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東京で33.4度 近づく梅雨明け

片山由紀子気象予報士/ウェザーマップ所属
太平洋高気圧が日本の南で勢力を広げる(2021年7月10日ウェザーマップ作画)

 10日(土)の東京は夏空が広がり、気温は午後2時前に33.4度を記録した。今月(7月)は長雨と日照不足に悩まされたが、今後、天気は一転し、来週は梅雨明けを思わせる晴天と厳しい暑さが予想される。

記録的な長雨と日照不足

 きょう(10日)の東京は半月ぶりに晴れました。長く続いた雨空のトンネルをようやく抜けたようです。今月(7月9日まで)の日照時間は3時間と平年の2%です。もともと、6月下旬から7月上旬は一年で最も晴れないときですが、それにしても平年の2%とは、びっくりするくらい少ない。

 また、今月上旬(7月9日まで)の降水量は200ミリを超え、平年の3倍に達しています。これは観測史上2番目の多さです。今年と同程度の日照不足となった2019年は夏野菜が高騰し、エアコンにかわって布団乾燥機が売れました。

【東京】7月上旬の降水量 多い方順位(1875年~今年)著者作成
【東京】7月上旬の降水量 多い方順位(1875年~今年)著者作成

なぜ、著しい長雨になったのか

 東京は平年と比べ一週間遅れて、先月(6月)14日に梅雨入りしました。初めのうちは晴れ間も多かったのですが、先月末以降、梅雨前線とオホーツク海高気圧の影響で、長雨に突入、太陽を見ることはほとんどなくなりました。

2021年7月上旬の天気図(著者作成)
2021年7月上旬の天気図(著者作成)

 上図は今月上旬の天気図です。太平洋高気圧が西に勢力を強める一方で、オホーツク海高気圧が北・東日本に張り出し、梅雨前線は本州付近に停滞したままとなりました。梅雨前線だけでも天気がぐずつきやすいのに、オホーツク海高気圧から吹きだす冷湿な風が加わったことで、日照時間が極めて少なくなりました。これを天気の言葉で「多雨寡照」といい、この天気図は典型的な冷夏の特徴を表しています。

いつ梅雨明け?

 東京の平年の梅雨明けは7月19日頃です。今年は少し早まりそうな気配がしています。今後は冷湿な風をもたらしたオホーツク海高気圧が退き、かわって太平洋高気圧が勢力を強める予想です。最新の週間天気予報によると、来週は徐々に晴れやすくなり、暑さも厳しくなりそうです。早ければ15日頃に梅雨が明ける可能性があります。

2021年7月中旬の予想天気図(著者作成)
2021年7月中旬の予想天気図(著者作成)

高気圧が北偏 激しい雷雨も

 太平洋高気圧が北日本まで張り出し、梅雨前線は中国北部まで北上する見通しです。これまでの長雨で暑さに慣れていないため、体調を崩しやすくなります。先ほど紹介した2019年はその後の暑さで、熱中症で運ばれる人が急増しました。

 もうひとつ気がかりなのは太平洋高気圧の位置です。張り出しが北に偏る傾向があり、本州付近は高気圧と高気圧の間に入る可能性もあります。そうなると、湿った空気の影響を受けやすく、すっきり梅雨が明けるかどうか、見極めが難しい。梅雨が明けたとしても、熱帯低気圧の影響を受けたり、激しい雷雨が頻発したりするおそれがあります。

気象予報士/ウェザーマップ所属

民放キー局で、異常気象の解説から天気予報の原稿まで幅広く天気情報を担当する。一日一日、天気の出来事を書き留めた天気ノートは128冊になる。365日の天気の足あとから見えるもの、日常の天気から世界の気象情報まで、天気を知って、活用する楽しみを伝えたい。著作に『わたしたちも受験生だった 気象予報士この仕事で生きていく』(遊タイム出版/共著)など。

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