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何度でも立ち上がるドウデュースと武豊。今度は週末の宝塚記念で復活を期す!!!

平松さとしライター、フォトグラファー、リポーター、解説者
今週の宝塚記念(GⅠ)に出走するドウデュースと武豊騎手(22年撮影)

凱旋門賞惨敗からの復帰

 「日本で言われているほど芝丈は長くないし、深くもないでしょう」
 武豊は、横で並んで歩く横山和生に向かってそう言った。
 2022年10月2日、フランスはパリロンシャン競馬場での話である。この日、行われる凱旋門賞(GⅠ)に参戦する2人は、当日の馬場を自らの足で踏みしめ、確認した。

22年凱旋門賞当日の馬場を歩き「芝丈は短い」と語り合う武豊騎手(左)と横山和生騎手
22年凱旋門賞当日の馬場を歩き「芝丈は短い」と語り合う武豊騎手(左)と横山和生騎手


 この日、行われたGⅠのフォレ賞(1400メートル)ではエントシャイデン(栗東・矢作芳人厩舎)が2年連続での3着と健闘。巷間言われるほど日本馬に向かない馬場とは思えなかった。
 「本当ですね。もっと芝が深いモノだと思っていました」
 そう返した横山に対し「ただ……」と、武豊は続けた。
 「ただ、雨が降ると途端に緩い馬場になる。日本とは地盤が違うんだろうね……」
 まるでその言葉を裏付けるような大雨にたたられたのは発走まで30分を切ってからだった。馬場はあっという間に酷くなった。
 そんな馬場の影響があったかは分からないが、武豊騎乗のドウデュースはまさかの惨敗。しかし、それが実力でない事は、帰国してすぐに証明される。
 4ヵ月半の休み明けで出走した23年初戦の京都記念(GⅡ)を圧勝。さすがダービー馬というところを披露した。

22年凱旋門賞ではまさかの大敗を喫してしまったドウデュース
22年凱旋門賞ではまさかの大敗を喫してしまったドウデュース

再タッグで返り咲き

 ところがその後はまた一頓挫あった。
 今度こそと海を越えたドバイでハ行。出走を取り消すと、春は完全休養。秋に復帰したものの、パートナーの武豊が怪我で乗れなかった事もあり、天皇賞・秋(GⅠ)、ジャパンC(GⅠ)をそれぞれ7、4着。ところがところがドウデュースは終わっていなかった。怪我の癒えた天才騎手が鞍上に帰って来た有馬記念(GⅠ)をまたも快勝。改めてダービー馬の実力を誇示してみせた。

23年有馬記念(GⅠ)で見事に王者に返り咲いたドウデュースと武豊騎手
23年有馬記念(GⅠ)で見事に王者に返り咲いたドウデュースと武豊騎手

何度でも立ち上がれ!!!

 さて、そんなドウデュースが今春のドバイターフ(GⅠ)では5着に敗れた。レース前、周囲からは「勝てますよね?」と楽観視する声も囁かれていたが、世界を知るレジェンドは「そんな簡単な競馬はどこにもありません」と、釘を刺していた。そして、残念ながら経験豊富な彼のそんな言葉が的を射る結果となってしまった。終始厳しい競馬となり、レース後、武豊は「不完全燃焼で終わってしまいました」と唇を噛んだのだ。
 今回の宝塚記念(GⅠ)はそのドバイ以来のレースになる。京都は意外にも初めてだが、中間の追い切りでは絶好の動きを披露。仕上がりは良さそうだ。と、なればイクイノックスを退けてダービー馬の栄冠を掌中に納めたこの馬の能力は疑いようのないモノがある。4年連続となるGⅠ制覇という偉業達成のシーンが見られる事を願いたい。

今春のドバイでの武豊騎手
今春のドバイでの武豊騎手

(文中敬称略、写真撮影=平松さとし)

ライター、フォトグラファー、リポーター、解説者

競馬専門紙を経て現在はフリー。国内の競馬場やトレセンは勿論、海外の取材も精力的に行ない、98年に日本馬として初めて海外GⅠを制したシーキングザパールを始め、ほとんどの日本馬の海外GⅠ勝利に立ち会う。 武豊、C・ルメール、藤沢和雄ら多くの関係者とも懇意にしており、テレビでのリポートや解説の他、雑誌や新聞はNumber、共同通信、日本経済新聞、月刊優駿、スポーツニッポン、東京スポーツ、週刊競馬ブック等多くに寄稿。 テレビは「平松さとしの海外挑戦こぼれ話」他、著書も「栄光のジョッキー列伝」「凱旋門賞に挑んだ日本の名馬たち」「世界を制した日本の名馬たち」他多数。

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