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オートバイのあれこれ『80年代ヤマハの独創技術』

Rotti.モトエンスー(moto enthusiast)

全国1,000万人のバイク好きたちへ送るこのコーナー。

今日は『80年代ヤマハの独創技術』をテーマにお話ししようと思います。

1970年代から80年代にかけての時代は、日本のオートバイ産業が最もイキイキとていた頃。

70年代に日本の各二輪メーカーは急成長を遂げ、80年代を迎えると各メーカーから多種多様な技術や理論が打ち出されるようになりました。

ホンダのオーバル(楕円)ピストンエンジンスズキの油冷エンジン等は有名ではないでしょうか。

▲ホンダのオーバルピストン〈画像引用元:本田技研工業〉
▲ホンダのオーバルピストン〈画像引用元:本田技研工業〉

そんな時代を彩った技術の一つが、ヤマハの『GENESIS(ジェネシス)』エンジンでした。

「ジェネシス」は「創世記」や「起源」、「(ものごとの)始まり」などを意味する英単語。

ヤマハはこの語意どおり、新たな時代を創始するパワーユニットとしてジェネシスエンジンを作り上げます。

最大の特徴は、エンジン(燃焼室)が地面に対し45度前に傾いていること。

▲これが『ジェネシス』エンジン。燃焼室が大きく前傾している
▲これが『ジェネシス』エンジン。燃焼室が大きく前傾している

45度前傾させることにより、

①エンジンヘッドの位置が低くなってエンジンの重心を下げられる

②エアクリーナーからインテークマニホールドへ至る吸気系統を上下方向に配置でき、吸気に重力を活かせる

などのメリットが生まれました。

実際、このジェネシスエンジンが投入された『FZ750』では、低重心による安定した旋回と、高効率な吸気によるハイパワーが実現されていました。

▲FZ750〈1985〉
▲FZ750〈1985〉

ジェネシスエンジンの話で面白いのが、お蔵入りになったヤマハのV4エンジンの名残だと言われていることです。

実は70年代後半、ヤマハは水冷4ストロークのV型4気筒を密かに開発していたことがありました。

しかし、無情にもホンダがV4マシンの市販車を世間へ先にリリースしたことにより、ホンダの真似をしたくなかったヤマハはこのV4計画を断念。

ただそうは言っても、ヤマハとしてもV4開発で培ったノウハウをどうにか役立てたいという思いから、このプロトタイプのV4エンジンを半分に切ってみたのです。

そして、切った後ろ半分(リヤバンク2気筒)を前の2気筒の横にくっ付けてみると…。

V4エンジンの前側2気筒に後ろ側2気筒が横並びする形で、前へ傾いた並列4気筒のエンジンが出来上がったというわけです。

つまりジェネシスエンジンの前傾45度は、V4エンジンのフロントバンクの名残ということ。

先ほど挙げたメリットを狙ってのことなのか、たまたま都合が良くなったのかは定かではありませんが、いずれにせよ、ジェネシスエンジンの話ではこのV4エンジンとの関連がしばしば語られます。

ジェネシスエンジンは結局、後の『FZR400』等にも用いられ、80年代のヤマハを代表する技術となったのでした。

▲FZR400〈1988/画像引用元:ヤマハ発動機〉
▲FZR400〈1988/画像引用元:ヤマハ発動機〉

モトエンスー(moto enthusiast)

バイクを楽しむライター。バイク歴15年で乗り継いだ愛車は10台以上。ツーリング/モータースポーツ、オンロード/オフロード、最新バイク/絶版バイク問わず、バイクにまつわることは全部好き。

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