撮影>

フリーアナウンサー、フリーライター

兵庫県加古川市出身。MBSラジオのプロ野球ナイター中継や『太田幸司のスポーツナウ』など、スポーツ番組にレギュラー出演したことが縁で阪神タイガースと関わって約40年。GAORAのウエスタンリーグ中継では実況にも挑戦。それからタイガースのファームを取材するようになり、はや30年が経ちました。2005年からスポニチのウェブサイトで連載していた『岡本育子の小虎日記』を新装開店。「ファームの母」と言われて数十年、母ではもう厚かましい年齢になってしまいましたが…1軍で活躍する選手の“小虎時代”や、これから1軍を目指す若虎、さらには退団後の元小虎たちの近況などもお伝えします。まだまだ母のつもりで!

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