<朝ドラ「エール」と史実>実話だった「新人歌手オーディション」。佐藤久志のモデル・伊藤久男の結果は?
朝ドラ「エール」は、スピンオフ回。伊藤久男をモデルとした、佐藤久志の新人歌手オーディション応募が描かれていますが、実はこれ、史実を踏まえています。
古関裕而の証言をみてみましょう。
作詞家の丘灯至夫によれば、「その頃」とは1932年の秋。伊藤はまだ学生でした。ずいぶん早い段階で、オーディションに受かっていたわけですね。
ドラマでは、1936年のできごととされているので、そこが大きく異なる点です。
伊藤は、実家がお金持ちでしたが、勝手に歌手をめざしたために、仕送りを止められていました。そのため、すぐに働かなくてはならなかったのでしょう。
売れたのは戦時下になってから
こうして歌手の道へ進んだ伊藤でしたが、なかなかヒットに恵まれませんでした。
先述の丘は、つぎのように証言します。
つまり、戦時下にようやく売れたというのです。なかなかの苦労人といえます。
もちろん、戦後には、夏の甲子園のテーマソング「栄冠は君に輝く」や、一時「のど自慢」で引っ張りだこになった「イヨマンテの夜」などの名曲も残しています。
ただ、やはり最初のヒット曲には触れざるをえないでしょう。
ちなみにこれは余談ですが、伊藤も、野村俊夫に負けないくらい酒豪でした。ふたりで夕方の5時から翌日の昼まで飲み、どれくらい飲んだかとカラになったトックリを8畳の部屋に並べると、ちょうど一周したのだとか……。
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「福島三羽烏」との関係で、このあたりが描かれるのかどうかも、今後楽しみなところです。