JAXAが「月面天文台」構想を発表 2028年の実現に向けて開発を開始、宇宙兄弟の天文台が実現か?
JAXAは5月17日、「月面天文台」を月の裏側に設置し、宇宙観測を行う方針であることを発表しました。
月面天文台の詳細をはじめ、漫画「宇宙兄弟」でも題材となっていたシャロン天文台についてもご紹介します。
■JAXAが発表した「月面天文台」構想
まず、地球の天文台からの天体観測は、大気や電波の影響から難しいと言われています。そのため、NASAはハッブル宇宙望遠鏡やジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡など、数々の宇宙望遠鏡で宇宙からの観測を行っています。
一方で、月面からの観測の場合は大気がありませんので、適切な位置を選ぶことで、地球からの光や電波を遮断し、高精度に観測を行えることとなります。そして今回JAXAは、2028年に月面に天文台を設置する方針を発表しました。
発表によると、棒状のアンテナを搭載した探査機が月面に着陸し、天体観測を行うことで宇宙誕生の謎に迫るとのことです。ビッグバンが起きた後の水素が発する特殊な電波を観測することで、光がない「暗黒時代」の探求を行います。
■宇宙兄弟でも月面天文台が登場?
大人気漫画「宇宙兄弟」でも月面天文台は登場していることをご存知でしたか?
宇宙飛行士の難波ムッタは、月面でシャロン月面天文台の建設を始めます。天文台は電波望遠鏡というタイプで、パラソルアンテナを何十台も設置し、組み合わせひとつの大きな仮想アンテナにしてしまう「電波干渉計」の方式を用いています。
月の裏側に設置するのですが、その一部はペネトレータつきのアンテナを月の上空から落下させ突き刺します。残りは、人力でアンテナを設置し、ケーブルで繋いでいきます。
JAXAの計画はまずは一つ目の天文台ではありますが、いつか将来にシャロン天文台が実現するかもしれませんね。
ちなみに、「ペネトレータ付のアンテナを月面に突き刺す」という方法は、実際に過去に実在したJAXAプロジェクトの技術が基になっています。次回の記事では、幻の月ミッション「LUNAR-A」を解説します、お楽しみに!
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