【世界史】ファンタジー作品もびっくり!歴史に実在したシビれるほどカッコいいネーミングを誇る組織・5選
昨今、アニメや映画など様々なコンテンツ作品では、しばしば視聴者の心を踊らせる、カッコいい名前の組織が登場します。
たとえば大人気の鬼滅の刃に登場する、“鬼殺隊”や“十二鬼月”。HUNTER×HUNTERの“幻影旅団”なども、その響きだけでもグッとくるものを感じてしまいます。
このようなファンタジーにおいては、作者もよくよく考え尽くしての名称だと思いますが、日本を含めた世界の歴史を見渡すと、実在の集団でもそれらに負けないレベルのネーミングが存在します。
自ら名乗った場合や、他者が呼ぶようになったケースなど様々ですが、この記事ではその中でもとくに際立つ5つを厳選して、ご紹介します。
①【ローゼン・クロイツァー】~薔薇十字団~
ときは14~15世紀、ヨーロッパに出現したなぞの秘密結社の呼称です。その目的は王や貴族のように表の権力を目指すのではなく、影の存在として人類を正しい方向へ導くことだったと伝わります。
メンバーはどこの誰で、何人くらい存在するのかなど、ほとんど秘されていましたが、一説によるとあらゆる知識や学問に精通し、疫病や飢餓などの災厄から人々を救う、叡智を授けていたとされます。
多分に宗教的な要素を帯びていた面もありますが、当時のヨーロッパでは一世を風靡したと言えるレベルで、人々の間で話題になりました。
ちなみにローゼン・クロイツァーと同じドイツ語は、言葉選びのセンスにグッとくるものが多く、時代は違いますがナチスに抵抗した集団“黒いオーケストラ”(シュバルツェ・カペレ)なども、思わず心惹かれてしまいます。
②【ロイヤル・ドラグーン】~第1ロイヤル竜騎兵連隊~
17世紀に英国がアフリカに派遣する部隊として設立したと言われますが、アメリカの独立戦争にも派遣されるなど、その歴史は長く様々な戦役で活躍しました。のちに“ロイヤル・ホースガーズ”という部隊と統合され、王宮を守護する役目も担っています。
日本語での“竜騎兵”という名称も、何とも心躍るものがありますが、もともと竜騎兵は火器で武装した騎兵を指す言葉で、歴史上イギリスのみならず様々な国で、存在した兵科です。
まだ、それほど兵器が発達していない時代には、剣を装備して戦うこともありました。日本では伊達政宗が大坂の陣で、騎馬鉄砲隊を創設して運用しましたが、これも兵科のカテゴリ―としては、竜騎兵に当たると言えるでしょう。
ちなみに英語のドラグーン(dragoon)という名称は、竜騎兵が装備していた武器に竜の彫刻が施されていたり、銃火器を発射する際に見える炎が、ドラゴンに例えられたりしたことが、由来とも言われます。
彼ら向けに製造された小型銃には“ドラグーン・マスケット”と呼ばれるものがあるのですが、もはや武器の名称まで様になっています。
③【風魔(ふうま)】~北条家の忍者衆~
日本の戦国時代、関東の覇者となった北条家に仕えた忍者の一族で、諜報や計略の実行、あるいは敵国の撹乱など、影でさまざまな活動を行ったといいます。
同じ忍者でも、たとえば伊賀や甲賀などは各地から、色々な大名の依頼を受けたといいますが、風魔衆は北条家に主君を定め、代々仕え続けたのも特徴です。
ちなみに同時代の出来事としてはマイナーですが、北条家と武田家が大軍を率いて対峙し、あわや全面衝突かという時(黄瀬川の戦い)、風魔衆が活躍したと伝わります。
闇夜に乗じて少人数の奇襲をかけ、兵糧の略奪や放火、軍馬の縄を断ち切って放ったり、武田兵を生け捕りにしたりと、さんざんに引っ掻きまわすと、さすがの武田軍も戦意が削がれ、そのまま引き上げたと言います。
その名称に忍者という肩書き、さらには実際の活躍もカッコよく感じてしまう組織です。
④【ヘルズ・エンジェル】〜アメリカ合衆国義勇兵・第3戦隊 〜
日中戦争が勃発した際、アメリカは中国を支援していましたが、日本へ表立っては宣戦布告していなかったため、“義勇兵”の名目で軍を派遣しました。
その1部隊に“ヘルズ・エンジェル”(地獄の天使たち)という名がつけられており、旧日本軍にとっては厄介な存在になりましたが、何ともインパクトのあるネーミングです。
ただ、当時の日本軍が誇った戦力や勢いの前に、彼らの活動が情勢を大きく変えることはありませんでした。また当時イギリス領であったビルマが日本に攻撃されると、ヘルズ・エンジェル隊は、援軍としても派遣されます。
英軍とともに迎え撃ちますが、猛攻に耐えきれず最終的には撤退。旧日本軍が、この地域を奪取する結果となりました。やがて太平洋戦争が始まると、アメリカと日本は正式に宣戦布告状態となり、もはや“義勇兵”を名乗る必要もなくなりました。
また戦闘のダメージも大きかったため、部隊には解散が言い渡され、メンバーはアメリカ本軍へ合流したり、退役したりと、それぞれに散って行きました。
⑤【プレトリアン・ガード】〜ローマ皇帝親衛隊〜
古代ローマの皇帝アウグストゥスが創設した、皇帝直属の近衛兵団です。同時代においては、皇宮やローマ市内への常時駐屯が唯一、許されていた軍とも言われています。
ローマ軍の中でも、選りすぐりのメンバーで構成されたエリート部隊で、本拠の防衛を担うとともに、数々の戦いにも出陣し、多くの戦果を挙げたと伝えられます。
ところが、その権威は時が経つほどに増し続け、アウグストゥスが死去したのち、政局にまで影響する集団となって行きます。皇帝の後継者争いに、彼らの意向が反映されるなど、たびたび政局の火種となってしまいました。
皇帝の方が逆に気を遣うこともあったと言い、本来は守護する親衛隊のハズが、本末転倒な歴史を歩んだとも、言える組織かも知れません。
ファンタジーにも劣らないカッコよさ
このように、思わず心を揺さぶられる組織や集団の名前ですが、とくに今回ご紹介した5つは際立つカッコよさがあり、このような名ばかりであれば、仮に歴史の勉強で出てきても、すぐに暗記できてしまいそうですね。
中高時代のテストや受験、大人になってからの興味や教養、いずれにしても堅苦しいイメージよりも、何かしら楽しいものに結びつけて、触れて行きたいものです。