パドレスがトレードで手に入れた投手は、ライバル打倒の切り札になるのか
カンザスシティ・ロイヤルズとサンディエゴ・パドレスが、トレードを成立させた。再建中のロイヤルズは、2人の若手を獲得。フランチー・コーデロは25歳の外野手、ロナルド・ボラニオスは23歳の先発右腕だ。一方、パドレスはその見返りとして、30歳のリリーフ左腕、サイドアーマーのティム・ヒルを手に入れた。
パドレスの動きは、同じ左腕のホゼ・キャスティーヨが左の広背筋を痛め、出遅れるのが主な理由だろう。最悪の場合、今シーズンの半分以上を欠場することになりかねない。
キャスティーヨ以外にも左のリリーバーはいるが、7年続けてナ・リーグ西地区を制しているロサンゼルス・ドジャースには、左のスラッガーが揃う。昨シーズン、ドジャースで30本以上のホームランを打った3人、コディ・ベリンジャー(47本)、ジョク・ピーダーソン(36本)、マックス・マンシー(35本)は、いずれも左打者だ。加えて、コリー・シーガーもいる。昨シーズンのホームランは19本ながら、リーグ最多タイの二塁打44本を記録した。
ちなみに、昨シーズンの35本塁打以上は、右打者が16人、左打者が10人、スイッチヒッターが2人。今シーズン、彼らのうち3人以上を擁するのは、ドジャースとア・リーグ中地区のミネソタ・ツインズだけだ。こちらは、マックス・ケプラー(36本)が左打者で、ネルソン・クルーズ(41本)と新加入のジョシュ・ドーナルソン(37本)は右打者。ドジャースを除くと、前年に35本塁打以上の左打者3人はもちろん、2人いるチームもない。
昨シーズン、ヒルの被打率は、対右が.238、対左は.186だった。被OPSは.755と.465。右打者にはホームランと二塁打を4本ずつ打たれた一方、左打者に喫した長打は、二塁打1本しかなかった。
また、パドレスは来シーズン以降もヒルを保有できる。2018年に28歳でメジャーデビューしたので、FAになるのは早くても2024年のオフ。年俸調停の権利を得るのも、2021年のオフだ。
ただ、昨シーズンのヒルは、イニングをまたいだ登板もあるものの、46登板の半数以上が1イニングに満たなかった。今シーズンから、登板した投手は、そのイニングを終えるか故障に見舞われるかしない限り、少なくとも3人の打者に対して投げる必要がある。
ドジャースの打線は、極端な左偏重ではない。新加入のムーキー・ベッツは右打者。ジャスティン・ターナーや、昨シーズンは3Aとメジャーリーグで計35本塁打(20本+15本)のウィル・スミスもそうだ。ラインナップには、左打者と右打者が交互に並ぶか、左打者が続くとしても2人までだろう。
ヒルが右打者を抑えられないようだと、起用できる場面はかなり狭まる。
さらに、今シーズンは「ユニバーサルDH」により、打線からは投手という「切れ目」がなくなる。DH導入はドジャースに限った話ではないが、選手層の厚いチームには有利に働く。