『スーパーマリオブラザーズ』のピーチ姫、ゲームでさらわれる確率は87.5%! 映画とはだいぶ違う!
こんにちは、空想科学研究所の柳田理科雄です。
マンガやアニメ、特撮番組などを、空想科学の視点から、楽しく考察しています。
さて、今回の研究レポートは……。
『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』が、世界中でスーパー大ヒット!
もうスバラシすぎる快挙である。
ゲームの世界観がそのまま映像化されていて、まったく違和感がない。
まるでゲームをやってるかのように楽しめる。
それと同時に、ピーチ姫がモーレツにアクティブなことに驚いた。
クッパの大軍が攻めてくると聞いても恐れず、作戦を立案し、マリオを鍛え、ジャングル王国との交渉に出向き、そして自ら槍を取って戦う!
そんなピーチ姫との出会いが、ブルックリンの配管工としていまいちパッとしなかったマリオを目覚めさせる。
つまりこの映画は、マリオがマリオになるまでを描いており、そのキッカケを作ったのはピーチ姫だった……!
これに比べると、ゲームでは、ピーチ姫はやたらとさらわれていた印象がある。
平和なキノコ王国に、大魔王クッパたちが現れ、ピーチ姫をさらう。
さあ、マリオ、姫を助けに行くんだ!
――こうして1985年に始まった『スーパーマリオブラザーズ』の本編シリーズは、これまでに18作が発売されたが、たいてい「ピーチ姫がさらわれた!」という状況から始まる。
あまりにさらわれ続けるので、ピーチ姫のセキュリティ意識はどうなっているの?と思ったものである。
では、実際にゲームにおけるピーチ姫は、どれほどさらわれてきたのだろう?
◆さらわれ率87.5%!
本編シリーズ18作品のうち、ピーチ姫は16作品に登場している。
登場しなかったのは89年の『スーパーマリオランド』と92年の『スーパーマリオランド2 6つの金貨』の2作。
では、登場した16作品のうち、ピーチ姫はどれほどさらわれたのか?
なんと14作品だ!
92年の『スーパーマリオUSA』と2013年の『スーパーマリオ 3Dワールド』を除く作品でさらわれており、さらわれ率は87.5%である!
具体的にどのような状況でさらわれているのだろう?
多いのは「マリオが行ってみると、すでにピーチ姫はさらわれていた」というケースで、7回もある。
85年『スーパーマリオブラザーズ』と86年『同2』では、マリオがキノコ王国に行ってみると、国は荒らされ、ピーチ姫はすでにさらわれた後だった。
88年『スーパーマリオブラザーズ3』では、マリオが魔法の杖を探す旅をしているあいだにさらわれた。
96年『スーパーマリオ64』では、ピーチ姫から「お城に遊びに来ませんか? ケーキを焼いて待ってます」という嬉しい手紙をもらって行ってみたら、絵のなかの世界にさらわれていた。
07年『スーパーマリオギャラクシー』では、「星くず祭りの夜にお城で待っています。渡したいものがあるの」という、ますます胸躍る手紙をもらって行ってみたら、宇宙にさらわれていた。
10年『スーパーマリオギャラクシー2』では、「流れ星でも見ながらケーキでもいかがですか? お城で待っています」という、いよいよ嬉しい手紙をもらって行ってみたら、また宇宙にさらわれていた。
11年『スーパーマリオ 3Dランド』では、嵐の晩にピーチ姫が「しっぽの木」の様子を見にいき、朝まで帰らない。
マリオが行ってみると、さらわれた後だった。
◆目の前でさらわれた!
では、残る7回は、どんなふうにしてさらわれたのか。
これらはちょっとビックリだ。なんと、マリオやルイージの目の前でさらわれている!
90年『スーパーマリオワールド』。ヨースター島でバカンスを楽しんでいたら、さらわれた!
02年『スーパーマリオサンシャイン』。マリオと冒険の旅に出て、その途中にさらわれた!
06年『ニュー・スーパーマリオブラザーズ』。ピクニックに出かけたら、さらわれた!
09年『ニュー・スーパーマリオブラザーズWii』。ピーチ姫の誕生日に大きなケーキが届けられ、なかからクッパJr.とクッパ軍団が現れて、さらわれた!
12年『ニュー・スーパーマリオブラザーズ2』。ピーチ城で話していたら、さらわれた!
12年『ニュー・スーパーマリオブラザーズU』。お茶会の途中、クッパの飛行船が襲来、巨大な鉄の腕を伸ばしてマリオたちを遠くへ吹っ飛ばし、ピーチ城を占拠!
17年『スーパーマリオ オデッセイ』。さらいに来たクッパと、キノコ城の上空で戦ったが、「帽子の国」に吹き飛ばされ、そのあいだにさらわれた!
なんと14回の半分がマリオの目の前でさらわれていたわけで、これには驚いた。
こうなると、ピーチ姫の危機管理だけが問題ではなく、マリオのセキュリティ意識も問われるべきなのかも……。
◆映画のピーチ姫は!?
ゲームの『スーパーマリオブラザーズ』本編シリーズにおいて、ピーチ姫はこれほど頻繁にさらわれていた。
ところが、このたびの映画『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』では、ピーチ姫はとってもアクティブになっている。
たとえば「ジャングル王国との交渉に同行したい」と言うマリオに「じゃあ、お手並み拝見」と微笑むと、お城の湖の上空にトレーニングコースを出現させる。
そしてピーチ姫自ら、宙に浮くブロックに蹴って移動し、クッパが描かれた板を蹴破り、飛来するキラー砲弾を踏み歩き……という手本を見せる!
ブルックリンでの戦いに至っては、クッパの横っ面に跳び蹴りを浴びせて、この巨漢をよろめかせた。
クッパの体重を3tと考えて、よろめき具合から計算すると、ピーチ姫は時速200kmほどの跳び蹴りを見舞ったことになる!
ものすごい活躍ぶりだ。
映画のピーチ姫は、ゲームのときとは別人のような進化を見せている……!
にもかかわらず、ゲームの世界観や雰囲気を損なわずに楽しめるのだから、『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』の完成度は本当にすごい。
そして、この映画でこれほど活躍したピーチ姫は、次のゲームではどんな性格で登場するのだろう!?
それもまた、楽しみだ。