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新型コロナウィルスと川崎病の関係は? 欧州の子どもたちの間で続発 フランスで20人以上

プラド夏樹パリ在住ライター
新型コロナウィルスに感染した子どもたちが川崎病の症状に(写真:ロイター/アフロ)

「子どもはCovid19で重症にならない」は嘘だったのか?

川崎病とは、1967年、小児科医の川崎富作医師が世界で初めて報告した病気だ。

原因不明で、乳幼児に多く、重症の血管炎から冠動脈障害や心筋梗塞を引き起こす。急性期の症状は、発熱、眼球結膜充血、唇の紅潮といちご舌、発疹。一度しか罹らず、冬か夏にかかりやすい、アジア系の子どもに多いという説もある。病因は、まだよくわかっておらず、遺伝性とも環境性とも考えられている。

(注)上記の「一度しか罹らず」は誤りというお知らせをTwitterからいただきました。どうもありがとうございます。フランスの医学界ではこのように考える人もいるということをお知らせする目的で、あえて残しておきます。出典はこの記事の下から2段落目です。)

症状の写真はこちらです。

先週末、イギリスでCovid19に感染して救急センターに運び込まれた子どもたちが、川崎病と毒素性ショック症候群との特徴が重なった症状(腹痛、胃腸疾患、血管疾患)を発症し重体、その後、亡くなったというニュースがあった。

ところが、今日(4月28日)、19時のニュースで、フランスでも似たような重い症状を引き起こした子どもたちが増加している、しかし、全員がCovid19陽性では必ずしもないと発表された。これまで「子どもはCovid19で重症にならない」と言われていただけに、国民に大きなショックを与えた。折しも、5月11日から外出禁止令が徐々に解除され、保育園、幼稚園から中学校までが再開するという発表がされたばかりだが……

パリの小児科専門ネッケール病院には同じ症状の子どもが10人運び込まれており、パリ近郊では25人と、最近、急増している模様。しかし、同病院の小児心臓科のダミアン・ボネ医師は、「パリ市を含むイル・ド・フランス県でCovid19大量感染が始まったのは5週間前。今になって川崎病の症状を発症する子どもたちがここ2週間で増えており、心配だ。でも嬉しいことには、今のところ、彼らの症状は素早く回復している」と言っている。

同医師が欧州中の病院に連絡を取ったところ、イタリア、スペイン、ベルギーにも同じことが起きているそうだ。

1ヶ月前から始まっていた?

また、パリのクレムラン・ビセートル病院小児科主任のイザベル・コーン・ポー教授はも、「一ヶ月前から川崎病に似た症状の子どもたちが増えてた。そのうち幾人かはCovid19陽性だった」と言っている。

同教授は、発症しているのは「2歳から10歳で、特に慢性化した病歴はない子どもたち」と言う。また、「2月にも、アミアン市から、川崎病と同じ症状の8歳の子どもがいたが、まだ感染者が少なかった時期なのでCovid19との関係がわからず、テストはしなかった」とも。

リヨン市のfemme mere enfant 病院小児リューマチ科のアレクサンドル・ブロ教授は、「今の段階でははっきりしていないが、どちらにせよCovid19が川崎病と同じ症状を引き起こすことはあり得る。……ウィルスに感染したのをきっかけにそれを防ごうとする免疫反応として川崎病の症状が出るのかもしれない」としている。2005年、感染・衛生研究所の生物学者シルヴィー・ピレ教授が「Virologie」という雑誌にHCov NLと川崎病の関係を発表している。

フランスの専門家たちは、この事態を厳重に受け止めており、29日(水曜日)、川崎病とCovid19との関係について緊急会議を開く予定だ。

パリ在住ライター

慶応大学文学部卒業後、渡仏。在仏30年。共同通信デジタルEYE、駐日欧州連合代表部公式マガジンEUMAGなどに寄稿。単著に「フランス人の性 なぜ#MeTooへの反対が起きたのか」(光文社新書)、共著に「コロナ対策 各国リーダーたちの通信簿」(光文社新書)、「夫婦別姓 家族と多様性の各国事情」(ちくま新書)など。仕事依頼はnatsuki.prado@gmail.comへお願いします。

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