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『早くて安くて旨い!』東京下町でウマいラーメンが一杯400円と評判の町中華【下町中華樹】

町乃華菜子町中華愛好家

東京の東部、葛飾区堀切は荒川沿いの下町情緒があふれる街。京成本線の堀切菖蒲園駅周辺には長らく愛される町中華が立ち並ぶ。

この街ではお馴染みの『タカノ』『三河屋』『来集軒』などが軒を連ね、町中華ファンには激アツの聖地とも言えるだろう。その堀切の街に、2022年3月に彗星の如く現れた『下町中華樹(きいち)』はご存知だろうか。

下町中華樹』は堀切菖蒲園駅から徒歩5分ほどの閑静な場所に店を構える。駅から店に向かう道中にはタカノ、三河屋、来集軒が並ぶ。それを通り過ぎた物静かな場所に、夜な夜な人が集まる評判の町中華『下町中華樹』が存在する。

まずは餃子とビールでカンパイ

餃子350円(お酒は20歳になってから)
餃子350円(お酒は20歳になってから)

餃子の特徴は、なんと言ってもその大きさとその価格。ふっくら大きな餃子が5個で350円だから驚きだ。餡は手作りにこだわっていて、ザクザクとした粗めに刻んだキャベツの甘みを感じる。それを引き立たせる自家製ラー油を入れたタレで食べると美味しさが倍増するのだ。

自家製ラー油

卓上のラー油
卓上のラー油

ラー油は濾していないタイプのものが卓上に設置されている。ツルツルとした皮の餃子とよく合う。ここでは酢胡椒と言わず、王道の酢醤油にラー油をたっぷり垂らしたタレで食べて欲しい。

餃子と食べたい激ウマチャーハン

チャーハン650円
チャーハン650円

人気のチャーハンはしっとりとした町中華らしい味わい。特徴的なのはネギや玉子、チャーシューに加えてひき肉が入っている。大将の修行先で作っていたレシピと変えていないそうだ。半チャーハンとラーメンのセット(700円)も注文が多いメニュー。

修行先は堀切菖蒲園の名店

大将の樹一さんは堀切菖蒲園の町中華の名店『タカノ』で長年に渡り腕を振るっていた。以前のタカノは24時間営業をしていた(現在は23時閉店)珍しい町中華だった。ご主人曰くタカノはチェーン店。以前は足立区を中心に堀切菖蒲園、竹の塚、梅島本店、本木、三ノ輪に店を構えていた。初めて店に立ったのは梅島本店でまだ中学3年生だったそうだ。中華一筋で43年の現在に至る。その後、堀切菖蒲園店の深夜営業を任されるようになって約40年。堀切菖蒲園の夜のタカノの味は樹一さんの味だと言える。その料理に魅了されたファンも多く、今でもその味を求めて『下町中華樹』へ足を運ぶ常連客が多いのが頷ける。

こだわりのラーメンは一杯400円

ラーメン400円
ラーメン400円

ラーメンは驚きの400円。スッキリと澄んだ醬油スープは、優しい味わいであるのにギュッと旨味が詰まった飲み干したくなる美味しさ。町中華の中華そばはお小遣いで食べられる価格でありたいと、値上げをせずに維持をしている。安くて美味いラーメンを提供するのが店一番のこだわりなのだとか。手間をかけて作られた自家製の柔らかなバラチャーシューやメンマも添えられている。

こだわりの麺を使用

中華麺や皮などは『浅草開化楼』のものを使用している。ラーメンや中華好きにはお馴染みの定評のある製麺所のものを使用。麺の美味しさに加えて、のびにくさが特徴。出店する際にラーメンスープに合う麺をこだわって選んだ。

肉そば750円
肉そば750円

細切り肉や筍、木耳がたっぷり入った熱々のとろみ餡がのった『肉そば』も美味しい。

ソース焼きそば650円
ソース焼きそば650円

下町らしい『ソース焼きそば』も浅草開化楼の丸い太麺を使用。立ち上るソースの香りが食欲をそそる。

早くて安くて旨いには訳がある

町中華の魅力と言えば提供のスピード。『早くて安くて旨い』が魅力の一つでもある。メニュー豊富な中国料理店とは違い、町中華の食材は工夫を凝らした料理構成になっている。同じ食材を様々な料理に使用するのが一般的だ。例えば町中華の三種の神器の一つ、オムライスは鶏肉ではなく豚肉を使う店が多いのもその理由だ。

きくらげの玉子炒め950円
きくらげの玉子炒め950円

下町中華樹』の料理もわずか数分で驚くほど早く提供されている。開店前の仕込みの段階で、素早く調理出来るように準備されているのだ。平日は厨房で大将一人で鍋を振っているため、長年の経験とその腕で営業中のオペレーションには無駄がない。『きくらげの玉子炒め』は細切りにされた肉や筍やネギと大きな木耳がたっぷりと入ってシャキシャキ食感が美味しい。

鳥のからあげ950円
鳥のからあげ950円

鳥のからあげ』は胡麻やネギ、生姜のみじん切りで和えられていて他の店では見かけない。味変にケチャップとレモン、カラシが添えられている。そのまま食べても味変をしても美味しく、さらに楽しめるようになっている。

ホッとする温かさを感じる料理

ラーメンから一品料理まで、全て店主の温かさを感じる料理が『下町中華樹』の魅力。クセになる刺激的な味の店もいいが、子供から大人の皆が食べてホッとする優しい温もりのある旨さがある。

コロナ禍をきっかけに独立し、女将さんと二人三脚で店を構えて二年ほど。夜中には行列ができることもある。長年、慣れ親しんだ堀切菖蒲園の夜の味を求めた常連客で『下町中華樹』はいつも賑わっている。

後継者不足で閉業する町中華が多い中、日本の食文化の一つ、日式中華を盛り上げている店だと思う。ぜひ訪れて『早くて安くて旨い』町中華体験を肌で感じて欲しい。

【店舗情報】
下町中華樹(きいち)
営業時間18:00〜24:00
水曜日定休
東京都葛飾区堀切5丁目29−1

町中華愛好家

味わいある 『町中華』や食堂を巡る体験記。東京近郊の人気店から、常連客が通う隠れた名店を巡る。”日式中華”の文化や魅力、店主の想いを伝えて行きたい。Instagramで町中華での食事の記録を発信中。

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