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右SBの方がよい選手に見える?長友と、左SBを軽視してきた日本代表サッカー史

杉山茂樹スポーツライター
(写真:岸本勉/PICSPORT)

 FC東京がガンバ大阪に0-0で引き分けた前節の一戦。長友佑都は7月2日のアビスパ福岡戦以来8試合ぶりに、左のサイドバック(SB)として出場した。長友が今季、先発を飾ったのはこれが20試合目で、そのうち左SBとしての出場は福岡戦が5試合目だ。すなわち左右の関係は、左25%対右75%になる。

 本職は左SBと言うより、もはや右SBだ。長友が明大からFC東京入りした当初、右SBとしてプレーする姿を見た記憶がある。左SBにコンバートされた理由は定かではないが、その記憶が鮮明な筆者は長友について、かねてから左にこだわらず、右SBとしても試すべきだと事ある毎に述べてきた。その時々の代表監督は、長友をなぜ右で起用しないのか。右も左もできるSBがチームに1人いれば選択肢は増える。W杯のような短期集中大会には有効な考え方だと主張してきた。

 いまでこそ、右も左もこなすSBはさほど珍しくないが、10数年前は希少な存在だった。世界をパッと見渡しても、フィリップ・ラーム(ドイツ)、ジャンルカ・ザンブロッタ(イタリア)くらいしか目に止まらなかった。彼らの存在こそが、長友を右SBで使えという根拠になっていた。

 長友の前に代表でスタメンの座を築いていた駒野友一も、右利きの左SBで、右SBもこなすという多彩さを持ち合わせていた。しかし、いま振り返れば、左SBが人材難だったため、無理矢理左に回ったという印象である。

 その点、後に現れた酒井高徳は自然だった。右利きながら左右両方こなすSBと言う点で長友、駒野と一致したが、左SBらしさという点では長友、駒野に勝った。

 左利きのような身のこなしで、タッチラインに対し膨らむように前進することができる酒井に対し、見るからに左の適性が低そうな長友が、左SBでしかプレーしないことに不自然さを覚えたものだ。

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スポーツライター

スポーツライター、スタジアム評論家。静岡県出身。大学卒業後、取材活動をスタート。得意分野はサッカーで、FIFAW杯取材は、プレスパス所有者として2022年カタール大会で11回連続となる。五輪も夏冬併せ9度取材。モットーは「サッカーらしさ」の追求。著書に「ドーハ以後」(文藝春秋)、「4−2−3−1」「バルサ対マンU」(光文社)、「3−4−3」(集英社)、日本サッカー偏差値52(じっぴコンパクト新書)、「『負け』に向き合う勇気」(星海社新書)、「監督図鑑」(廣済堂出版)など。最新刊は、SOCCER GAME EVIDENCE 「36.4%のゴールはサイドから生まれる」(実業之日本社)

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