『ブルーモーメント』で山下智久の助手役の出口夏希。抜擢への不安にも「ごはんはたくさん食べます(笑)」
山下智久が気象研究所の天才的な研究官役で主演するドラマ『ブルーモーメント』。気象災害から人命を守るために設置された組織で、助手を務めるヒロインの雲田彩を出口夏希が演じている。前クールでは月9の『君が心をくれたから』で山田裕貴の妹役。映画でのヒロインも相次ぎ、注目度が急速に高まってきた。圧倒的な美形で目を引きつつ、本人はフランクな佇まいだが、GP帯で初のヒロイン役には不安を乗り越えて挑んでいるという。
電波ジャックで実感が沸きました
――『ブルーモーメント』の放送スタート前後に、電波ジャックを始め、いろいろなバラエティに山下智久さんたちと出演されていました。
出口 1話が放送される日に『めざましテレビ』、『めざまし8』から『ノンストップ！』、『ぽかぽか』……と出演させていただいて、「これがテレビで観ていた電波ジャックか！」と思っていました(笑)。
――GP帯のヒロインならではのお仕事ですよね。
出口 「電波ジャックを自分がやっている……」と思って、初めて実感が沸きました。
――それまでは、ヒロインの実感がなかったわけですか？
出口 ネットを見ていなくて、自分にはなかったです。お仕事でお会いする方に「ヒロインだね」と言われることが増えて、実感していく感じでした。
――配信や映画のヒロインが相次いで決まり、月9にも大きい役で出て、今回はGP帯での初ヒロイン。これだけ続くと、何でもうまく行きそうな感覚になりません？
出口 そんなことはないです。毎日、台本を読むのに必死なので。でも、すごく充実しています。
自分がやっていい役か悩みました
――『ブルーモーメント』でヒロインの雲田彩役に決まったと聞いたとき、「えっ、私？」と思ったとのコメントがありました。最初はどういう状況で聞いたんですか？
出口 事務所に呼ばれました。お仕事が1コ1コ決まるたびに、マネージャーさんたちとミーティングをするんです。今回は正直、いつもより不安が大きかったです。「私で大丈夫かな？」って。
――たとえば、WOWOWの『アオハライド』で主演が決まったときよりも？
出口 『アオハライド』はずっと好きな作品だったので、嬉しさが勝ちました。後から不安も出てきましたけど、今回は最初から、私がこの役をやっていいのか悩みました。
――その不安は乗り越えたんですよね？
出口 原作を読ませていただいて、ストーリーにとても惹かれました。それで「やれるかな」ではなく「挑戦してみたい」と、強く思うようになりました。
――『突然ですが占ってもいいですか？』では「脱力系」と言われていましたが、やっぱり内には燃えるものがあって。
出口 もちろんです！ 「そう見えない」とよく言われますけど(笑)。作品に出るごとに評価されるプレッシャーはありますが、今の私にできることを精いっぱいやりたいです。
ハキハキものを言うことを心掛けて
――プロデューサーさんは出口さんの起用について、「華やかさ、凛とした強さ、フレッシュさをハイレベルで兼ね備えている方」とコメントされています。自分では彩を演じるうえで、大事にしていることはありますか？
出口 帰国子女でハキハキ、ズバズバものを言う性格なので、台詞の言い方もそう見えるように心掛けています。監督にもずっと「ハキハキと！」と言われています。
――そういうもの言いや負けん気は、出口さん自身にもあるもの？
出口 あるんですけど……外にはそんなに出せません(笑)。自分にないところだったりするので、彩を演じながら「カッコいいな」と思っています。
――普段は何かで「それは違う」と思ったら？
出口 自分の中に押し込んでしまいます。心の中で「違うな」と思っているタイプです。
――劇中では初回から、山下さんが演じる晴原と引かずにやり合う場面がありました。役を演じているとはいえ、大スターに気後れしてしまうようなことは、最初からなかったですか？
