航空系ドラマNICE FLIGHT!を見る前に航空管制官の知っておきたい5つのこと
明日7月22日から始まる航空業界を舞台にした航空系ドラマNICE FLIGHT!は、パイロットと航空管制官のラブストーリーがテーマです。パイロットは飛行機を操縦する誰もが知る職業かと思いますが、航空管制官については一体何をやる仕事なのか、どこで働いているのか、詳しく知らない人も多いと思います。元航空管制官である筆者が、NICE FLIGHT!をもっと楽しく見られるように、航空管制官のリアルな姿について5つのテーマでサクッと解説します。
航空管制官は国家公務員
航空関係の仕事をしていると周りに話をすると決まってJAL?ANA?と聞き返されます。航空業界や空港には多種多様な仕事がありますが、旅客として直接サービスを受けるのは航空会社の職員であり、パイロットやCA(キャビンアテンダント)の圧倒的な知名度からそういった反応が多くなるのでしょう。航空管制官もまた同様に航空会社の職員であると勘違いされがちですが、実は国家公務員。もしどこかの航空会社に属していたら、自社便を優先してしまいますよね。日本国内の航空会社も海外の航空会社も小型の自家用機も関係なく、中立な立場で公平に扱うことを考えればしっくりくるのではないでしょうか。航空管制官は、国家公務員採用試験の中でも航空管制官採用試験という特殊な難関試験を突破した者だけがなれる専門行政職です。
パイロットに英語で指示する仕事
パイロットは自由に空を飛べません。航空管制官が無線を通じて指示を出し、パイロットはそれに従って飛行しています。予告動画で玉森裕太演じるパイロットが交信で喋っている相手が航空管制官です。飛行機が出発してから目的地へ着陸し旅客を降ろす最後の瞬間まで、航空管制官が運航の全行程で指示を出しています。指示を伝える航空無線では、英語の使用を原則としており、例外的に母国語の使用が可能と規定されています。多様な人種のパイロットが世界をまたいで行き交い、それぞれの国に航空管制官がいるわけですから言語の統一と用語の定型化は必須ということです。
空港の管制塔から空の安全を守る
今回、中村アン演じる航空管制官は空港にある管制塔で働く管制官という設定。管制塔は空港で最も高い建造物です。今回撮影の舞台となっている羽田空港にある管制塔のように、まるで東京スカイツリーや高層ビルのようなものもあれば、3〜4階くらいの板状の建物の上に管制室がポコっと突き出ているような形状のものもあります。管制塔からは飛行機が離着陸する滑走路と離着陸する空の飛行経路、旅客ターミナルビルと滑走路をつなぐ地上走行経路(誘導路)などが見渡せるようになっており、管制官は目視と補助表示装置を使い飛行機の位置を知り適切な指示を出しています。航空管制官は管制塔の他にも、窓のない部屋でレーダー画面を見て業務を行うレーダー管制なども担当しています。
女性管制官が急増中!
2021年度の航空管制官採用試験合格者の男女比率は、男性57.1%女性42.9%で概ね半数が女性です。ここ数年では、女性のほうが合格者が多い年もありました。人命を預かる責任の重い仕事ではありますが、性別による待遇差や昇進への影響は一切ない実力社会であるということ、産休・育休制度がしっかりと確立されていることなどが女性からの人気を集める理由の一つのようです。余談ですが、筆者のYouTube動画の視聴者統計では平均で男性97%女性3%ですので、航空ファンは男性だらけにもかかわらず航空管制官に女性が多いことは奇跡といえます。
24時間365日のシフト勤務が超複雑!
飛行機は平日、休日関係なしに運航されます。航空業界の現場で勤務していれば職種によらず共通ですが、航空管制官はチーム制のシフト勤務が基本です。現場勤務以外の職種もありますので一部例外はあります。羽田空港のような24時間運用する空港であればシフト形態も超複雑。早朝勤務もあれば午後出勤、さらには夜勤もあり、それぞれのシフトが毎日変わるような変則勤務を強いられます。航空管制官にとっては休日、祝日に友達や家族仲良く一緒にお出かけ、という当たり前の光景がとても貴重な瞬間に感じられるのです。
最後にNICE FLIGHT!の第一話予告編動画を貼っておきます。この記事が少しでも皆様の視聴のお役に立てれば幸いです。