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ディープインパクト産駒オーギュストロダンの調教をつける美人ライダーの想いとは?

平松さとしライター、フォトグラファー、リポーター、解説者
オーギュストロダンとレイチェル・リチャードソン攻め馬手(厩舎提供写真)

19年のライダー歴

 今週末に迫ったジャパンC(GⅠ)。日本の大将格ドウデュースに挑む外国勢は3騎。今年の2月にはビザンチンドリームできさらぎ賞(GⅢ)を勝つ等、短期免許での来日経験もあるR・ピーヒュレク騎手騎乗のファンタスティックムーン、フランスの伯楽F・グラファールが送り込む今年のキングジョージ&クイーンエリザベスS(GⅠ)勝ち馬ゴリアットら少数精鋭のメンバーだが、中でも注目を浴びそうなのがオーギュストロダンだろう。

 エイダン・オブライエン調教師が管理する同馬は昨年制したイギリスでのダービー(GⅠ)やアイリッシュダービー(GⅠ)、ブリーダーズCターフ(GⅠ)等、GⅠを6勝。その実力もさることながら、日本競馬最強馬ディープインパクトのラストクロップであり、今回が現役最後の1戦という事でも話題に上がっている。

23年ブリーダーズCターフ(GⅠ)を勝った際のオーギュストロダン
23年ブリーダーズCターフ(GⅠ)を勝った際のオーギュストロダン

 毎朝の調教でこのオーギュストロダンに跨っているのがレイチェル・リチャードソン。1990年6月生まれの女性ライダーだ。

 「イギリスで生まれ、小さい頃からポニーに乗っていたので、自然と競走馬に興味を持ちました」

 そう語る彼女は十代半ばでライダーとなり、すでにその歴は19年を数えるという。

19日朝、東京競馬場でオーギュストロダンの調教に騎乗するレイチェル・リチャードソン攻め馬手
19日朝、東京競馬場でオーギュストロダンの調教に騎乗するレイチェル・リチャードソン攻め馬手

 「エイダンのところに来てからはまだ3年半だけど、オーギュストロダンの他にシティオブトロイも乗らせてもらう等、良い馬達を任せていただいています」

 シティオブトロイは今年の夏、イギリスのヨーク競馬場で行われたインターナショナルS(GⅠ)にドゥレッツァ(5着)が挑戦した際の勝ち馬。初ダートとなったブリーダーズCクラシック(GⅠ)こそ8着に沈んだが、春にはイギリスのダービー(GⅠ)やエクリプスS(GⅠ)を勝利。GⅠ4勝の名馬である。

 「彼は全てにおいてパーフェクトな馬でした。とても乗りやすく、何も言うことはありませんでした。彼の子供等は必ず成功する事でしょう」

シティオブトロイに跨るレイチェル・リチャードソン攻め馬手
シティオブトロイに跨るレイチェル・リチャードソン攻め馬手

オーギュストロダンへの想い

 そう語る彼女だが、オーギュストロダンについては、次のように言う。

 「とても素晴らしい動きをする馬で、何と言っても性格が非常に真面目です。エイダンのところで働かせていただいているので、これから先にも良い馬に出合う可能性はありますが、それらを含めても私の中では1番最高の馬になると思っています」

 彼女自身、日本に来たのは今回が初めてで、朝の東京競馬場での調教をつけながら、冷たい空気の中に浮かび上がる富士山と大きなスタンドを見上げ、次のように思っているそうだ。

 「これだけ素晴らしい競馬場で走れるだけでも、とても嬉しい……」

 「走れるだけで……」と言いながらもさらに続ける。

 「そんな中で勝ってくれればもっと嬉しくなるでしょうし、オーギュストロダンなら沢山の日本の競馬ファンの前で勝ってくれると信じています」

 ここまでのオーギュストロダンとの思い出は「 エプソムダービーとブリーダーズCを勝った時」と言う彼女だが、それを上書き出来る思い出を作れるのか。週末の東京競馬場での答え合わせに刮目したい。

東京競馬場の検疫厩舎でのオーギュストロダン(厩舎提供写真)
東京競馬場の検疫厩舎でのオーギュストロダン(厩舎提供写真)

(文中敬称略、写真撮影=平松さとし)

ライター、フォトグラファー、リポーター、解説者

競馬専門紙を経て現在はフリー。国内の競馬場やトレセンは勿論、海外の取材も精力的に行ない、98年に日本馬として初めて海外GⅠを制したシーキングザパールを始め、ほとんどの日本馬の海外GⅠ勝利に立ち会う。 武豊、C・ルメール、藤沢和雄ら多くの関係者とも懇意にしており、テレビでのリポートや解説の他、雑誌や新聞はNumber、共同通信、日本経済新聞、月刊優駿、スポーツニッポン、東京スポーツ、週刊競馬ブック等多くに寄稿。 テレビは「平松さとしの海外挑戦こぼれ話」他、著書も「栄光のジョッキー列伝」「凱旋門賞に挑んだ日本の名馬たち」「世界を制した日本の名馬たち」他多数。

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