ついやってしまう「子どものモノを内緒で捨てる」これってアリ!?
私は片づけを通じ、誰かのマネではなく「暮らしを選べる人」を増やす活動を始めて9年目。小中高の4人の子を育てる親です。
小さな子どもを育てる保護者の方から「子どものモノは勝手に捨ててもよいですか?」という質問がありました。
私は、基本的には、子どものモノは勝手に捨てない方がよいと考えています。
しかし、毎回毎回子どもに捨ててよいか確認するのは大変です。明らかに使っていないのに「捨てていい?」と聞いた瞬間に「絶対にいる!」と言い出す子もいます。
保護者も子育てだけに時間をかけることができません。だから、子どものちょっとした工作やお絵かきした紙や、しばらく遊んでいないおもちゃを自然にフェイドアウトする(こっそり捨てる)こともあると思います。
私は4人の子を育てているので、油断するとモノが溢れかえる状態です。だから、子どものモノの「捨てる」問題には、たくさん向き合ってきました。
ということで、今回は「子どものモノを内緒で捨ててよいか」問題について考えてみようと思います。
出会いと別れを繰り返して成長する
モノの出会いは、買ってもらったり、プレゼントされたり、モノを手にするときのこと、モノとの別れは、捨てたり、誰かに譲ったり、手元からモノが離れていくことです。
私は、子どもは、モノとの出会いと別れを繰り返して成長すると考えています。
赤ちゃんの頃は、持ちやすくて、音が鳴るようなおもちゃを愛用して成長し手先を器用に使えるようになると、今度は積み木や、ボタンを押して楽しむようなおもちゃに変わっていきます。
赤ちゃん時代のおもちゃと別れて、新たに発達に合ったおもちゃを手に入れ、それを繰り返しながら成長するのです。これはおもちゃだけではなく、洋服、食器などすべての身の周りのモノにも同じことが言えます。
買ってもらったり、プレゼントをもらう「モノとの出会い」は、子どもにとって最高の喜びですが、問題は別れる時です。
捨てる時は、子どもに「捨てていい?」と聞くと思いますが、「捨てていい?」と聞くと、選択肢が捨てる、捨てないの2つに絞られてしまいます。
これまで遊んできたおもちゃには、子どもの様々な思いが詰まっています。
思いが詰まったモノを、捨てる?捨てない?のどちらかに決めさるのは、やはり難しいです。大人でも苦手に感じる人も多い究極の2択だと思います。
2択でしか答えられない質問では、子どもは本心で答えることができません。
結局、どちらかの選択肢に無理やり自分の気持ちを合わせることになります。それでは「自分で決断した感」がありません。
そこで、試してほしい方法を紹介します。
捨てる?捨てない?ではない選択肢を
遊ばなくなったおもちゃをどうしても捨ててスペースを確保したいときは、どれを残したいか?を聞きましょう。
捨てる、捨てないではなく、子ども自身に残したいモノを決めてもらうのです。
しかし、「全部いる!」という子どももいるでしょう。
そんな時は、おもちゃの選抜総選挙をして、子ども自身に一番好きなおもちゃを選んでもらう方法がおススメです。「全部いる!」と言う子は、自分はどんなおもちゃが大事なのかに気づいていないことがあります。
自分が本当に好き、大切なおもちゃに気づくことができる「おもちゃの選抜総選挙」の詳しい方法は、こちらに書いているので、こちらも読んでみてください。
※Yahoo!クリエイターズ記事より「〇〇選抜総選挙」で子どもの選ぶ力を育もう
https://creators.yahoo.co.jp/fujiwarayuko/0100099904
捨てるか、捨てないかの2択ではなく、何を残したいか?自分は何が大切なのかを知ることは、子どもが将来、自分の暮らしを作っていくことを考えると、重要なポイントです。
「捨てる」ではなく「卒業」という概念も必要
また、現在、おもちゃの量が全盛期の家庭でも、いずれは、必ず遊ばなくなる時期がやってきます。その時に、フェイドアウトするのではなく、子どもが納得しておもちゃを捨てる(卒業する)経験をさせてあげましょう。
