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新型コロナワクチンの大規模な集団接種が始まる前にしておきたいふたつの準備とは?

堀向健太医学博士。大学講師。アレルギー学会・小児科学会指導医。
(写真:代表撮影/ロイター/アフロ)

新型コロナワクチンの接種率が高まった国や地域の状況が報告されるようになってきました。

すでに新型コロナワクチンが導入され、接種率が向上した国や地域から、新型コロナ感染症患者さんが大幅に減少してきていることが報告されています(※1)。

そして、新型コロナウイルスのワクチン接種率が高まり感染者が大幅に減少したイスラエルでは、4月18日に屋外でのマスク着用の規制が解除されたそうです(※2)。もちろん、まだ油断はできない面もありますが、徐々に元の生活に近づくような明るいニュースが増えてきているということです。

日本に導入されているファイザー社のワクチンは、現行の新型コロナワクチンの中でも有効性と安全性が高いワクチンのひとつです。2回接種が推奨されますが、4月23日にスコットランドから1回の接種でも有効性があるのではないかという報告も発表されました(※3)。

(※1)New England Journal of Medicine 2021; 384:1412-23.

(※2)ワクチン進むイスラエル 屋外マスク着用義務解除

(※3)Vasileiou E, et al. Lancet. DOI:https://doi.org/10.1016/S0140-6736(21)00677-2

すなわち、有効なワクチンの接種率をあげていくことが、新型コロナの克服の近道と言えるでしょう。

日本でも、連休明けからワクチンの供給が増える見込みとなりました。

写真:アフロ

そして、いよいよ新型コロナワクチンの供給が増えてくることがはっきりしてきました。

5月の連休明けから毎週約1000万回分ずつ日本に供給され(※4)、6月末までに高齢者約3,600万人の2回接種分を配布できる量が供給される見込みとなっています(※5)。

さらに、接種率を加速するために、大規模なワクチン接種会場が運営される予定となったとの報道もありました(※6)。

来月から私も、(これらの大規模接種会場というわけではありませんが)、診療の合間をぬって外部の接種会場へ出向く予定になっています。

(※4)医療従事者へのワクチン接種

(※5)新型コロナワクチンの供給の見通し(厚生労働省)

(※6)東京と大阪に大規模ワクチン接種会場 来月中にも運営開始方針

大規模な集団接種の前に、ふたつの点に留意すると心配事が減るかもしれません。

提供:Mono_tadanoe/イメージマート

しかし、このような大規模かつ、迅速にすすめなければならない集団接種は、近年なかったことです。

医療者だけでなく、今までの予防接種と同じような心づもりで望むことは難しいかもしれないのです。

つまり、接種を受ける方々も、『接種会場で尋ねればいいだろう』『とりあえず接種会場に足を運べばなんとかなるだろう』と会場に向かうと面食らう可能性があります。

ふたつの点に留意しておくと、スムーズな接種につながると思います。

まずひとつめに重要なことは、『事前に』ワクチンの心配事を減らしておくということです。接種会場で、さまざまな心配事を聞く余裕は、なかなかないかもしれないからです。

その聞いておくべき相手こそ、みなさんの『かかりつけ医』です。

かかりつけ医の先生方は、みなさんの普段の体調や状態をもっともご存知です。接種に関しての可否や、心配事にお答えくださるでしょう。

そして新型コロナワクチンの心配事は、例えば、厚生労働省の『新型コロナワクチンQ&A』を事前に見ておくとよいでしょう(※7)。さらに、有志の医師により、わかりやすいサイトやLINEbotも立ち上がっています(※8)(※9)。

(※7)新型コロナワクチンQ&A(厚生労働省)

(※8)こびナビ

(※9)「コロワくんの相談室」LINEボットが始動!

ふたつめは、筋肉注射での接種であることです。

こちらの図をごらんください。

イラストACから筆者作成
イラストACから筆者作成

このように、筋肉注射の箇所は、一般的な皮下注射の箇所より肩に近い場所です。

たとえば、長袖の服や、半袖でも窮屈な袖だと、適切な接種箇所が出せずに予防接種に時間がかかってしまい、あわててしまうかもしれません。

ですので、たとえば袖のないノースリーブの服や、ゆったりとした服で来場いただき、接種がスムーズに進むようにしていただければと思います。

新型コロナワクチンの接種率を速やかにあげていくことは、医療者だけでは達成できません。

『新型コロナワクチンの接種をする』という皆さんのお気持ち、そして出どころの明らかな情報を持参いただき、服装も含めて準備万端で来場されることが重要です。

この大きなミッションを皆さんと越えていき、新型コロナを克服できるようになることを願っています。

医学博士。大学講師。アレルギー学会・小児科学会指導医。

小児科学会専門医・指導医。大学講師。アレルギー学会専門医・指導医・代議員。1998年 鳥取大学医学部医学科卒業。鳥取大学医学部附属病院・関連病院での勤務を経て、2007年 国立成育医療研究センターアレルギー科、2012年から現職。2014年、米国アレルギー臨床免疫学会雑誌に、世界初のアトピー性皮膚炎発症予防研究を発表。医学専門雑誌に年間10~20本寄稿しつつTwitter(フォロワー12万人)、Instagram(2.4万人)、音声メディアVoicy(5600人)などで情報発信。2020年6月Yahoo!ニュース 個人MVA受賞。※アイコンは青鹿ユウさん(@buruban)。

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