東洋経済オンライン編集長の移籍に見る理想のキャリアデザイン
先日、東洋経済オンラインの佐々木編集長のニューズピックスへの移籍が話題となりました。若干32歳で東洋経済オンラインの編集長に抜擢され、わずか4か月でPVを7倍に増やし、一躍旬の人物になった観のある佐々木氏については「地上波テレビ番組や全国紙で見たことある」という人も多いはず。その旬な人がまさに旬まっただなかで新興ネットメディアに移籍したのですから、話題にならないはずがありません。
と同時に、筆者はもう一つ別の理由でも、本件に注目しました。それは、氏の移籍が、ほとんど理想的なキャリアデザインに基づいたものだったためです。ポスト終身雇用のキャリアデザインを考えるうえで格好の教材と思われるので、今回はこの移籍について考察してみましょう。
人材には“早熟型”と“晩成型”の二種類ある
人材には、社会に出る時点で既に「自分が何をやるべきか」が明確に見えている人材と、ぼんやりとしか見えていない、あるいはまったく何もみえていないタイプの2種類います。ここでは仮に前者を早熟型、後者を晩成型と呼びます。
前者は(目標が見えているわけですから)そのために学生時代も一定の自己投資を行っていて、卒業と同時に既に一定の即戦力性を持っています。職種内容で絞って複数社から内定を取ったり、20代で起業するタイプはこちらですね。
一方、後者はぼんやりした学生時代を過ごし、大企業や官庁にポテンシャル採用されるタイプが典型です。数でいえばこちらの方が圧倒的に多数派ですね。逆に言うと、大企業や官庁がそういう風変わりな採用を行ってきた結果、こういうタイプが主流になったとも言えるでしょう。
筆者の見たところ、どうも中学生くらいをどういう風に過ごしたかでどちらのタイプになるか決まるように見えますね。受験で頑張りすぎるとほぼ例外なくぼんやり型になるような気がしています。逆に私立中高から内部進学した人材の中に、強烈な目的意識を持った人材が散見されるように思います(ホームラン級のバカもそれ以上に混在してますが)。
「自分はこれから何をやったらいいんでしょうか?」
という疑問を抱いた時点で、自分は早熟型ではなく、晩成型の人材だと考えた方がいいでしょう。どちらが良い悪いではなく、そういうもんだと割り切ってください。
さて、世の中には、いろいろな分野で目立つ人たちがいて、様々な情報発信をしています。当たり前ですが、そういう目立つ人の多くは、早期に目標をもって自立した早熟型であり、当然ながら彼らの経験からのアドバイスを発信します。後先考えずにとりあえずやってみろ、就職するなんてもったいない、迷わず行けよ行けばわかるさetc……
それらは間違いなく真実のメッセージなのですが、同時にそれは早熟型の人材以外にはあんまり参考にならないわけです。では、晩成型の人材はどうキャリアを考えればいいのか。それが、筆者の言うところのキャリアデザインであり、明確な目的が見え、かつそのためのスキルが身に付くまで5年でも10年でも組織で働くというものです。
そういう観点から言えば、東洋経済という明治以来の名門経済誌でジャーナリズムの基礎を身に着けつつ、ホットな事業領域であるオンライン編集長を経て、30代半ばで新興企業ポストに移籍する佐々木編集長は、晩成型としてきわめて合理的にキャリアデザインしていることがよくわかります。氏のケースは、既存組織内で爪を研ぎ「その日」に備えている多くの若手ビジネスマンにとって、貴重なモデルケースとなるでしょう。
以降、
レベル1、スキル無しのキャラを最強の戦士に育てる方法
ターニングポイントは3度ある