出口 雲田彩として、晴原先生だと思って台詞を言ってました。すごい顔で睨みつけながら(笑)。
気象用語の意味は全部調べています
――気象のことも勉強したんですか？
出口 気象監修の荒木（健太郎）先生に本を3冊いただきました。それがすごくわかりやすくて面白くて、時間があるときに読んでいます。3話以降、彩が本気で勉強して気象に詳しくなるので、私も台本に出てくる言葉は全部調べて、意味をわかったうえで台詞を言うようにしています。
――興味を惹かれたこともありました？
出口 もともと雲がある空が好きですけど、台本で〇〇雲というのがよく出てきて、全部名前があったんだなと。天使の梯子（雲の隙間から太陽の光が放射状に広がる現象）はよく見ながら、「きれいだな」と思うくらいで気にしてなかったのが、調べて覚えたりしました。
――天気予報もチェックしていますか？
出口 お仕事がない日の前日は気温をチェックしていて、今の時期だと暑いか寒いかによって、どんな服を着るか考えます。
登校中に凍った道で気象災害に遭いました(笑)
――彩は初登場から、ゲリラ豪雨でびしょ濡れになっていました。そんなふうに、天候でキツい目に遭ったことはあります？
出口 中学生の頃、雪が降った次の日の朝に、道が凍っていて。登校中に滑らないように、遅刻してもいいからゆっくり慎重に歩いていたんです。それなのにスッと転んでしまいました。通勤中のサラリーマンの方にフンと笑われたのを、いまだに覚えています(笑)。もうめっちゃ恥ずかしくて。しかも、転んだときに右手を突いて、痛くて2日くらい「腫れてる」と思っていたら、ヒビが入っていました(笑)。
――結構大ごとだったんですね。
出口 大きいたんこぶもできて、これも気象災害ですよね(笑)。もしもその朝に天気予報を見ていたら、たぶん「道が凍っています」と伝えてくださっていたと思います。気象リテラシーを高めるのは本当に大事だなと感じています。
――写真集の撮影に行ったら雨に降られた、とかは？
出口 初めての写真集は、沖縄で台風が来ました(笑)。ちょうど梅雨だったので。でも、東京に帰る3日目の昼に晴れて、最後に海で撮れました。
雪山の寒さも気合いで乗り切って
――『ブルーモーメント』の1・2話では、雪山ロケがありました。
出口 寒かったです。コートを体にグルグル巻きにしていました。ヒールを脱いで裸足で雪の中を歩くシーンは、何テイクも撮っていると、冷たいというより痛くて声も出なかったです(笑)。私は最初、スーツにトレンチコートで一番薄着でしたけど、ほとんど指揮車両にいたので。レスキュー隊の方々やスタッフさんたちの過酷さに比べたら、申し訳ないくらいでした。1話で雪の中を捜索をしているシーンを観て、泣きそうになりました。
――今までも仕事で、めちゃくちゃ寒かったり暑かったりした経験はありました？
出口 雨降らしは何度か経験させていただいたり、プールにずっと浸かっていたこともあります。すごく寒くても、気合いで何とか乗り切ってきました(笑)。
――撮影などで、実際にブルーモーメント（空が濃い青色に染まる現象）も見ました？
出口 今回の撮影に入る少し前、天気が良い日に、家でお昼から窓のカーテンを開けていたんですね。夕方になって、ふとベランダから外を見たら、夕焼けの上の空がもう真っ青！ すごくきれいだったので、写真を撮ってマネージャーさんにも送りました。それがブルーモーメントの空だったのかなと。皆さんにもお見せしたかったくらいです。
リラックスして撮るほうが向いているかなと
――1話では、彩が「ある日突然、悲劇は起こります」と子どもスポーツフェスティバルの中止を訴えるシーンも、見せ場になっていました。
出口 彩がSDM（特別災害対策本部）で1人で行動に出たのは初めてだったので、緊張しました。
――撮る前に集中力を高めたり？
