主な新興国経済ニュース(5月21日)
ポーランド化学大手チェヒ、ソーダ事業に特化し他部門は売却へ
ポーランド化学大手チェヒ(Ciech)のダリウシュ・クラフチクCEO(最高経営責任者)はポーランド通信社(PAP)とのインタビューで、今後の経営戦略について、中核事業のソーダ部門に集中するため、非中核事業部門を売却する方針を明らかにした。地元週刊紙ワルシャワ・ボイス(電子版)が20日に伝えた。
同CEOは、「論理的には、ソーダ部門を除くすべての部門を売却する可能性がある。財務的には余裕があり、すぐにも売却しなければならないということはない。ただ、売却するタイミングと価格の問題があるだけだ」と語っている。売却の対象にはビトロシリコンやオルガニカ・サジナ、フォーム(発砲体)事業部門のチェヒ・ピアンキも含まれる。
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ロシア首相、4%超増の持続成長目指し景気対策を指示
ロシアのドミトリー・メドベージェフ首相は19日、記者団に対し、ロシア経済の成長率を少なくとも4%増の持続的安定成長を目指すための景気対策を策定するよう関係省庁に指示した。ノーボスチ通信(電子版)が伝えた。
また、同首相は今年のインフレ見通しについて、6%上昇の範囲内にとどまると認識も示した。さらに、国営企業の民営化については、今年は民営化によって2000億ルーブル(約6600億円)の資金を調達する計画も明らかにした。また、ロシア最大の国営石油大手ロスネフチの民営化については、政府の株式保有比率を51%とするため、株式売却は全体の49%までに制限するとしている。現在、国営石油・天然ガス持ち株会社のロスネフチガスがロスネフチの69.5%、英石油大手BPが19.75%を保有している。
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米石油大手シェブロン、対インドネシア投資抑制か―土壌汚染裁判で
米石油大手シェブロンのインドネシア法人、シェブロン・パシフィック・インドネシアのハミッド・バツバラ社長は、同社の委託を受けたバイオレメデーション(微生物や菌類などを使って原油などで汚染された土壌改善)の請負会社による違法な土壌処理をめぐる裁判が続いていることから、親会社のシェブロンによる対インドネシア投資が抑制される可能性があることを明らかにした。ジャカルタ・グローブ(電子版)が19日に伝えた。
この裁判では請負会社のグリーン・プラネット・インドネシア(GPI)の幹部が今月初め、ジャカルタ反汚職裁判所で有罪判決を言い渡されている。また、この事件ではシェブロンの従業員も逮捕されている。バツバラ社長も予備審裁判所で無罪となったものの、同氏は、「シェブロン本社はこの事件をかなり懸念しており、今後のインドネシアへの投資に悪影響が及ぶ」と指摘している。
インドネシアの石油生産の約40%がシェブロンの油ガス鉱区で生産されており、今年だけでも同社はタイインドネシア投資で30億ドル(約3100億円)の予算を計上し、原油生産を日量32万バレルにまで引き上げる計画だった。
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ペトロベトナム金融子会社PVFC、株主総会でウエスタン・バンクとの合併を承認
ベトナム国営石油ガスグループ(ペトロベトナム)の金融子会社ペトロベトナムファイナンス(PVFC)は20日の株主総会で、懸案となっていた地場の小規模銀行ウエスタン・バンク(フオンタイ銀行)との合併新銀行の設立が承認されたことを明らかにした。地元金融情報サイト、ストックスプラス(電子版)が伝えた。
合併新銀行は資本金が9兆ドン(約450億円)で、総資産額は100兆ドン(約5000億円)となる。今後、PVFCではホーチミン証券取引所の上場を廃止する。それに代わって新銀行を上場させるかどうかについては今後、検討するとしている。
PVFCは商業銀行への転換を目指して、ウエスタン・バンクとの合併を模索していた。この合併によって、PVFCは長年の夢だった普通銀行化を達成する一方で、資金調達難に直面していたウエスタンは破たんを回避することが可能になった。PVFCによると、合併が完了するまでの間は両行とも通常通りの業務を続けるとしている。また、両行の株主は新設銀行の株主となり、新設銀行は両行の債務や権利を継承する。