私の末っ子(当時小2)は、お兄ちゃんから受け継いだ電車のおもちゃで遊ばなくなってからも、そのおもちゃがスペースを占領していたので、手放すことにしました。
その時の子どもへの声掛けは「もう遊ばないでしょ、だから捨てよう」ではなく、「もうそろそろ卒業かな?」です。
親が勝手に捨てても、本人にはバレないかもしれません。でも、もう小学生になれば、判断ができます。自分でおもちゃからの「卒業」の時期を決めてほしいのです。
嫌がるようであれば、先延ばしをしてもよいのです。その時は「いつごろ卒業になりそう?」と子どもに時期を決めてもらいましょう。
卒業が決まれば、おもちゃに向かって「ありがとう」と言い、自分でゴミ袋に入れるなり捨てる作業を手伝ってもらいます。
もし、もらってくれる人がいるのであれば、うれしいことです。手入れをして、譲る準備を子どもと一緒にしましょう。
モノは使っておしまいではありません。大切に使ったのであれば、捨てるにせよ、譲るにせよ、その過程に、できるだけ、子どもも関わって、別れの経験をしてもらいたいです。
モノを手にする楽しい出会いの経験だけでは、モノを大切にする気持ちは育ちません。
モノと卒業し、別れる経験をさせることで、たくさん遊んだことを思い出したり、あまり遊ばなかったから少し寂しい気持ちになったりと、モノと向き合うことになるのです。
また、おもちゃをたくさん与えすぎて、収納がパンパンで「いっぱいあるから捨てて」と言うのは、親の都合です。
捨てるということは、誰かが買っているということがほとんど。
手に入れる時によく考えれば、捨てる時の罪悪感は減ります。
子どもに「捨てる」ことを勧めると、モノを大切にできないかも、と心配な方は、捨てることよりも、手にする時を大切にしましょう。
本当にお気に入りのモノを、子どもとじっくり考えて手にするようにすれば、モノを大切にする気持ちが生まれます。
おもちゃだけではない!「卒業」を経験できるもの
おもちゃは、子どもの好みもあり、卒業時期は人それぞれです。高価なモノ、親自身の思い出が詰まったモノもあり、判断が難しいと感じることもあるかもしれません。
他にも子どもが「モノの卒業」を経験するチャンスがあります。
その1.食器
赤ちゃん時代の食器、スプーン、フォークなどを卒業する時期が来ます。
もちろん、本人が納得することが大前提なので、手放したくないというのであれば、使い続けてもよいですが、幼児用、学童用のモノに買い替える時に、「もう卒業だね、一緒にこれまでありがとうをしようか?」と声をかけてみましょう。
その2.靴
子どもの足はどんどん大きくなります。
新しい靴を買ってもらうと、うれしくて新しい方ばかりに目が行ってしまいますが、
これまで愛用した、サイズアウトした靴に、「ありがとう」と言って捨てるのは、比較的子どもも取り組みやすいです。
新しいモノを買ったのに、もう使わない古いモノをいつまでも持っていては、収納がいっぱいになり、どんどん使いにくくなってしまいます。
大人になると、そんなにサイズアウトすることはなので、子どものうちがチャンス!
使わなくなったモノは、卒業するものである。ということを教えるのに、靴は一番はじめやすいかもしれません。
捨てる時こそ、感謝の心を育むチャンス
毎日子育てをしていると、イレギュラーなことも多く、子どものおもちゃの多さが気になっていても、なかなか行動に移すことができないもの。つい子どもに内緒で捨ててしまうこともあるかと思います。
いつもはムリでも、ちょっと心に余裕がある時は、子どもに「捨てていい?」ではなく、「どうしたい?」と聞いてみてください。
そして、靴などを買い換える時は、「卒業」を経験するチャンス。新しいモノとの出会いもあれば、古いモノとの別れもあり、その繰り返しで、人は成長し、暮らしが成り立っていることを親子で感じてほしいと思います。