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超攻撃的から超守備的に転じた甲府。そのクラブの色は何色か?

杉山茂樹スポーツライター
バルサに移籍したコウチーニョ(写真:ロイター/アフロ)

 シーズン開幕が迫ってきたJリーグ。切望したいのは、レベルの高い好試合だ。サッカーの発展に貢献するサッカー。引いて守るのではなく、高い位置からプレスを掛けていく、今日的で攻撃的なサッカーである。

 加えて、クラブの色だ。川崎フロンターレは5年先、10年先、幾度かの監督交代を経ても、いまと同じ色のサッカーを貫けるか。それをクラブの色にすることができるか。

 Jリーグ発足以来、25シーズンが経過したが、外部にも分かりやすい独自の色を構築したクラブを確認することはできない。定見がないクラブが目立つ。色を決めるのはクラブであって監督ではない。「ハリルホジッチではなく日本サッカー協会だ」といえば分かりやすいだろう。色がコロコロ変わるサッカーでは、クラブの求心力は高まらない。成績が落ちれば、ファンは途端に去って行く。相手のクラブからもリスペクトされない。

 昨季、J1で最も後ろで守るサッカーをしたのは甲府だ。ピッチを縦に3分割に分けた時、自軍ゴールに近い3分の1のエリアでボールを奪った確率(低い位置でボールを奪った確率)は62%に及ぶ。首位の柏が51%なので、その差は11%に達する。

 距離にすれば、平均で10mほど低い位置になる。ピッチの縦は105mなので、大きな差だ。自然に起きた現象ではない。意図的に引いていることが分かる。

 逆に、最も高い位置でボールを奪ったチームはJ2の岐阜だ。手前3分の1でボールを奪った確率は50%。半分はピッチの向こう側3分の2で奪っている。柏さえも凌ぐ高さだ。ハーフウェイラインより向こう側という設定にすれば25%。4回に1回は相手陣内で奪っている計算になる。

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スポーツライター

スポーツライター、スタジアム評論家。静岡県出身。大学卒業後、取材活動をスタート。得意分野はサッカーで、FIFAW杯取材は、プレスパス所有者として2022年カタール大会で11回連続となる。五輪も夏冬併せ9度取材。モットーは「サッカーらしさ」の追求。著書に「ドーハ以後」(文藝春秋)、「4−2−3−1」「バルサ対マンU」(光文社)、「3−4−3」(集英社)、日本サッカー偏差値52(じっぴコンパクト新書)、「『負け』に向き合う勇気」(星海社新書)、「監督図鑑」(廣済堂出版)など。最新刊は、SOCCER GAME EVIDENCE 「36.4%のゴールはサイドから生まれる」(実業之日本社)

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