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そこまでしなくてOK!マナー講師も違和感を覚える、やりすぎマナー5選

樋口智香子マナー・コミュニケーション講師

マナーというと「○○してはいけない」とか「○○しなければならない」というように、お堅く厳しいものだと思われがち。
しかし、これは大きな誤解です。本来は、相手への思いやりを表すことで、お互いに心地よく過ごすためのものです。

とはいえ、ある程度の定まった型があることから、決められたルールのように扱われているのが現状です。過剰な情報が伝わり、おかしな行動になっていることも。

そこでこの記事では、マナー講師である筆者が、そこまでしなくてもいいのでは、と違和感を覚える、やりすぎマナーについてお伝えします。

ビジネス電話で、相手が切るのを待ち続ける

ビジネスの電話で、お互いに相手が切るのを待つあまり、会話の後におかしな間ができたことはないでしょうか。これは、相手より先に切るのは失礼、という思いこみのせいかもしれません。

一般的なビジネスマナーとしては、かけた側が先に切ります。受けた側は、相手からの要件が終わったことを確認してから切る、という意図があるからです。

とはいえ、お互いに待ってしまうようであれば、受け手から切っても問題ありません。「失礼いたします」と、ひとこと添えて、静かに切りましょう。

「させていただく」を過剰に使う

会話でもメールでも、「させていただく」という言葉遣いを多用していないでしょうか。へりくだった印象があるので、つい、使いがちですね。

とはいえ、あまりにも多用すると、うっとうしい言い回しになってしまいます。

文化庁の「敬語の指針」によれば、以下2つの条件を満たす度合いで「させていただく」の適切な使い方になるとされています。

【1】相手側又は第三者の許可を受けて行い,
【2】そのことで恩恵を受けるという事実や気持ちのある場合

「させていただく」を使わなくてもすむ場合には、シンプルな言い方にしたほうがスッキリします。

例:私から、ご連絡をさせていただきます → 私から、ご連絡いたします

受けとった名刺をテーブルに置いたまま、飲食をする

パーティなど、飲食をする場での名刺交換で、受け取った名刺をどうするか、迷ったことはないでしょうか。
名刺交換後、着席をする場合は、名刺入れの上にのせて机の上に置く、というビジネスマナーがあります。

しかし、飲食を伴う場合、同じようにする必要はありません。料理のお皿やグラスと共に、名刺が並べてあるのは不自然ですよね。「汚してしまうといけませんので、頂戴いたします。」と言って、名刺入れに収めるといいでしょう。

お互いに「どうぞ」と席を譲り続けて、なかなか座らない

例えば、レストランで。壁際のソファと、ひとりがけの椅子がある場合「奥へどうぞ」「いえいえ、どうぞ」と、お互いに譲り合って、なかなか座らないというシーンに遭遇したことはないでしょうか。

マナーには「席次」という概念があります。お客様や目上の人に上座(より良い席)に座っていただく、というおもてなしの心を表現したものです。

これにこだわりすぎると、お互いに良い席を勧めあって、なかなか着席しないというまどろっこしい事態になります。どうぞどうぞが続く場合は「では、お言葉に甘えて」と、好意を受けたほうがスマートです。

お客様が去るまで、頭を下げ続けるお見送り

顧客として店舗や宿泊施設を利用する際、スタッフの方から、深々と頭を下げ続けたお見送りを受けることがあります。

これについては、私の主観になりますが、お見送りでも普通のお辞儀同様、頭を上げて、最後は顔を見せることをお勧めします。

深々としたお辞儀のまま見送るのがよくないとは思いませんが、そうされると、何だか恐縮してしまうからです。

もちろん、施設ごとの考え方があるはずですので、そうすることを否定はしません。
しかし、個人的には、頭を上げて笑顔で見送っていただくほうが、安心感があります。接客業の方は、ご一考くださいね。

以上、やりすぎではないかな?と感じる行動についてお伝えしました。
マナーをお伝えする立場ではありますが、型にこだわるのではなく、その場その場で、お互いに心地よく過ごせることがいちばんではと思います。

マナー・コミュニケーション講師

マナー・コミュニケーション研修講師。千葉県出身、元資生堂ビューティコンサルタント。NLP心理学とマナーをかけ合わせたプログラムにより、ビジネスマナー研修・接遇マナー研修・コミュニケーション研修棟を実施。全国250か所から招致され、指導人数は延べ20000人以上。セミナー・研修の他、書籍の出版、コラム執筆、雑誌記事や教材監修など幅広く活動中。

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