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感情労働の癒し:医療、教育、福祉、良い上司、そして親業のみなさんへ

碓井真史社会心理学者/博士(心理学)/新潟青陵大学大学院 教授/SC
(写真はイメージ)(写真:アフロ)

愛したい、頑張りたい。そう思うほど、うまくいかなくなることがあります。ではどうしたら良いのでしょうか。

■感情労働とは

体が疲れる肉体労働、頭が疲れる知的労働、そして心が疲れる感情労働。中でも厄介なのが、心の疲れです。働けばもちろん体は疲れます。でも人間きたえていれば、フルマラソンを走った後も、笑顔でいられます。翌日、普通に出勤する市民ランナーもいます。

昔と比べれば、労働時間は減り、劣悪な労働環境で危険な仕事を休みなく行うような仕事も、徐々に改善されてきたでしょう。けれども、心が疲れる感情労働は、以前よりもひどくなっているかもしれません。

全ての仕事は、どこかで気を使うものです。その意味では、全ての仕事で、心は疲れます。ただ特に、人間相手の仕事は心が疲れやすい仕事です。接客業や、いつも営業スマイルでいなければならない仕事は大変です。心が疲れます。

さらに大変なのは、営業スマイルや愛想笑いだけではすまなくて、心からの笑顔や愛を求められる仕事です。特に、教育、医療、福祉などは、普通なら愛されないような人たちにも愛を注ぐことが求められる感情労働の面が多くなる仕事です。

そして、「親」という仕事も、同じように愛が求められる仕事です。親ならば、子供を愛することが当然だと人々から思われます。親自身も、子供を愛することは当然で、子供を愛さないなど許されないと感じます。そんな親業も、実は感情労働の一つなのかもしれません。

また職種にかかわらず、部下や後輩のことを思っている上司、管理職のみなさんも、まるで親のような気持ちになって、だからこそ疲れている人たちもいます。

人には、愛が必要です。でも、愛を注ぐことが求められる仕事を一生懸命頑張るほど、愛が枯れてしまうこともあります。教育、医療、福祉の仕事で、かつてはあんなに懸命に働いていたのに、すっかり燃え尽きてしまう人もいます。頑張る人ほど、燃え尽きやすくなります。最初から仕事に燃えていない人は、燃え尽きません。

育児ノイローゼや、親子無理心中などを考えてしまう人も、愛がない人ではありません。むしろ愛を込めて子育てしようとして、行き詰まってしまう人たちです。

せっかく愛があるのに、自分から望んで、教育、医療、福祉の仕事につき、また喜んで子供を産んだはずなのに、苦しんでいる人がいます。感情労働に傷つき、苦しみ、疲れ果てている人たちこそ、癒しが必要です。

誰かを守り育て支援するためには、自分自身を守る必要があります。では、どうすれば自分を守り、愛を注ぐ尊い役割を続けていくことができるのでしょうか。

■教育、医療、福祉、そして親業が、特に疲れてしまう理由

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社会心理学者/博士(心理学)/新潟青陵大学大学院 教授/SC

1959年東京墨田区下町生まれ。幼稚園中退。日本大学大学院文学研究科博士後期課程修了。博士(心理学)。精神科救急受付等を経て、新潟青陵大学大学院臨床心理学研究科教授。新潟市スクールカウンセラー。好物はもんじゃ。専門は社会心理学。テレビ出演:「視点論点」「あさイチ」「めざまし8」「サンデーモーニング」「ミヤネ屋」「NEWS ZERO」「ホンマでっか!?TV」「チコちゃんに叱られる!」など。著書:『あなたが死んだら私は悲しい:心理学者からのいのちのメッセージ』『誰でもいいから殺したかった:追い詰められた青少年の心理』『ふつうの家庭から生まれる犯罪者』等。監修:『よくわかる人間関係の心理学』等。

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