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脳出血で倒れた投手が「マウンド」へ戻ってきた。その投手はイチローが移籍した時の交換相手

宇根夏樹ベースボール・ライター
ダニー・ファークワー(シカゴ・ホワイトソックス)Jun 1, 2018(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 4月20日、6回表の途中から登板したダニー・ファークワー(シカゴ・ホワイトソックス)は、追加点を許しながらもイニングを終えた。そして、6回裏の攻撃中にダグアウトで倒れ、病院へ搬送された。動脈瘤の破裂による脳内出血だった。

 幸いにも一命を取りとめたファークワーは、手術を経て、5月7日に退院した。6月1日のマウンド復帰は、登板ではなく始球式だったが、ホワイトソックスの声明文によると、医師はこう診断しているという。今シーズンは欠場するものの、将来的には再び投げることができる――。

 もしかすると、ファークワー(あるいはファーカー)という名前には、聞き覚えがあるかもしれない。6年前の夏にイチローがシアトル・マリナーズからニューヨーク・ヤンキースへ移籍した際、ファークワーは交換要員として、D.J.ミッチェルとともにマリナーズへ移った。その翌年から昨シーズンまでの5年間に242登板。昨シーズンはタンパベイ・レイズとホワイトソックスで投げ、5月にはイチローと初めて対戦した(結果はレフトフライ)。

 44歳のイチローが、再びプレーするかどうかは不透明だ。ミッチェルはファークワーと同じ31歳だが、2年前の独立リーグを最後に投げていない。また、ケント・マーカーは2000年の脳出血から復活したものの、ファークワーの症状はそれよりも深刻だった。

 だが、ファークワーの投手としてのキャリアは、まだ終わっていないはずだ。そう信じたい。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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