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ベトナム中銀副総裁、市場のドン切り下げの噂を否定
ベトナム中央銀行のレ・ミン・フン副総裁は、ここ数日間、市場に広まっていた自国通貨ドンの公式レートが切り下げられるとの観測は「根拠がない」として否定した。地元金融情報サイト、ストックスプラス(電子版)が20日に地元紙トイチェーの報道を引用して伝えた。
これより先、一部の銀行は、ドン切り下げ憶測でドルに対する需要が急増したため、ここ2日間はドル相場を中銀の設定上限まで引き上げている。しかし、同副総裁は、銀行の流動性は潤沢にあるとした上で、ドルを買い始めた多くの銀行は外貨のポジション調整が目的で短期的な動きだとし、市場のドン切り下げのうわさを否定した。
また、同副総裁は外為市場では十分な流動性が確保されており、国民の外貨に対する需要は完全に満たされているとして懸念を払しょくしている。
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フィッチ、ブラジル油・ガス生産大手OGXペトロレオを格下げ
米英大手信用格付け会社フィッチ・レーティングスは先週末、ブラジルの大富豪エイキ・バチスタ氏が率いる石油・ガス生産会社OGXペトロレオの外貨・自国通貨建て発行体デフォルト格付け(IDR)を「B」から「B-」へ、また、長期国内格付けも「BBB-」から「BB+」へ引き下げた。また、格付けに対する見通し(アウトルック)も「安定的」から格付けを引き下げ方向で見直すことになる「ネガティブ」とした。
フィッチは格下げの理由について、同社の流動性が不足する懸念があるためとしている。特に、同社は最近、投資拡大の一環として、エクアトリアル・マージンとパルナイーバ盆地で計13カ所の油ガス田鉱区の開発権を1億9000万ドル(約200億円)で取得しており、今後数カ月以内に代金の支払いに迫られる。さらに、これらの鉱区の開発費用は最低でも今後5年間で3億5000万ドル(約360億円)に達することから一段と流動性確保の圧力が高まるとしている。
これに対し、同社は今月初旬にリオデジャネイロ州カンポス堆積盆沖にある2鉱区の開発権の40%を8億5000万ドル(約880億円)でマレーシア国営石油・ガス大手ペトロナスに売却する決定を行っているが、フィッチは一応評価しながらも資金需要をカバーするには不十分だと指摘している。3月末時点の同社の負債総額は40億ドル(約4120億円)で、これに対し現金と換金可能な証券は合計で11億ドル(約1130億円)にとどまっている。
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ブラジル中銀週報:今年のGDP伸び率を2.98%増に下方修正
ブラジル中央銀行が20日に発表した先週の経済週報「フォーカス・ブルティン」によると、同中銀の委託を受けた民間アナリストが予想した2013年実質GDP(国内総生産)伸び率見通しは、前週予想の前年比3%増から2.98%増に下方修正された。1カ月前の見通し予想は3%増だった。2014年のGDP伸び率見通しは前週予想の前年比3.5%増のまま据え置かれた。据え置きはこれで10週連続。1カ月前の見通し予想は3.5%増だった。
IPCA(拡大消費者物価指数)で見たインフレ見通しは、2013年は前週予想の前年比5.8%上昇のまま据え置かれた。1カ月前の予想は5.7%上昇だった。また、2014年の見通しも前週予想の5.8%上昇のまま据え置かれた。1カ月前の予想は5.71%上昇だった。
金利見通しについては、5月28-29日の金融政策決定会合時の政策金利(翌日物金利誘導目標)の見通しは、前週予想の7.75%のまま据え置かれた。据え置きは5週連続。1カ月前の予想は7.75%だった。
また、2013年末時点の政策金利の見通しは、前週予想の8.25%のまま据え置かれた。据え置きは4週連続。1カ月前の予想は8.25%だった。2014年末時点の政策金利も前週予想の8.25%のまま据え置かれた。据え置きは3週連続。1カ月前の予想は8.5%だった。
一方、為替レートの見通しについては、2013年末時点のレアルの対ドルレート(中央値)は、前週予想の1ドル=2.01レアルから2.02レアルに引き上げられた。引き上げは2週連続。2014年末時点の見通しも前週予想の2.05レアルから2.06レアルに引き上げられた。 (了)