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31日には18歳選挙権が施行されて2回目となる総選挙の投票日、高校での主権者教育の姿も見えてくるのか

前屋毅フリージャーナリスト
(写真:アフロ)

 来る10月31日には、第49回衆議院議員総選挙の投票日を迎える。公職選挙の選挙権年齢が20歳以上から18歳以上に引き下げられてから2度目の総選挙になるわけだが、はたして10歳代の投票率に変化はあるのだろうか。

■高校生にとって政治は身近な問題になったのか

 選挙権が18歳以上に引き下げられた(いわゆる18歳選挙権)のは、2016年6月19施行された改正公職選挙法からである。これによって、高校3年生のなかにも有権者が生まれることになった。

 慌てたのは高校の学校現場で、高校生にも政治が身近な問題になってしまったために、学校内に政治が持ち込まれる可能性が高くなったからだ。それまで高校の校内で、政治はタブーな存在だった。

 とはいえ、18歳選挙権という問題を無視するわけにもいかず、選挙についての特別授業を多くの学校で実施した。一方で、学内で生徒が政治的な集まりをもつことを禁じたりする学校も少なくなかった。文科省も、教職員の政治的な発言にはいっそう神経を尖らせることになる。

 そのためか、高校における選挙関連の教育といえば、「模擬投票」が一般的になっていく。模擬投票によって「投票の仕方」を教えて「投票に行きましょう」と呼びかけ、それで「主権者教育」と称しているのが実態である。

 現実の政治について考えさせる場を与えず、積極的に排除しておきながら、「投票に行きましょう」とは乱暴である。そうした実態を「主権者教育」としているのも、おかしなことである。

 31日に迫っている総選挙では、「野党共闘」がひとつの焦点となっている。289小選挙区のうち217選挙区で野党5党(立憲民主、共産、国民民主、社民、れいわ)が候補者を一本化することで自民党に対抗しようというのが、野党共闘である。野党がひとつにまとまることによって、バラバラで候補者を立てて票を分散する状態にくらべれば反自民党の票をまとめやすくなり、「野党vs自民党」の図式になるわけで、自民党は危機意識を強めているにちがいない。

■野党共闘の意味を高校生は理解できているのか

 その「野党vs自民党」を、はたして選挙権をもつ高校生は認識しているだろうか。高校では生徒に、その知識を与えているだろうか。

 これまで選挙で若い人に意見を訊いてみると、「投票したい候補者がいない」という答が戻ってくることが多かった。それには、「確かにね」と肯くしかない面もあった。

 しかし「野党vs自民党」となれば、事情が少しばかり違ってくるのではないだろうか。候補者ではなく、野党か自民党か、に投票することになる。もっといえば、反自民党か自民党支持か、になる。その図式くらいは、高校でも説明があってもよさそうなものである。

 そうした図式にさえ関心がないとなれば、若者の政治離れは深刻と言わざるをえない。模擬投票ではなく、主権者教育を根本から考えなおす必要があるはずだ。

 前回の総選挙は、18歳選挙権が施行された翌年の2017年に行われたが、このときの10歳代の投票率は40.49%だった。18歳選挙権が話題になっていたためか、20歳代の33.85%よりは高い。

 しかし、全体の53.68%の投票率に比べれば、かなり低い。18歳選挙権が施行されてから初めての、かなり話題になっていたはずの総選挙にもかかわらず、こんな結果だった。

 そして今回は2回目となる総選挙となる。10歳代の投票率に、どんな変化があるのだろうか。そこから高校における主権者教育の実態も透けて見えてくるかもしれない。

フリージャーナリスト

1954年、鹿児島県生まれ。法政大学卒業。立花隆氏、田原総一朗氏の取材スタッフ、『週刊ポスト』記者を経てフリーに。2021年5月24日発売『教師をやめる』(学事出版)。ほかに『疑問だらけの幼保無償化』(扶桑社新書)、『学校の面白いを歩いてみた。』(エッセンシャル出版社)、『教育現場の7大問題』(kkベストセラーズ)、『ほんとうの教育をとりもどす』(共栄書房)、『ブラック化する学校』(青春新書)、『学校が学習塾にのみこまれる日』『シェア神話の崩壊』『全証言 東芝クレーマー事件』『日本の小さな大企業』などがある。  ■連絡取次先:03-3263-0419(インサイドライン)

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