「へ理屈」ばかり言う部下を黙らせる3つの方法
「なんで、そんなにへ理屈ばかり言うんだ?」
職場で「へ理屈」を言い続ける部下に頭を抱える上司は少なくない。
「へ理屈」は仕事の効率を落とし、チームの雰囲気を悪くする。とはいえ単に叱責したり無視したりするだけでは問題は解決しない。むしろ部下の不満を増幅させ、より深刻な事態を招く恐れがある。
そこで今回は、「へ理屈」ばかり言う部下を黙らせる3つの方法について解説する。これらの方法を知ることで部下とのコミュニケーションを改善し、建設的に対話できるようになるだろう。組織リーダーはもちろんのこと、チームワークを大切にするすべての人に、ぜひ読んでもらいたい。
■「へ理屈」とは何か? 撃退する3つの方法
「へ理屈」とは、理屈に合っていないこと、つまりこじつけや詭弁、言い訳のようなものを指す。論理的な思考が欠ける人が、自分の都合のいいように解釈して言い訳するときに「へ理屈」を言う。
では、どのようにすれば「へ理屈」ばかり言う部下を黙らすことができるのか? 3つの方法を紹介しよう。
(1)論点を明確にして質問で切り返す
(2)結論ファーストの指示を徹底する
(3)相手に責任を持たせる
(1)論点を明確にして質問で切り返す
最初は、論点を明確にして質問で切り返す方法だ。
「へ理屈」を言う部下の特徴は、本質から外れた細かい点(幹ではなく枝葉)にこだわることだ。このような思考に対処するには、議論の核心(幹の部分)に戻すための質問が有効である。
例えば、
「顧客管理システムに名刺情報を入力するより、昔ながらの名刺フォルダーで管理したほうが便利ですよ」
と「へ理屈」を言う部下がいたら、こう質問してみるのだ。
「このシステムを導入する本質は何だと思う?」
すると部下は、自分の「へ理屈」を顧みることができるだろう。
「お客様の情報を共有することが、本質でしょうか?」
「情報共有が本質なんだろうか?」
「あ、いや。情報共有して、お客様の満足度をアップすることが本質だと思います」
「お客様の満足度をアップすると、どうなるんだろう?」
質問を重ねることで、部下は「へ理屈」が単なる言い訳や不満の表れだと気付くことだろう。そして建設的な対話へと導くことができる。
(2)結論ファーストの指示を徹底する
「へ理屈」を防ぐ二つ目の方法は、結論を先に示し、行動を明確に指示することだ。先ほどの例であれば、
「名刺をもらったら顧客管理システムに入力してくれ」
と行動だけ指示するから、
「わざわざシステムを入力するより、名刺フォルダーで管理したほうが便利です」
このように、「へ理屈」を返される。結論ファーストで話せば、次のようになる。
「組織全体の営業生産性をアップするために、名刺をもらったら顧客管理システムに入力してくれ」
組織で顧客情報を共有することで、ムダなコミュニケーションが減ったり、タイムリーにお客様対応ができたりする――。システム導入の本質的な目的を先に伝えておけば、「へ理屈」を言われる可能性は低くなるだろう。
(3)相手に責任を持たせる
三つ目は、相手に責任を持たせることだ。あくまでも「名刺フォルダーで管理する」と部下が言い張るなら、こう言い返してみよう。
「君以外の営業は全員システムに入力するのに、君だけは名刺フォルダーで管理するというのなら、それでもいい。しかし組織の生産性について、君はどう責任をとるんだ?」
結果に責任を持つとなると、軽々しい「へ理屈」は通用しないと分かるはずだ。部下も言葉選びに気を遣うことになるだろう。
ただし、この方法を使う際は注意が必要だ。部下を追い詰めすぎると、萎縮してしまうこともある。組織の心理的安全性も下がるリスクもある。あくまでも建設的な対話を促すための手段であることを忘れてはならない。
■まとめ
「へ理屈」を言う部下に手を焼く上司は多い。しかし、時として部下の不安や不満の表れということもある。
単に封じ込めるのではなく、建設的な対話に変えていくことが重要だ。「へ理屈」や言い訳が部下の口から出る前に、日ごろから信頼関係を築く努力を怠らないようにしよう。そのためには通り一遍の話し方をせず、相手のタイプに合わせた話し方をするべきなのだ。
<参考記事>