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新型コロナウィルスの感染拡大を防ぐために外出禁止令が出ているシリアの街でライオンが捕獲される!

青山弘之東京外国語大学 教授
ハバル・テレビ、2020年4月12日

ロシアで3月末に、新型コロナウィルスの感染拡大を防ぐために、ヴラジミール・プーチン大統領の命令でロシア全土にライオンとトラ合わせて800頭が放たれた、とのデマがインターネット上に流れたのは記憶に新しい。

そんなデモを地で行くような事件がシリアで発生した。

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民間衛星テレビ・チャンネルのハバル・テレビは4月12日、新型コロナウィルス感染症対策として外出・移動禁止令が敷かれているシリアの街で、ライオンの子供1頭が発見され、地元の警察によって捕獲されたと伝えたのだ。

子ライオンが捕獲されたのは、首都ダマスカス(ダマスカス県)の西約8キロに位置するクラー・アサド村(ダマスカス郊外県クドスィーヤー郡ディーマース区)。

同チャンネルが住民の話として伝えたところによると、警察署の近くの広場で朝の運動をしていた複数の住民が、邸宅の壁のうえに一頭の子ライオンがいるのを発見、近くの警察官詰所に通報し、子ライオンは捕獲された。

『サウラ』、2020年4月12日
『サウラ』、2020年4月12日

警察は現在飼い主を探しているという。

住民によると、この地域にはライオンを飼育している住民が2人いるというが、その名前は明かさなかった。

捕らえられたのは、2人の住民のいずれかが飼っていた子ライオンだと思われる。

なお、些末なことだが、子ライオンが発見・捕獲されたクラー・アサド村は新興住宅地。「アサドの村々」を意味する村名はシリアのバッシャール・アサド大統領、ハーフィズ・アサド前大統領の名にちなんでつけられたものだが、「アサド」というアラビア語の単語は、日本語で「ライオン」を意味する。

UPEA、2020年4月12日
UPEA、2020年4月12日

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一方、反体制系サイトのサウト・アースィマは、子ライオンの持ち主がムダル・タージル氏だと伝えた。

タージル氏は、アレッポ県の軍事情報局長を務めていたムスタファー・タージル少将の息子。

同サイトによると、こうした事件は、今回が初めてではなく、タージル氏の農場で飼育されていたトラが脱走し、ヤアフール町とクラー・アサド村を結ぶ街道で捕獲が試みられたが、失敗し、最終的には殺処分されたという事件がかつてあったという。

『サウラ』、2020年4月12日
『サウラ』、2020年4月12日
東京外国語大学 教授

1968年東京生まれ。東京外国語大学教授。東京外国語大学卒。一橋大学大学院にて博士号取得。シリアの友ネットワーク@Japan(シリとも、旧サダーカ・イニシアチブ https://sites.google.com/view/sadaqainitiative70)代表。シリアのダマスカス・フランス・アラブ研究所共同研究員、JETROアジア経済研究所研究員を経て現職。専門は現代東アラブ地域の政治、思想、歴史。著書に『混迷するシリア』、『シリア情勢』、『膠着するシリア』、『ロシアとシリア』など。ウェブサイト「シリア・アラブの春顛末記」(http://syriaarabspring.info/)を運営。

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