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「カネロ戦が唯一の黒星」IBF6位が再起戦に勝利

林壮一ノンフィクション作家/ジェイ・ビー・シー(株)広報部所属
Mikey Williams/Top Rank

  今年5月4日、シンコ・デ・メヨの週末にメキシコ人対決として催されたWBA/WBC/IBF/WBO4冠統一スーパーミドル級タイトルマッチでサウル・"カネロ"・アルバレスに挑み、0-3の判定負けを喫した元WBOスーパーウエルター級王者のハイメ・ムンギア。

 現在、WBC同級のシルバー王者となっている。幼い頃からカネロに憧れ続けたムンギアは、リスペクトが強過ぎた感があった。第4ラウンドに右アッパーをクリーンヒットされダウン。キャリアの差を見せ付けられた。

Ryan Hafey & Esther Lin/Premier Boxing Champions
Ryan Hafey & Esther Lin/Premier Boxing Champions

 そのムンギアが現地時間9月20日にアリゾナ州グレンデールで再起した。スロースターターだったムンギアだが、無敗だったエリック・バジニャンを10ラウンドでKOし、カネロ敗北から立ち直ったように見える。この日、ムンギアは自身の戦績を44勝(35KO)1敗とした。

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 32勝(23KO)1敗1分となったバジニャンは、鋭いジャブで序盤にペースを奪い、ムンギアが冷静に距離を縮めると、右を放った。ティファナの希望と呼ばれる27歳のムンギアは、徐々にボディブローで流れを掴んでいった。

 その後、トレーナーのエリック・モラレスがムンギアに、プレッシャーを強めるよう促し、ムンギアは6ラウンドにボディショット、7ラウンドに強烈な右をぶち込みバジニャンにダメージを与える。

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 バジニャンは翌8ラウンドに粘りを見せたが、第10ラウンドにギアを入れたムンギアの左フックを浴び、グロッキーに。その後、右ストレートをアクセントとしたムンギアに連打され、キャンバスに沈んだ。

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 勝者は言った。

 「賢くやらなければいけないファイトだった。バジニャンは頑丈で、パンチも強い。だからしっかりガードし、ボディショットを効果的に決める必要があった10ラウンドは、自分のすべてを出し切ろうと思った。だからこそ、ノックアウトできたんだ。

 これから僕には、168パウンドでの大舞台が待っている筈だ。ケイラブ・プラント、エドガー・ベルランガ、クリスチャン・エンビリらが、対戦相手の候補に挙がっている。素晴らしい戦いをしてみせるよ」

Mikey Williams/Top Rank
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 バジニャンもコメントした。

 「自分が勝っているような気がした。私のジャブ、右ストレート、カウンターで、ムンギアはフラストレーションを溜めていた。疲れてきていたところで、突然、捕まった。そこで何が起こったのか分からない」

 ご存知のように、IBFはカネロからタイトルを剥奪し、現在空位だ。今回のゴングが鳴った時点でムンギアは同6位。IBF王座に絡めるか。

ノンフィクション作家/ジェイ・ビー・シー(株)広報部所属

1969年生まれ。ジュニアライト級でボクシングのプロテストに合格するも、左肘のケガで挫折。週刊誌記者を経て、ノンフィクションライターに。1996年に渡米し、アメリカの公立高校で教壇に立つなど教育者としても活動。2014年、東京大学大学院情報学環教育部修了。著書に『マイノリティーの拳』『アメリカ下層教育現場』『アメリカ問題児再生教室』(全て光文社電子書籍)『神様のリング』『世の中への扉 進め! サムライブルー』、『ほめて伸ばすコーチング』(全て講談社)などがある。

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