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[高校野球]春の都道府県大会1・2位校が、夏の甲子園に行く確率は?(関東編)

楊順行スポーツライター
(写真:イメージマート)

 東北を除き、地区大会が終わった春の高校野球。ある監督は「春とはメンバーが代わるくらいじゃないと、夏は勝てない」というが、そこで考えた。各都道府県大会の春の結果が、どれだけ夏の代表につながっているのか。春夏の決勝カードを並べてみれば、ある程度の傾向が見えてくるかもしれない。以下は、コロナ禍で中止になった2020年を除く直近10年の春夏決勝カードで、左側が勝者。まずは、地区大会で白鷗大足利が優勝した関東から。

■茨城

2024年春 常総学院/鹿島学園

2023年春 常総学院/土浦日大  夏 土浦日大/霞ヶ浦

2022年春 明秀日立/つくば秀英 夏 明秀日立/土浦日大

2021年春 常総学院/常磐大高  夏 鹿島学園/常総学院

2019年春 藤代/水戸商     夏 霞ヶ浦/常磐大高

2018年春 常総学院/明秀日立  夏 土浦日大/常総学院

2017年春 明秀日立/霞ヶ浦   夏 土浦日大/霞ヶ浦

2016年春 常総学院/石岡一   夏 常総学院/明秀日立

2015年春 常総学院/明秀日立  夏 霞ヶ浦/日立一

2014年春 常総学院/霞ヶ浦   夏 常総学院/霞ヶ浦

2013年春 霞ヶ浦/常総学院   夏 常総学院/霞ヶ浦

 春夏の決勝が同じ顔ぶれになったのは2回で、春の決勝に進んだ20チームのうち、夏も決勝に進んだのは半分の10チーム。春も夏も優勝したのは3チームで、春は6回優勝と圧倒的な強さを見せる常総学院がそのうち2回を占める。春は4強以下でも、夏に巻き返す傾向があるのは土浦日大か。

○春の優勝校が夏の代表になる率=.300

○春の準優勝校が夏の代表になる率=.200

■栃木

2024年春 白鷗大足利/宇都宮商

2023年春 作新学院/文星芸大付 夏 文星芸大付/作新学院

2022年春 作新学院/佐野日大  夏 国学院栃木/宇都宮南

2021年春 佐野日大/作新学院  夏 作新学院/佐野日大

2019年春 佐野日大/栃木工   夏 作新学院/文星芸大付

2018年春 作新学院/青藍泰斗  夏 作新学院/白鷗大足利

2017年春 白鷗大足利/作新学院 夏 作新学院/国学院栃木

2016年春 文星芸大付/青藍泰斗 夏 作新学院/国学院栃木

2015年春 作新学院/国学院栃木 夏 作新学院/国学院栃木

2014年春 作新学院/矢板中央  夏 作新学院/佐野日大

2013年春 佐野日大/大田原   夏 作新学院/青藍泰斗

 作新学院は、2011年から10大会連続夏の代表を射止めており、この期間では春も5回優勝で準優勝が2回。だがここ2年、春に優勝しながら夏は甲子園に出場できていない。一方佐野日大、白鷗大足利は、春は優勝しても、夏は準優勝止まり。今春を制した白鷗大は、この夏が久々のチャンスかも。

○春の優勝校が夏の代表になる率=.300

○春の準優勝校が夏の代表になる率=.300

春の日本一・健大高崎に立ちふさがる壁は

■群馬

2024年春 健大高崎/樹徳

2023年春 健大高崎/明和県央   夏 前橋商/桐生第一

2022年春 前橋育英/健大高崎   夏 樹徳/健大高崎

2021年春 関東学園大付/東農大二 夏 前橋育英/健大高崎

2019年春 前橋育英/健大高崎   夏 前橋育英/前橋商

2018年春 健大高崎/関東学園大付 夏 前橋育英/健大高崎

2017年春 前橋育英/健大高崎   夏 前橋育英/健大高崎

2016年春 前橋育英/健大高崎   夏 前橋育英/健大高崎

2015年春 前橋育英/健大高崎   夏 健大高崎/桐生第一

2014年春 樹徳/桐生第一     夏 健大高崎/伊勢崎清明

2013年春 前橋育英/東農大二   夏 前橋育英/健大高崎

 2022年までの春夏の決勝18大会のうち、実に10回が前橋育英と健大高崎というカードで、春夏連続の対戦が2年続いたことも。そしてすべて前橋育英が勝つという極端な結果になっている。夏に限っても決勝では5連敗中の健大だが、センバツを制覇した今年は苦手克服なるか。

