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大不振でノンテンダーとなったが、他球団から得た契約は今シーズンの年俸を上回る

宇根夏樹ベースボール・ライター
コディ・ベリンジャー Sep 30, 2022(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 先月中旬、コディ・ベリンジャーは、ロサンゼルス・ドジャースにノンテンダーとされ、FAとなった。けれども、来シーズンの球団が決まるまで1ヵ月かからなかった。

 ニューヨーク・ポストのジョン・ヘイマンやMLB.comのマーク・フェインサンドらが、シカゴ・カブスと契約合意、と報じている。来シーズンの年俸1250万ドルに相互オプションがつき、オプション破棄の解約金500万ドルを含め、1年1750万ドルの契約だという。

 年俸だけを比べると、今シーズンの1700万ドルから450万ドルのダウンだ。ただ、ベリンジャーとカブスのどちらか一方がオプションを破棄すれば、ベリンジャーは、今シーズンよりも50万ドル多い、1750万ドルを手にする。なお、両者がオプションを行使した場合、2024年の年俸がいくらになるのかは不明だ。

 ここ2シーズンのOPSは、2021年が.542、2022年は.654だ。出場95試合の昨シーズンは、故障が不振の理由だったのかもしれないが、今シーズンは、144試合に出場している。にもかかわらず、ホームランは20本に届かなかった。

 だが、メジャーリーグ1年目の2017年は、39本のホームランを打ってOPS.933を記録し、満場一致で新人王に選ばれた。3年目の2019年は、47本塁打とOPS1.035。MVPを受賞した。2018年と2020年のOPSは.800前後だ。こちらの下降は、ここ2年ほど大きくなく、それぞれ、2年目のジンクスと短縮シーズンが理由という見方もできる。

 また、ベリンジャーは、外野3ポジションと一塁を守る。今シーズンは、出場した全試合でセンターの守備についた。これだけパワーのあるセンターは、滅多にいない。しかも、守備はうまく、来シーズンの年齢(6月30日時点)は27歳だ。両隣を守るイアン・ハップ鈴木誠也よりも、1歳若い。

 カブスでなくても、復活に賭けてみる価値は十分にある。2017年と2019年のようなエリート・クラスの打撃ではなくても、2018年と2020年の水準に戻れば、センターのレギュラーとしては悪くない。ドジャースが、来シーズンの契約を提示しなかった――ノンテンダーとした――のも、年俸が理由だったのではないだろうか。ベリンジャーが年俸調停を申請した場合、来シーズンの年俸は1800万ドルを超える可能性もあったと思われる。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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