お米(ご飯)は太りやすい食べ物なの?!本当に太る食べ物は何?食生活の統計から考察。
こんにちは、保健師・ノンオイル料理研究家の茨木くみ子です。
新米のおいしい季節ですね。
皆様はお米(ご飯)は食べていますか?
わたしは毎日美味しくいただいています。
しかし、以前からもりもり食べていたわけではなく、
昔は「ご飯を食べると太る」と思い込み、
怖くてお米(ご飯)を食べられなかった時期が長くありました。
ダイエットの負の連鎖に陥り、身も心もボロボロでした。
そこから抜け出すことができたのは、お米(ご飯)のおかげでした。
私のような体験は多くの方がしています。
お米(ご飯)には、腸内細菌・レジスタントスターチ・消化酵素など
やっと少しずつ解明されてきました。
カロリーでは答えの出ない、もっと複雑なことが人の体内で起こっています。
お米(ご飯)を食べないダイエットで痩せられなくて困っている方やリバウンドを繰り返しているも、まだまだ多くいらっしゃると思います。
今日は食生活の統計から、お米(ご飯)と肥満に相関関係があるか考察します。
本当に太りやすい食品が何かも見えてきます。
夫がお米(ご飯)を勧めてくれたことが立ち直りのきっかけでした。
20歳代のころのわたしは保健師なのに肥満傾向で
体重は65キロ以上ありました。
痩せるためにカロリー計算と糖質制限はとても長くしていました。
野菜と低脂質なタンパク質を中心に食べていましたが、満足できずに、つまみぐいや食後に甘いものを食べたりと、痩せることはなかなかできませんでした。
いつもダイエットをしている私をみて、
夫が「ご飯太らないから食べてごらんよ」と何度も勧めてくれましたがなかなか信じる気持ちにはなれませんでした。
夫はお米(ご飯)をたくさん食べますが、決して太りません。
それは夫の体質だと思ってました。
ダイエットに疲れ果てたころ、わたしは、わらにもすがる思いで、ご飯を食べ始めることにしました。
半年くらい経過した頃から体が変化し、体重も落ちはじめました。
そしてわたしも夫と同じ、ごはんを食べても太らない体質になることができました。
夫は現在、60歳近くになりますが、毎日もりもりお米を食べ、とてもスリムな体系を維持しています。
まず日本人の体格が戦前から現代までどのように変化しているかを見ていきます。
☆年代別の日本人の体格の年次推移
BMI(ボディ・マス指数 / 体格指数 )体重kg ÷ (身長m)2
日本肥満学会の定めた基準
18.5未満 「低体重(やせ)」
18.5以上25未満 「普通体重」
25以上 「肥満」 に分類されます。
BMIが22になる体重を標準体重とし、最も病気になりにくい状態であるとされています。
25を超えると脂質異常症や糖尿病、高血圧などの生活習慣病のリスクが2倍以上になり、
30を超えると高度な肥満としてより積極的な減量治療を要するものとされています。
このグラフからわかること
男性のグラフは右肩上がり、一貫してどんどん太め、肥満傾向になっています。
一方女性は1970年代前半、高度成長期まではふくよかになっていましたが、それ以降は痩せへと変化し、その後も一貫してスリム化の方向をたどっています。
近年はダイエットしないと太ってしまう生活であることが分かります。
(1947年ごろの女性のBMI22は少しふっくらして小太りのイメージがありますがBMI22は最も病気になりにくい状態であるとされています。)
日本人の食生活の変化 農水省「食料需給表」より
食品別の食料需給量の年次変化を見ていきます。
上の体格の変化とお米(ご飯)が関係しているのなら、お米の摂取量は多くなっていくはずです。
実際にお米の摂取量は増えているのか、また、たくさん食べるようになった食品を見ていきます。
グラフからわかること
1911年の明治末期は、米を主食に野菜といも類を食べ、魚介類もとても少なかったことが分かります。たんぱく質も米から摂取していたと考えられます。
1930年ごろ(戦前)は、果実や魚介類も多少増加するものの、1941年以降戦争が激しくなり食糧難、1945年の戦後直後は米・野菜・魚介類・野菜すら減少し、いも類で補っていたことが分かります。
戦後しばらくして米の生産が回復し、パン食の普及による小麦が増加します。
高度経済成長とともに酪農が軌道にのり、食の欧米化が進みます。
肉、乳製品・果実・野菜の消費量が急激に増加し、米の消費量は落ち込んでいきました。
近年も米の消費の落ち込みは止まることはありません。
栄養素別に摂取量の年次推移
次に栄養素別の摂取量を年次推移でみていきます。
国民健康・栄養調査(国民栄養調査)の栄養素摂取量を栄養素別に示したものです。(1950年を100としています)
増加した栄養素は肥満の原因に、減ったものは肥満とは関連の少ない栄養素であると考えることができます。
グラフからわかること
動物性脂肪・動物性たんぱく質などの脂肪の摂取量は増え、お米(ご飯)などの炭水化物は減少しています。
こちらを見ても炭水化物と肥満は反比例しています。
論文 お米を食べると肥満に対策できる 1日2杯のごはんが肥満度を低下
米の摂取量が多い国(平均150g/日)では肥満が少なく、米の摂取量が少ない国(平均14g/日)は肥満が多いことが、136ヵ国を対象とした国際調査で明らかになり、
英国で開催された欧州肥満学会(EASO)の年次学術集会で発表されました。
日本の研究チームは136ヵ国を対象とした国際調査で明らかにしました。
1日あたり150g(およそ茶碗2杯、カロリーは約530kcal)の米を食べると、肥満度が低下するとのことです。論文はこちらです。日本語で読めます。
農林水産省の食生活バランスガイドでも
お米(ご飯)=炭水化物は一番多く食べるよう勧められています。
主食(食事の主=中心)は炭水化物
パンも麺類もありますが、わたしはやはりお米(ご飯)が一番、優れていると思っています。
PFCバランス(三大栄養素のバランス)
1日の摂取エネルギーのうち「タンパク質・脂質・炭水化物」の割合が、どのくらいあるのかを示した指標でも50~65%は炭水化物と指針がでています。
お米(ご飯)をはじめとしたさまざまな食品の健康情報は多種多様な意見があります。
私も様々な意見や研究発表を見るとわからなくなったり、戸惑うことも多くあります。
人の身体は大変複雑にできています。民族をはじめとして体質も個々違いがありますので
医学ですべてを解明することはとても難しいですが、
食生活調査・統計の結果は大きな道しるべとして参考にできるものと思います。
私がたどり着いた最後のダイエットはお米(ご飯)をしっかり食べることでした。
もし、お米を食べることに戸惑いを感じながら、ダイエットをしている方がいましたら
是非少しずつでも、食べていただきたいと思います。
きっと身体は「美味しい、心地よいよ」と教えてくれるのではないかと思います。
最後までお読みいただきありがとうございました。
保健師 茨木くみ子
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