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[高校野球]秋季地区優勝10校が出そろう。神宮大会では明徳と横浜が激突!

楊順行スポーツライター
(写真:アフロ)

 秋の高校野球は二松学舎大付が東京を制し、全国10地区の優勝校が出そろった。

 いまでは、翌年センバツの出場校を選考するための重要な大会だが、第1回のセンバツが開催された1924年、前年の秋季地区大会はまだ開催されていない。主催者が「強そう」と判断したチームを文字通り「選抜」していたのだ。

 これは以前にも書いたが、初めて秋季大会が行われたのは、戦後になっての47年だ。この年夏の甲子園では、小倉中(福岡)が優勝し、深紅の優勝旗が初めて関門海峡を越えた。大会後の優勝パレードに、車が動けないほどの市民が殺到したという人気の高まりに、九州大会を創設してはどうか、という構想が持ち上がる。すると早くも10月には、鹿児島で第1回の九州大会が開催され、沖縄を除く7県から8校が集結した。このとき優勝したのが小倉中で、準優勝の大分中(現大分上野丘)とともに翌年のセンバツに出場している。

 この動きは全国に波及した。翌48年には九州に加えて北海道、関東、中部(静岡、愛知、岐阜、富山、新潟の5県。61年まで開催された)、近畿(この年だけ三重、福井も含む)、中国、四国で秋季地区大会がスタート。これも以前書いたことだが、この各大会の成績が、翌49年のセンバツにどれだけ反映しているか調べると、なかなか興味深い(○は翌春センバツ出場校)。

・北海道 優勝=函館商 準優勝=小樽商

・関東 優勝=○日川(山梨) 準優勝=桐生工(群馬)

・中部 優勝=静岡一(現静岡) 準優勝=○岡崎(愛知) ※(以下同)翌春センバツにはこの大会未出場の県岐阜商が出場

・近畿 優勝=○大鉄(現阪南大高・大阪) 準優勝=滝川(兵庫) ベスト4=○海南(和歌山) 1回戦敗退=○平安(現龍谷大平安・京都) ※北野(大阪)、芦屋(兵庫)、兵庫、桐蔭(和歌山)

・中国 優勝=○関西(岡山) 準優勝=柳井(山口)

・四国 優勝=○徳島商 準優勝=○高松一(香川)

・九州 優勝=○小倉 準優勝=大分二(現大分工) ※大分一

 49年のセンバツ出場校は16だから、いまと単純比較はできないが、地区大会優勝のうち2校は、出場できていない。むしろ、地区大会には未出場でも選考されることがザラにあった。さらに当時、冷遇されていた北海道や東北からは1校も出ていないのに、近畿からは7校出場だから、かなり優遇されているのがわかる。いまこんな選考がされたら大騒ぎだ。

かつては地区大会優勝=甲子園、ではなかった

 秋季地区大会はさらに、49年には東北でもスタートし、中部が東海と北信越に分かれてトータル9地区に。その49年秋季大会では、東北地区で福島商、北信越で長野北(現長野)が優勝しているのだが、両校とも、翌春の甲子園には出場できていない。つまり、地区大会の成績がセンバツに直結するわけじゃなかったのだ。やがて秋季地区大会は、56年には東京が関東から独立して10地区に。さらに昨年、東北のセンバツ一般選考枠が3になったように、地区による不公平感は徐々に解消していく。

 地区大会優勝の10校は、20日に開幕する明治神宮大会に臨む。組み合わせはすでに決まっており、甲子園優勝経験があるのがそのうち6校というのはなかなか豪華だ。

 なかでも、明徳義塾(高知)と横浜(神奈川)の対戦が興味深い。松坂大輔のいた1998年夏の甲子園、両校は準決勝で当たり、明徳が8回の攻撃を終えて6対0と大量リード。だが横浜は、その裏から残り2回で7点を挙げて大逆転サヨナラ勝利を収め、春夏連覇につなげている。両校はこの一戦を含め、過去甲子園で3度対戦し、いずれも横浜が勝利。さて、今回はどうなりますか。 

スポーツライター

1960年、新潟県生まれ。82年、ベースボール・マガジン社に入社し、野球、相撲、バドミントン専門誌の編集に携わる。87年からフリーとして野球、サッカー、バレーボール、バドミントンなどの原稿を執筆。85年、KK最後の夏に“初出場”した甲子園取材は64回を数え、観戦は2500試合を超えた。春夏通じて55季連続“出場”中。著書は『「スコアブック」は知っている。』(KKベストセラーズ)『高校野球100年のヒーロー』『甲子園の魔物』『1998年 横浜高校 松坂大輔という旋風』ほか、近著に『1969年 松山商業と三沢高校』(ベースボール・マガジン社)。

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