C・ロナウド不在、CF論争、負傷者続出...レアル・マドリーに何が起きているのか。
シーズン開幕前に、リーガエスパニョーラ5試合を終えた時点で、レアル・マドリーとバルセロナの差がこれだけ広がると誰が想像しただろうか。
今夏、移籍市場が閉鎖した段階でクライシスに陥っていたのは、明らかにバルセロナの方だった。ネイマールのパリ・サンジェルマン移籍騒動をめぐってバルセロナ理事会は混沌の沼に嵌り、バルセロニスタはウスマン・デンベレの獲得でブラジル代表FWの穴を埋められるのかという不安に駆られていた。
一方でマドリーは落ち着いた夏を過ごした。ダビド・デ・ヘア(マンチェスター・ユナイテッド)、キリアン・ムバッペ(パリSG)と獲得が噂された選手は最後までマドリッドに到着せず、ジネディーヌ・ジダン監督は現有戦力維持路線を貫いて6冠の夢に向かう決断を下した。
だが蓋を開けてみれば、マドリーとバルセロナの立場は完全に逆転している。リーガ第5節終了時点で、首位バルセロナとマドリーの勝ち点差は7ポイント。5試合を終えたところで両者の差がここまで開いたのは、6 年ぶりのことである。
■深刻な決定力不足
スペイン・スーパーカップ第1戦でクリスティアーノ・ロナウドが5試合の出場停止処分を受け、マドリーは序盤戦でエースを失った。
2016年4月16日以降続いていた73試合連続得点記録も、2017年9月20日に途切れた。王様ペレが所属していたサントスが保持していた73試合の世界記録に並ぶも、新記録樹立とはならなかった。その記録をストップしたのが、カンテラーノのGKアントニオ・アダンだというのも、皮肉な結末だ。
連続試合得点数に目を奪われがちだが、今季のマドリーの決定力不足は深刻だ。カリム・ベンゼマは3試合無得点、ガレス・ベイルは4試合2得点と、「C」を除く「BB」は普通のチームの単なる駒に成り下がっている。
昨季23得点を記録したハメス・ロドリゲス(バイエルン・ミュンヘン)、アルバロ・モラタ(チェルシー)の代役は定まっていない。第4節レアル・ソシエダ戦ではボルハ・マジョラルが気を吐いたが、20歳のカンテラーノに代表級2選手の肩代わりをさせるのは荷が重すぎるだろう。
この状況に、一部マドリディスタの間では、「ストライカー獲得の是非」を問う議論が勃発している。冬の移籍市場で、トップクラスのCFを獲得すべきだという考えが、頭をもたげ始めているのだ。
■負傷者続出
加えて、マドリーには負傷者が相次いでいる。第3節レバンテ戦(1-1)でベンゼマ、チャンピオンズリーグ・グループステージ開幕節アポエル戦(3-0)でマテオ・コバチッチ、第4節レアル・ソシエダ戦(3-1)でテオ・エルナンデス、第5節ベティス戦(0-1)でマルセロが負傷した。
ローテーションを採用してマドリーを成功に導いてきたジダン監督だが、ベンゼマの負傷でまたしても「BBC」の解体を余儀なくされている。また、テオ、マルセロが離脱したことで、左SBの人選にも腐心しなければならなくなった。
BBCがいない中、フランス人指揮官は4-4-2を維持するだろう。だが、同システムばかりを使って勝たせてもらえるほど、リーガの競争は甘くない。4-4-2が熟練する一方で、ベティス戦では終盤に採用した3トップが機能せず、中盤のバランスを失ってベティスFWアントニオ・サナブリアにアディショナルタイム弾を沈められるという最悪の結果を引き起こした。
■勝ち点7差からの逆転優勝は15年前
マドリーがバルセロナから勝ち点7差を逆転して優勝を果たしたのは、2002-03シーズンまで遡る。このシーズンを除いては、近年同勝ち点差から逆転優勝を飾った過去はない。
さらに、開幕からのホーム3試合で未勝利だったチームが、リーガを制したことはない。これらの事実が、悲観論に拍車をかける。
マドリーは12月23日に第17節で本拠地サンティアゴ・ベルナベウにバルセロナを迎える。この日までに残された試合は、10試合だ。
その中にはアトレティコ・マドリー、セビージャ、アスレティック・ビルバオら強豪との対戦に含まれている。だが、できる限りクラシコまでに勝ち点差を縮めなければ、リーガ連覇と6冠の夢は儚く潰えることになる。