たっぷりの渋川煮がほくほくしっとり「仙太郎」さんの白小豆あん入り渋栗むしで今年の栗納め
栗仕事、という言葉をご存知でしょうか?秋の短歌や和歌にも使用されるこの言葉は、その名の通り栗の下処理を示す言葉。
茹でたり固い鬼皮をむいたり、なかなか力強い渋皮を剥いだり、ことこと蜜を含ませるように煮たり…私も何度か経験があるのですが、指先の感覚がなくなってくるものの、ついつい周りが見えなくなってしまうほど夢中になってしまうんですよね。
さて、その栗仕事も旬に美味しくいただくためともいいますが、おせち料理にも欠かせない栗の甘露煮も忘れられません。きらきらと眩しい黄金の栗は、おせち料理の中でも主に子供たちにとって主役級といっても過言ではありません。
とはいえ、渋皮がついた甘露煮も木の香り豊かな滋味深い逸品。おせち料理の前に、晩秋の味覚でもある仙太郎さんの「渋栗むし」をご紹介。
力強い栗の生命力すらも漂うような蒸し羊羹。惜しげもなくたっぷりとのせられた和栗の渋川煮は、ほっくりとした栗の実の食感とほんのごく僅かにコリっとした食感を留めた渋皮が違和感なく見事に調和。大ぶりな渋皮煮なので、蜜煮といえども栗本来のふんわりとした芳香も存分に舌と鼻で体感することができ、砂糖の甘味に頼り切らない丁寧な手仕事を伺うことができます。息を吸った瞬間鼻に抜ける香り、ってあるとおもうのですが、やはり渋皮がついているぶん心地よい香ばしさに肩の力が抜けます。
また、蒸し羊羹の部分は小豆こし餡だけではなく白小豆こし餡も混ぜたという仙太郎さんの拘り。小豆こし餡だけのものよりもやや慎ましやかな甘露を醸し出す仕様となり、栗の余韻に包まれます。
ここでひとつおすすめの食べ方を。渋栗むしは翌日までのお日保ちなのですが、冷え込みが強い日の老化などに置いておくと固くなってしまうことも。そんなときはぜひ、200wなどの出力が低いワット数で10秒~20秒ほどあたためてみることを推奨いたします。
そうすることで、むし羊羹のもっちりとした食感だけではなく、こし餡のしゅるりとほどけていく舌触りがより一層はっきりと感じられるようになります。くれぐれも温めすぎにはご用心。
いよいよ年の瀬。眩しい甘露煮が並ぶ前に、渋皮煮を食べ納めしておこうではありませんか。職人さんの丁寧な栗仕事に感謝して。
【仙太郎・本店】
公式サイト(外部リンク)
京都市下京区寺町通仏光寺上る中之町576
075-344-0700
8時~18時(時期によって変動あり)
定休日 元旦