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ソロ温泉の達人が教える「ひとり旅でも予約がとりやすい温泉地」5選(東北編)

高橋一喜温泉ライター/編集者

「ひとり旅は予約がとりにくい……」「ひとりだと泊まれない宿もある……」

ひとり旅の初心者から、このような悩みを聞くことがある。

実際、旅行予約サイトなどで宿泊人数を「1人」にして検索すると、「2人」のときよりも検索結果が半減することもある。宿の立場からすれば、1人客よりもグループや団体のほうが利益が大きいので仕方のない面もある。

また、「ひとり客はOK」であっても、一気に料金が高くなってしまうケースも多い。「同じサービスを受けるのに料金が倍近いというのは納得いかない……」という声も理解できる。

とはいえ、ひと昔前よりも一人で宿泊できる宿が増加傾向にあることは確かだ。コロナ禍を経て、ソロ温泉(ひとりでの温泉旅)へのニーズが高まっていることも、その要因だろう。

そこで、今回は東北エリアに絞って「ひとり旅でも予約がとりやすい温泉地」を5カ所紹介したい。ポイントは2つ。

ひとつは、宿のバリエーションが多い温泉地。ある程度規模が大きい温泉地なら大型旅館から小さな宿まで揃うので、ひとり旅を受け入れてくれる宿も多い。温泉旅館にかぎらず、民宿やペンション、ビジネスホテルなどでリーズナブルに過ごす、というプランも選択肢に入る。

もうひとつは、湯治の文化が残る温泉地。療養などに使われてきた昔ながらの温泉地は、ひとり客を受け入れる懐の深さがある。また、湯治宿は宿泊費がリーズナブルという点も、ひとり旅にとってはありがたい。

飯坂温泉(福島県)

東京駅から福島駅まで新幹線で100分。飯坂電車に乗り換えて約20分。飯坂温泉の終点に温泉街が広がる。大きな宿から家族経営の小さな宿までさまざま揃うので、ひとり旅でも宿に困ることはあまりない。鯖湖湯をはじめ共同浴場が充実しているのも魅力で、共同浴場をいくつか巡りながら、温泉街を散策するもの楽しい。

花巻南温泉郷(岩手県)

花巻南温泉郷は花巻市の西、12の温泉地から形成される。花巻温泉のような大規模旅館が並ぶ温泉地もあるが、ひとり旅で狙い目なのは、湯治場の雰囲気が残る台温泉、大沢温泉、鉛温泉など。なかでも大沢温泉は、2つの個性の異なる建物で構成される一軒宿。なかでも自炊部のある「湯治屋」はリーズナブルな料金(3000円代~)で湯治を体験できるので、一人泊や連泊にも向いている。川に面した混浴露天風呂「大沢の湯」が名物。館内には食事処や売店もあり、湯治初心者も安心。湯船も複数あるので、敷地内で湯めぐりを楽しめる。

乳頭温泉郷(秋田県)

日本を代表する「秘湯」といえば、乳頭温泉郷が真っ先に思い浮かぶ。人気の温泉地なのでひとり旅はハードルが高いイメージかもしれないが、湯治場の雰囲気を残す宿が多いため、部屋さえ空いていれば、ひとり客も受け付けてくれる。なかでも江戸時代にタイムスリップしたかのような風情が漂う「鶴の湯」は、乳白色の濁り湯が人気である。そのほか黒湯温泉や孫六温泉なども、非日常の雰囲気を味わえる。乳頭温泉から近い田沢湖高原温泉や水沢温泉も源泉の質が高く、ひとり旅におすすめ。

肘折温泉(山形県)

山あいに湧く静かな温泉地だが、伝統的な湯治場の景観が今も残る。長期の湯治客が多いのも特徴で、日用品や食料品をそろえた商店もある。早朝、温泉街に朝市が立つのも見どころのひとつ。ひとりでもリーズナブルに宿泊できる宿が多く、プチ湯治体験を楽しみたい。連泊でゆっくり過ごすのもよい。

鳴子温泉郷(宮城県)

鳴子温泉郷は、鳴子を中心に東鳴子、川渡、中山平、鬼首の5つの温泉地で構成される。最も宿の数が多いのは鳴子温泉で、ひとり客でも予約をとりやすい上に、湯の街情緒もある。一方、東鳴子や川渡は湯治場の素朴な風情が魅力。湯治宿が数多く健在で、数千円で宿泊できる湯治宿も存在する。連泊して温泉めぐりを楽しむのも一興だ。

温泉ライター/編集者

温泉好きが高じて、会社を辞めて日本一周3016湯をめぐる旅を敢行。これまで入浴した温泉は3900超。ぬる湯とモール泉をこよなく愛する。気軽なひとり温泉旅(ソロ温泉)と温泉地でのワーケーションを好む。著書に『日本一周3016湯』『絶景温泉100』(幻冬舎)、『ソロ温泉』(インプレス)などがある。『マツコの知らない世界』(紅葉温泉の世界)のほか、『有吉ゼミ』『ヒルナンデス!』『マツコ&有吉かりそめ天国』『ミヤネ屋』などメディア出演多数。2021年に東京から札幌に移住。

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