出口 お芝居を始めた頃は、そういうときは1人で静かにしているタイプでした。でないと、どうやって気持ちを入れたらいいのか、わからなかったので。でも、頑張ってお芝居をしようと考えると、余計に緊張して、かえって難しくなってしまう。むしろ直前までリラックスしていたほうが、私的にはお芝居をしやすい気が最近はしてきました。それで探っているところです。
山下さんの集中力を勉強させていただいてます
――制作発表会見では山下さんについて、水上恒司さんたちが「本当にいい人」と言ってました。
出口 『占ってもいいですか？』でも、山下さんは「ただのいい人」と言われていました(笑)。現場でも助けてくださって、立ち振る舞いや集中力を勉強させていただいてます。
――合間に話していて、演技に役立つことを聞いたりも？
出口 控え室では、お芝居の話は特に出なくて。「人生最後の日は何を食べたい？」とか、他愛のない話ばかりしています(笑)。
――山下さんと出口さんで『めざましテレビ』にVTR出演されたときは、出口さんがメイク室で「お腹すいた～」と言っていたとの話が、山下さんから出ていました。
出口 確か撮影に入る前のポスター撮りの日のことです。私はドラマの撮影中も、カットが掛かった瞬間から、待っている間はずっと何か食べています(笑)。岡部（大）さんに「何を食べているの？」と聞かれたりして、先輩方にもお菓子を分けています(笑)。
たくさん食べないと力が出ません
――そんなに食べていても、太らない体質なんですか？
出口 顔にお肉が付くタイプですけど、食べないと力が出ないので。一度、お仕事がいろいろ重なった時期があって、ごはんを食べるのも面倒になってしまったら、元気が出ませんでした。私はたくさん食べると体調がいいんです。でも、夜はなるべく気をつけて、むくまないようにしています。
――出口さんのビジュのきれいさは完璧レベルですが、自分でお気に入りのパーツとかもありますか？
出口 ホクロはあって良かったと思います。昔はすごくイヤだったんです。みんなはないのに、なんで私だけあるの？ って。小さい頃は「チョコチップ」とイジられていました(笑)。でも、お仕事を始めてからは、周りの方々が誉めてくれて。お父さんにも「食に困らないホクロ」と言われているので、今はチャームポイントとして受け止めています。
北京語を違和感なく話したくて
――彩は帰国子女の設定で、中国語の台詞もあります。出口さんはお母さんが中国の方、お父さんが中国と日本のハーフだそうですが、このドラマのために北京語の練習をしたとか。
出口 私は中国語を家族としか話してこなくて、多少福建の訛りがあると思うので、監修の先生にご指導いただいてます。標準の北京語で、言葉をわかる方が観てくださっても違和感がないように話したくて、ひと言ひと言の発音に気をつけています。
――他に序盤の撮影で、印象的だったことはありますか？
出口 私の中では、1話の冒頭からすべてのシーンに「彩として、こうしなければ」という課題もあって、どれも大事でした。お芝居で落ち込むことがあっても、自信を失くさないように、自力で頑張っていかなければと思っています。
Profile
出口夏希（でぐち・なつき）
2001年10月4日生まれ、中国出身。「ミスセブンティーン2018」に選ばれて「Seventeen」モデルになり、2022年より「non-no」専属モデル。2019年に女優デビュー。主な出演作はドラマ『ばかやろうのキス』、『クレッシェンドで進め』、『舞妓さんちのまかないさん』、『アオハライド』、『君が心をくれたから』、映画『沈黙のパレード』、『あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。』など。ドラマ『ブルーモーメント』（フジテレビ系）に出演中。 6月27日より配信のNetflix映画『余命一年の僕が、余命半年の君と出会った話。』、8月2日公開の映画『赤羽骨子のボディガード』でヒロイン。
『ブルーモーメント』
フジテレビ系・水曜22:00～