○春の優勝校が夏の代表になる率=.400

○春の準優勝校が夏の代表になる率=.100

■埼玉

2024年春 花咲徳栄/昌平

2023年春 昌平/浦和学院   夏 浦和学院/花咲徳栄

2022年春 浦和学院/山村学園 夏 聖望学園/浦和学院

2021年春 浦和学院/花咲徳栄 夏 浦和学院/昌平

2019年春 春日部共栄/浦和実 夏 花咲徳栄/山村学園

2018年春 浦和学院/花咲徳栄 夏 (北)花咲徳栄/上尾   

                  (南)浦和学院/川口

2017年春 浦和学院/花咲徳栄 夏 花咲徳栄/浦和学院

2016年春 浦和学院/花咲徳栄 夏 花咲徳栄/聖望学園

2015年春 浦和学院/川越東  夏 花咲徳栄/白岡

2014年春 浦和学院/聖望学園 夏 春日部共栄/市川越

2013年春 浦和学院/花咲徳栄 夏 浦和学院/川越東

 目立つのは浦和学院と花咲徳栄の安定した成績だ。浦和学院は春8回優勝のうち夏も3回優勝。徳栄は春の準優勝が5回で、そのうちの3回、夏の代表に(2代表だった2018年含む)。春を制した今夏も代表最右翼だ。夏は公立高校がひんぱんに決勝に進むのも埼玉の特徴か。

○春の優勝校が夏の代表になる率=.300

○春の準優勝校が夏の代表になる率=.300

■千葉

2024年春 専大松戸/中央学院

2023年春 専大松戸/木更津総合   夏 専大松戸/習志野

2022年春 市船橋/銚子商      夏 市船橋/木更津総合

2021年春 千葉学芸/専大松戸    夏 専大松戸/木更津総合

2019年春 習志野/専大松戸     夏 習志野/八千代松陰

2018年春 木更津総合/習志野    夏 (東)木更津総合/成田

                     (西)中央学院/東京学館浦安

2017年春 専大松戸/千葉敬愛    夏 木更津総合/習志野

2016年春 東海大市原望洋/千葉黎明 夏 木更津総合/市船橋

2015年春 専大松戸/沼南      夏 専大松戸/習志野

2014年春 専大松戸/東海大浦安   夏 東海大望洋/専大松戸

2013年春 東海大望洋/専大松戸   夏 木更津総合/習志野

 2015年夏に初めて甲子園に出場した専大松戸は、その年を含めて期間中4回の春制覇のうち、2回夏の代表となり、群雄割拠の千葉で常連となった。木更津総合は、春4強以下でも夏に地力を発揮するようだ。沼南や千葉学芸などの新興校は、春に好成績を残しても夏の壁がなかなか厚い。2代表の2018年を含め、春の優勝校がそのまま夏を制したのが5回ある。

