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バルベルデの【4−3−3】の右WG起用法を考察。

森田泰史スポーツライター
右サイドで躍動するバルベルデ(写真:ムツ・カワモリ/アフロ)

「ワールドクラスの選手になりたったら、攻撃と守備の両方をやらなければいけない。私はバルベルデの耳を掴んで、そう言った」

フェデリコ・バルベルデを“発掘”した指揮官は、彼が最初から現在のような選手ではなかったと主張している。ホセ・チュエコ・ペルドモ監督がバルベルデを指導したのは、ペニョラル(ウルグアイ)のU―15チームだった。

■レアル・マドリーで生き残るために

レアル・マドリーで、印象的だった試合がある。

2019−20シーズン、シーズン前半戦のグラナダ戦だ。この試合でスタメンに抜擢されたバルベルデは、4−2の勝利に大きく貢献した。「足が攣るまで走り抜く」とその試合後に語ったバルベルデの言葉は、マドリディスタの心を打った。

ボールを追うバルベルデ
ボールを追うバルベルデ写真:Maurizio Borsari/アフロ

昨季のチャンピオンズリーグ準々決勝で、マドリーはチェルシーを撃破した。欧州王者を倒して、威厳を示した。殊勲は2試合で4ゴールをマークしたカリム・ベンゼマであったが、「陰のMVP」を挙げるならバルベルデになるだろう。

カルロ・アンチェロッティ監督は【4−3−3】の右ウィングにバルベルデを据えた。ただ、それは単なる右WGではなかった。バルベルデはウィングとして、インサイドハーフとして、サイドバックとして躍動した。

守備時には、5バック化してディフェンスラインをサポートした。とりわけ、シーズンを通じて、ビッグマッチで1対1の対応に苦しんでいたダニ・カルバハルをプロテクトしたという意味で、バルベルデの存在は大きかった。

中盤ではカゼミーロ、トニ・クロース、ルカ・モドリッチを助けた。言わずと知れたマドリーの「盤石の中盤」であるが、年齢を重ねてフィジカルベースが落ちてきている感は否めない。バルベルデが右サイドにいることで、彼らの守備の負担が軽減された。

一方、攻撃を疎かにしていたわけではない。ボールを奪い、トランジションで攻めに出る際には、右の翼となりサイドを駆け上がった。

■ポグバを不要にしたパフォーマンス

2019年夏、マドリーはポール・ポグバ(当時マンチェスター・ユナイテッド)の獲得を検討していた。

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スポーツライター

執筆業、通訳、解説。東京生まれ。スペイン在住歴10年。2007年に21歳で単身で渡西して、バルセロナを拠点に現地のフットボールを堪能。2011年から執筆業を開始すると同時に活動場所をスペイン北部に移す。2018年に完全帰国。日本有数のラ・リーガ分析と解説に定評。過去・現在の投稿媒体/出演メディアは『DAZN』『U-NEXT』『WOWOW』『J SPORTS』『エルゴラッソ』『Goal.com』『ワールドサッカーキング』『サッカー批評』『フットボリスタ』『J-WAVE』『Foot! MARTES』等。2020年ラ・リーガのセミナー司会。

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