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この試合は9回裏に「ピッチ・クロック」を使用せず。サヨナラの場面が時間超過で終わるのを防ぐため!?

宇根夏樹ベースボール・ライター
ピッチ・クロック Mar 1, 2023(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 2月28日、ボルティモア・オリオールズとピッツバーグ・パイレーツが対戦した試合は、9回裏にピッチ・クロックを作動させなかった。

 数日前、ボストン・レッドソックスとアトランタ・ブレーブスの試合では、こんなことが起きた。9回裏、2死満塁のフルカウントから、投手が投げる前にピッチ・クロックが3アウト目を記録した。打席にいた選手が8秒以内に構えず、オートマティック・ストライクを宣告され、三振で試合終了となった(「同点の9回裏、2死満塁のピンチを救ったのは、ルーキーではなくルールだった!?」)。

 サヨナラの場面があっけない幕切れを迎えたことについては、批判が起きた。それを受け、2月28日の試合では、9回裏にピッチ・クロックを止めた……のではない。

 9回表を終えた時点で、ホーム・チームのパイレーツは3点リードしていた。通常なら、ここで試合終了だ。けれども、オリオールズのブランドン・ハイド監督は、オフレイディ・ゴメスにも、打者に対して投げさせたかった。そこで、パイレーツに了承してもらい、9回裏を行った。

 ただ、記録上、試合は終わっている。なので、電気代がもったいないということではないだろうが、ピッチ・クロックはなし、となった。審判も不在だ。こちらは、昨年のエキシビション・ゲームでも同じことがあった。それについては、「「審判不在」で試合は続行。代わりにストライクとボールを判定したのは、ロボット審判ではなく…」で書いた。

 なお、ストライクとボールは、捕手のマーベリック・ハンドリーが投球を受けながら見定めた。ハンドリーの判定に対し、どちらのチームからも抗議は起きなかった。ゴメスは、パイレーツの打者4人に対して投げ、無失点で9回裏を終わらせた。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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