○春の優勝校が夏の代表になる率=.500

○春の準優勝校が夏の代表になる率=.100

■東京

 夏は東西2代表だが、春は一括での開催のため、他県とサンプル数をそろえるようにやはり一括で争う前年秋の決勝も対象とした。

2023〜24年 秋 関東一/創価 春 帝京/東海大菅生 

2022〜23年 秋 東海大菅生/二松学舎大付 春 帝京/関東一 

        夏(東)共栄学園/東亜学園 (西)日大三/日大鶴ヶ丘

2021〜22年 秋 国学院久我山/二松学舎大付 春 関東一/二松学舎大付

        夏(東)二松学舎大付/日体大荏原 (西)日大三/東海大菅生

2020〜21年 秋 東海大菅生/日大三 春 関東一/日大三

        夏(東)二松学舎大付/関東一 (西)東海大菅生/国学院久我山

2018〜19年 秋 国士舘/東海大菅生 春 東海大菅生/国士舘

        夏(東)関東一/小山台 (西)国学院久我山/創価

2017〜18年 秋 日大三/佼成学園 春 日大三/国士舘

        夏(東)二松学舎大付/小山台 (西)日大三/日大鶴ヶ丘

2016〜17年 秋 早稲田実/日大三 春 早稲田実/日大三

        夏(東)二松学舎大付/東海大高輪台 (西)東海大菅生/早稲田実

2015〜16年 秋 関東一/二松学舎大付 春 関東一/二松学舎大付

        夏(東)関東一/東亜学園 (西)八王子/東海大菅生

2014〜15年 秋 東海大菅生/二松学舎大付 春 日大三/佼成学園

        夏(東)関東一/日大豊山 (西)早稲田実/東海大菅生

2013〜14年 秋 関東一/二松学舎大付 春 成立学園/関東一

        夏(東)二松学舎大付/帝京 (西)日大鶴ヶ丘/東海大菅生

2012〜13年 秋 安田学園/早稲田実 春 帝京/日大三

        夏(東)修徳/二松学舎大付 (西)日大三/日野

 夏は2代表のため他県とは比較しにくい。だが、前年秋と春に続けて決勝に進むと、その夏は代表になる確率が高まるようだ。たとえば2018年夏の日大三は前年秋から3大会負けなしで代表になっているし、16年夏の関東一も同様。ただ、秋春の決勝の組み合わせが東、あるいは西の2校に偏ることも多く、参考として率ではなく回数を示しておく。

○秋・春の優勝校が夏の代表になった年=東1回、西2回

○秋・春の準優勝校が夏の代表になった年=東2回、西1回

■神奈川

2024年春 武相/東海大相模

2023年春 慶応/相洋      夏 慶応/横浜

2022年春 桐光学園/桐蔭学園  夏 横浜/東海大相模

2021年春 東海大相模/桐光学園 夏 横浜/横浜創学館

2019年春 東海大相模/桐光学園 夏 東海大相模/日大藤沢

2018年春 横浜/桐光学園    夏(北)慶応/桐光学園

                  (南)横浜/鎌倉学園

2017年春 東海大相模/横浜   夏 横浜/東海大相模

2016年春 横浜/日大高     夏 横浜/慶応

2015年春 東海大相模/相模原  夏 東海大相模/横浜

2014年春 横浜/向上      夏 東海大相模/向上

2013年春 桐蔭学園/桐光学園  夏 横浜/平塚学園

 春は東海大相模と横浜の2強に、慶応などがからむ構図だが、夏の代表となるとその3校に限られる。横浜は、春の優勝3回のうち2回は夏も連覇。相模も春4回の優勝で連覇が2回あるが、今年は相模がこの間初めて春の決勝で敗退。横浜は春4強以下から夏の代表権獲得が3回あり、巻き返しが注目される。むろん、昨夏全国制覇の慶応も楽しみだが、この3校以外が夏を制すれば、11大会ぶりということになる。

○春の優勝校が夏の代表になる率=.500

○春の準優勝校が夏の代表になる率=.100

■山梨

2024年春 山梨学院/日大明誠

2023年春 甲府工/山梨学院     夏 東海大甲府/駿台学園

2022年春 山梨学院/甲府城西    夏 山梨学院/甲府工

2021年春 駿台甲府/日本航空    夏 日本航空/富士学苑

2019年春 山梨学院/駿台甲府    夏 山梨学院/東海大甲府

2018年春 山梨学院/東海大甲府   夏 山梨学院/帝京三

2017年春 山梨学院/駿台甲府    夏 山梨学院/東海大甲府

2016年春 東海大甲府/日本航空   夏 山梨学院/東海大甲府

2015年春 東海大甲府/甲府工    夏 東海大甲府/甲府城西

2014年春 甲府工/山梨学院大付   夏 東海大甲府/日本航空

2013年春 山梨学院大付/富士河口湖 夏 日川/日本航空

 昨年のセンバツで、春夏通じて県勢初の全国制覇を果たした山梨学院に勢いがある。直近6年の12大会のうち8大会で優勝。それもすべて春夏連続優勝だから、今年もかなり代表の座に近いか。

○春の優勝校が夏の代表になる率=.500

○春の準優勝校が夏の代表になる率=.100

 こうして見てくると、東京を除く関東の各県では、春の決勝に進んだチームのどちらかが、半分強の確率で夏の代表になっている。ちなみに、春季関東大会で決勝に進出したチーム20校のうち、その年の夏に甲子園に行ったのは7校。こちらの確率は.350と、さほど高くないのがおもしろい。

スポーツライター

1960年、新潟県生まれ。82年、ベースボール・マガジン社に入社し、野球、相撲、バドミントン専門誌の編集に携わる。87年からフリーとして野球、サッカー、バレーボール、バドミントンなどの原稿を執筆。85年、KK最後の夏に“初出場”した甲子園取材は64回を数え、観戦は2500試合を超えた。春夏通じて55季連続“出場”中。著書は『「スコアブック」は知っている。』(KKベストセラーズ)『高校野球100年のヒーロー』『甲子園の魔物』『1998年 横浜高校 松坂大輔という旋風』ほか、近著に『1969年 松山商業と三沢高校』(ベースボール・マガジン社)。

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