ラインアウト判定は「厳しい」とワーナー・ディアンズ。日本代表としての思いは?【ラグビー旬な一問一答】
東芝ブレイブルーパス東京は敗色濃厚だった。ただし、最後の最後にファンを喜ばせた。
2月25日、敵地の江戸川陸上競技場。国内リーグワン1部の第9節で、クボタスピアーズ船橋・東京ベイと昨季4強同士のカードに臨んだ。
ブレイブルーパスは、スピアーズのフィジカリティと組織的な攻めに苦しみ、20―46と点差をつけられてラストワンプレーを迎えていた。
ここでも自陣ゴール前まで押し込まれ、さらに加点されるピンチ。ところがここで、ワーナー・ディアンズが魅した。
身長201センチ、体重117キロの20歳。日本代表としても期待される新鋭は、右端で近くの味方がインターセプトするやすぐにサポートする。加速する。
沸かせる。約90メートルのロングランだ。スピアーズの主将で元日本代表の立川理道らが追いかけるのを振り切り、インゴールエリアに飛び込んだ。
直後のゴール成功でスコアは27―46。
息を切らしたディアンズは、独走する間の心境を苦笑して振り返った。
「ずっと(いつかは)タックルされると思って…。(走り切れた瞬間は)ちょっと、ビビったっすね。最後、飛び込んだ時も『あぁ』と疲れた感じ。何も考えてないです。ボールもらったらずっと誰かにタックルされると思っていて、走り続けました。(ゴールラインが)遠かったです。まじで」
まずはその流れで、タフなゲームをレビューする。
以下、共同取材の一問一答の一部(編集箇所あり)。
——試合を振り返って。
「フィジカルのバトルになってくると考えていて、やっぱり、そうなった。相手はラインスピードを出して、フィジカルでディフェンスしてくるチーム。アタックでもすごく前に出てくるチームだった。それに対して俺たちはミスが多かったし、ディフェンスで相手を止めるのが遅かったから、相手にモメンタム(勢い)が出て…そんな感じですね」
——ご自身はいい突進(キャリー)があった。
「いいキャリーがあっても、他のところで小さいミスとかがあったし、ラインアウトはうまくいった時もいかなかったときもあった。それも修正しないと。自分がコーラー(捕球位置を決め、伝える役目)だから、もうちょっと考えないといけない」
ここでの「ラインアウト」とは、空中での球の奪い合いだ。
ボールがタッチラインの外へ出た場合、出した側と逆のチームがそれを投入する。攻撃側は捕球位置を定め、相手の妨害をかいくぐり、確保を目指すのだ。
ここで長身のディアンズは「コーラー」を務めるが、この日は要所でエラーを重ねた。
——圧力をかけられました。
「相手がでかい。うまい。自分たちができることに集中して、スピード、高さを意識し、できるだけ、自分たちのラインアウトに集中したいと思うのですけど、相手のディフェンスの寄り方とかについてももっと考え、レビューに入れて、練習しないといけない」
特に、投入役が球を真っすぐに投げ入れられない、ノットストレートの反則が多発した。
この領域は厳格化の一途をたどっていて、リーグワンの多くの試合でノットストレートが発覚している。ブレイブルーパスは昨季のプレーオフ準決勝で、試合終盤、4本続けてノットストレートを判定された。
この日もブレイブルーパスの小川高廣主将他選手が「厳しくないか?」と首を傾げながら、「勝負どころで取らないといけない。修正しないと」。ディアンズはどう捉えたか。
——最近、ノットストレートを厳しく取り締まられる傾向にあります。
「厳しいっすね。最近。両チームともノットストレートがあったし、ディフェンスでぶつかること(空中での競り合いで相手に触れた場合)にも…(反則を取られやすい)。でも、ラグビーのルールはどんどん変わっています」
どうにか現実を受け止めようとしていた。
流通経済大学柏高校から、大学を経ずにブレイブルーパス入りしたのは2021年。同年秋には、社会人として公式戦に出ていなかったにもかかわらず日本代表デビューを果たした。
今季はワールドカップフランス大会を今秋に控え、代表首脳陣と対話しながら検討課題に取り組んでいる。
「代表のために、できるだけ自分のプレーをよくする。できるだけ言われているところ(課題)を頑張ってやって、試合でいいパフォーマンスをしていきたいです。自分のフィジカルスタンダードをもっと上げないといけない。グラウンドのボールを持っていない時のスピードが遅いからそれをもっと早くしないといけない」
自分にベクトルを向け、進歩し続ける。