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【使っていたら今日からやめて!】接客・バイト敬語の間違い大辞典【保存版】

高橋亜理香日本語教師/日本語・日本酒ライター

お読みくださってありがとうございます!日本語教師の高橋亜理香です。

みなさんは接客などで使われる独特な敬語、いわゆる「バイト敬語」を知っていますか?丁寧に、という気持ちが強すぎて間違った言葉遣いをしてしまい、それがそのまま一般に浸透してしまっている表現がたくさんあります。

敬語を勉強したばかりの留学生が、バイト中に教わった言葉を「先生、ちょっと変です」と真っ当に指摘してくることもあり、日本人としてはぜひ正しく敬語を使ってほしいと切に願うばかり…。

店長や先輩に教わったまま、社会人になっても使っているあの敬語。間違っていないか今すぐチェックしてください!どうしてダメなのか理由つきで解説します。

「3名様でよろしかったでしょうか」

客の来店時に「3名様でよろしかったでしょうか

注文の際に「ビールおふたつと、枝豆でよろしかったでしょうか

と、なぜか過去形で確認する店員さんが続出します。

「よろしかったでしょうか」は過去の曖昧な記憶を確認するときに使うもの。今現在の話なのですから、わざわざ過去形にせず「よろしいでしょうか」と言えばOKです。英語の“Would you”や“Could you”的な感覚なのでしょうか…。

ちなみに今日、高橋は友人とふたりでカフェへ行ったら「3名様でよろしかったでしょうか」と聞かれました。敬語の間違いよりも何が見えていたのか怖いです…。

「こちら、ハンバーグ定食になります」

注文を受けたものを提供する際に「こちらハンバーグ定食になります」などと「~になります」という言い回しをするのは間違いの日本代表。

「~になる」というのは「変化」を表す文法です。

「自転車に乗れるようになりました
「来月、20歳になります

のように使うもの。一体、ハンバーグ定食は何から変身を遂げるのか???

正しくは「こちら、ハンバーグ定食でございます」のように「~でございます」を使えばOKです。

この間違いは、外国人に「変!」と指摘されるNo.1です。日本語力を疑われないように、使っていた人は今すぐ直してください!

「ご注文の品はお揃いでしょうか」

「~はお揃いでしょうか」は注意が必要な敬語です。何に対して使うのかがポイントになります。

「ご注文の品はお揃いでしょうか」は「料理」という物に対して敬意を表しているため、間違い!物に敬意は要りません。この場合「ご注文は以上でよろしいでしょうか」と言うのが正しいでしょう。

「みなさま、お揃いでしょうか」のように人に対して敬意を表す場合は使えますので、敬意を向ける対象をよく考えてください。

「追加のご注文は大丈夫ですか」

一見便利で万能ワードに感じる「大丈夫ですか」

ですが「大丈夫ですか」は、何か異常があるときや心配があるときに使うべき言葉です。

「大丈夫ですか?」と聞かれると相手が不安を感じてしまう場合があります。「何か不都合でもあるのかな…?」と邪推させるので「大丈夫ですか」は乱用注意。

そんな高橋は、先日居酒屋でアジフライを一皿頼んだら「おひとつで大丈夫ですか?」と二度聞きされました。ふたりで飲んでいたため「一尾なのかな…そんなに小さいのかな…」と話していたのですが、普通に大きい鯵が二尾。どれだけフードファイターに見えたのか気になります。

「温かいうちにお召し上がりになってください」

「お召し上がりになってください」はガッツリと二重敬語。そもそも「召し上がる」はそれだけで「食べる」の尊敬語。そこに「お食べになる」などの「お~になる」という尊敬表現を重ねてしまっています。敬語は段重ねにすればいいというものではありません。

同様に「お召し上がりください」も「召し上がる」に「お~ください」を重ねた二重敬語。

「温かいうちに召し上がってください」と言えばいいのです。

「一万円からお預かりいたします」

会計の際によく聞く「~からお預かりいたします」ですが、これも間違いの代表選手。

「から」は「AからBまで」という範囲を表したり、「箱からくじを1枚引く」のように「Aから一部を~する」という使い方をしたり、「友人からプレゼントをもらった」のように「相手(起点)」を表したりします。

「一万円からお預かりします」と言うと、「一万円の中からいくら預かるの?」とか「一万円さんから何を預かるの?」という話になってしまいます。

一旦預かるものは「一万円」なので「一万円お預かりします」だけでよいのです。

「領収書のほうは、ご入用ですか」

「領収書のほうは」「ご注文のほうは」「お荷物入れのほうは」…と、あらゆるところに顔を出す「~のほう」。

「~のほう」は「日本酒よりワインのほうが好きです」のような比較や、「東京のほうから来ました」のように場所や方向を曖昧にぼかすときに使う表現ですから、そうでない場合は使う必要はありません。「領収書はご入用ですか」と言ってください。

「お飲み物のほうを先にお持ちしました」などの場合は、「料理」と「飲み物」から「飲み物」を取り立てているので「のほう」が入っていても問題ありません。

「お会計には電子決済がご利用できます」

単純に考えれば「会計には電子決済が利用できます/使えます」という意味の敬語です。「ご利用できます」は「お/ご~する」という謙譲語を「お/ご~できる」という可能形にした形です。

ここでちょっと考えてください。謙譲語は、自分が相手に向かって働きかける動作に使う敬語。自分の動作を下げるために使うのです。

でも電子決済を利用するのは誰でしょうか?もちろん客側ですよね。客の動作には尊敬語を使わなければならないのです。

本来は、尊敬表現の「お/ご~になる」を可能形に直し、「電子決済がご利用になれます」と言うのが正しい形。

動作主が誰なのか、よく考えてから敬語に直してください。

みんなが使っているから「正しい」じゃない!

今回は接客などで浸透してしまった、ちょっと厄介でおかしな敬語を直してみました。バイトで、ビジネスで、これらの敬語を知らずに使ってしまっていた人は、ここが日本語力UPのチャンス。今日からはぜひ正しい表現を使用してみてください!

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日本語教師/日本語・日本酒ライター

都内日本語学校の専任講師を経て、現在はフリーランスの日本語教師として留学生の日本語・進学指導やオンラインレッスンをしています。外国人の日本語学習を通して日本人の気づかない日本語を探究中。兼業で日本酒ライター・テイスターとして、父の故郷の秋田県をはじめとした日本酒の良さを伝えるお仕事もしています。保有資格:日本語教育能力検定試験、J.S.A.SAKE DIPLOMA、SSI日本酒学講師、SSI利酒師

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