ジラルディとマッドンに続き、またしても「ワールドシリーズ優勝監督」が解雇される!?
6月11日、シカゴ・ホワイトソックスの本拠地、ギャランティード・レイト・フィールドで、10回表に「ファイヤー・トニー」の合唱が起きた。
5回裏を終え、ホワイトソックスは7対4とリードしていたが、同点に追いつかれた。そして、10回表に4点を取られ、その裏に2点を返したものの、9対11で敗れた。観客がトニー・ラルーサ監督の解雇を求める声を上げたのは、7対7から7対9となった直後だ。
前々日の試合で、ラルーサ監督はカウント1-2から敬遠四球を申告した。結果は裏目に出て、次の打者にホームランを打たれた(「2ストライクから申告敬遠で歩かせ、次の打者にホームランを打たれる。これは采配ミスなのか」)。
6月12日の黒星を含め、ホワイトソックスは27勝31敗。地区3位に位置し、首位のミネソタ・ツインズに6ゲーム差をつけられている。
今月に入り、それぞれ、フィラデルフィア・フィリーズとロサンゼルス・エンジェルスの監督だったジョー・ジラルディとジョー・マッドンは、相次いで解雇された。両チームとも、再建中ではなく、今秋のポストシーズン進出をめざしながら、負け越していた。この点は、ホワイトソックスも共通する。
監督としての実績は、ラルーサが2人を凌ぐ。例えば、ジラルディとマッドンのワールドシリーズ優勝は1度ずつ。2009年のニューヨーク・ヤンキースと、2016年のシカゴ・カブスだ。一方、ラルーサは、オークランド・アスレティックスで1度(1989年)、セントルイス・カーディナルスで2度(2006年、2011年)、ワールドシリーズを制している。また、ラルーサは、殿堂監督でもある。
だが、実績と解雇は別の話だ。ちなみに、現在の年齢は、ジラルディが57歳、マッドンが68歳、ラルーサは77歳。現監督のなかに、75歳以上は他にいない。
もっとも、実際にラルーサが解雇されるかどうかは、まだわからない。そうはならないような気もする。ラルーサとオーナーのジェリー・ラインズドルフは、つながりが深い。
ラルーサは、2011年のワールドシリーズ優勝を最後に、ユニフォームを脱いだ。9シーズンのブランクを経て、2020年のオフにホワイトソックスの監督に就任したのは、ラインズドルフの意向によるものだろう。ラルーサは、アスレティックスの前にホワイトソックスで采配を振っていた。MLB.comのスコット・マーキンが2014年の夏に発表した記事のなかで、ラインズドルフは当時のラルーサとの関係を「兄弟のようになっていった」と描写し、GMの意見を受け入れ、1986年6月にラルーサを解雇したことについては「最も悔やまれる」と振り返っている。