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機能性表示食品 ゆるいのか、厳しいのか。

池田恵里フードジャーナリスト

4月1日に機能性表示食品制度が始まった。

機能性表示食品とは

一定の基準を満たせば、機能性を表示でき、一般加工食品も生鮮食品まで幅広く対象となり、健康訴求が消費者にとってわかりやすくなる。一応、めでたい。

これまで「リコピン2倍」と言われても、リコピンって?と思われていた方も多かった、と思う。私もそうだった。それがこの制度により「血管の機能をサポートします」と明記出来るのだ。

一例

DHA入り→血中中性脂肪の気になる方に適している。

コラーゲン入り→肌の乾燥がきになる方に適した食品 など

高齢者の医療費負担の増加は、深刻な問題となってきており、75歳以上の人口は13年で1560万人、10年前の約1.5倍に増加、これに伴い医療費増となっている。そのような状況下、いかに自らが予防するか、その大切さがよく言われるようになってきた。所謂、セルフメデケーションである。今回の制度は、よりわかりやすく効能が記されることから、消費者にとって、なかでも高齢者には朗報になりえる。

機能性表示食品のコストはいかに

これまで健康増進法に基づく認可として、特定保健用食品(トクホ)は、よく知られている。しかし許可されるには、最終商品に用いた臨床検査にはおよそ1500万かかり、表示するのにかかる時間(約4年)とトータルコスト(約1億)と多額である。このことから、大手の特権制度とさえ業界内では言われてきた。

さて、今回の制度は、届出企業の食経験がありと判断されば、安全性確認は終了される。判断されない場合でも、臨床研究結果や論文、これらは公表されているもの、つまり文献検索で良く、60日後には販売でき、今後、トクホのコストより約十分の一で済むとも言われている。潜在市場は10兆円ともささやかれる。 しかし、その一方で企業判断に依ること、そのため誇大表示も起こりえるのではないかと言った問題も指摘されている。

世界初の試み、透明性のある情報開示

そこで消費者庁がとった処置として、届出情報の開示である。開示することで監視となり、世界で初めての仕組みである。

一見、ハードルを低くしたようにも見え、その一方で厳しい。

そのうえ、一部を後述するが、とにかく難しい。そんなこんなで頭が混乱していくなか、今回の機能表示食品で賞味期限を想起した。 どちらの制度も企業の判断に委ねられているからだ。

賞味期間と機能性表示食品、あくまで企業に責任からより慎重

賞味期間とは、美味しく食べることができる期限であり、製造業者等が化学的、合理的根拠をもって適正に設定している(農林水産省)。しかしその一方でおいしさは非常に抽象的であることから企業の判断基準がまちまちとなった。なかには消費期間よりはるかに短く設定しているところもあり、一例をあげると少しでも風味が損なう、見た目が悪いと6カ月でも問題のない商品を3カ月に設定しているのだ。ちょっと話がそれるが、これをやりすぎるとロス問題にもつながる。

コスト削減となるのか?

さて、今回の機能表示食品に置き換えると、表示がゆるやかになる一方、先述したようにあくまで企業に責任をゆだね、問題があれば罰則規定が設けられている。これにより企業側は、誇大表示もというより、より慎重になる。

まず食経験の情報、研究論文でさえも検索でOKと言えど、収集できない場合、安全性の試験が必要になり、つまり膨大な資料を丹念に調べる時間、コストがかかり、その上、収集できない場合、試験が必要となる。とすれば、トクホの十分の1にコスト削減になるのか、わからないと言われている。

偏る対象商品

対象に含まれなかったものとして、青汁、アルコール、そしてビタミン、ミネラル、罹患している者などを除外されている。アルコールであることから、欧米では健康酒とされるハーブの入った酒などもおのずと除外対象となる。その一方で、ノンアルコールビールは効用を表示できることから、対象の偏りを指摘する声も聞かれる。対象外となっているものを扱っているメーカーとして、府に落ちない面が多いと言われる。

とにもかくにも、スーパーの売り場は大きく変わると思う。一般食品、生鮮食品まで対象となっているため、一例を上げると、効用別に分類する店舗も出て来るかもしれない。

いずれにせよ60日の期間を経て販売となるので、5月30日が実質スタートとなり、ここからが幕開けとなる。

ERI IKEDA

フードジャーナリスト

神戸女学院大学音楽学部ピアノ科卒、同研究科修了。その後、演奏活動,並びに神戸女学院大学講師として10年間指導。料理コンクールに多数、入選・特選し、それを機に31歳の時、社会人1年生として、フリーで料理界に入る。スタート当初は社会経験がなかったこと、素人だったこともあり、なかなか仕事に繋がらなかった。その後、ようやく大手惣菜チェーン、スーパー、ファミリーレストランなどの商品開発を手掛け、現在、食品業界で各社、顧問契約を交わしている。執筆は、中食・外食専門雑誌の連載など多数。業界を超え、あらゆる角度から、足での情報、現場を知ることに心がけている。フードサービス学会、商品開発・管理学会会員

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