寝かしつけでよくある疑問10個をプロが解決!夜泣き、昼寝ができない、朝4時や5時に起きるお悩みなどに
赤ちゃんが生まれると悩むことの1つが「寝かしつけ」。
可愛くて大事な赤ちゃんだからなるべく泣かせたくはない、けれどもどうしても泣いて泣いて寝てくれない…ということも多いですよね。
そんな寝かしつけのよくあるお悩み、
- うつ伏せ寝が心配!
- 指しゃぶりはやめさせたほうがいい?
- 背中スイッチがひどくておろせない
- 授乳での寝かしつけをやめたい
- パパの寝かしつけは「イヤ!」と寝てくれない
- 昼寝をさせても30〜40分で起きてしまう
- 夜中に頻繁に起きて泣く
- 毎朝4時や5時に起きて泣いてしまう
- ねんねトレーニングはどのくらいで効果がでる?
- 泣かせっぱなしは愛着形成に影響があるのでは?
以上の10個をとりあげて、乳幼児睡眠の専門家であるねんねママがお答えしていきます。
①うつ伏せ寝が心配!
「窒息や乳幼児突然死症候群予防のために、赤ちゃんは仰向けに寝かせましょう」という注意事項を聞いたことがある方も増えているかもしれません。アメリカ小児科学会は、安全のため1歳になるまでは仰向けに寝かせることを推奨しています。
しかし、気づいたらすぐにひっくり返ってしまう赤ちゃん…心配ですよね。実際、うつ伏せ寝のほうが寝やすい子も多くいます。
もし寝返りがえりができていれば、無理に戻さなくてもOKです!アメリカ小児科学会も寝返りがえりがスムーズにできれば、自分の寝やすい姿勢を維持できると追記しています。
寝返りがえりをマスターするまでは、かためのマットレスにシーツをピンと張った安全な環境を整えて、寝返りしているのに気づいたらそっと戻してあげましょう。
寝入りはうつ伏せで、寝た後にひっくり返すなら寝ついて10〜15分ほど経ったタイミングが狙い目ですよ。
参考文献)「SIDS and Other Sleep-Related Infant Deaths: Updated 2016 Recommendations for a Safe Infant Sleeping Environment」Pediatrics November 2016, 138 (5) e20162938;
https://pediatrics.aappublications.org/content/138/5/e20162938
②指しゃぶりはやめさせたほうがいい?
「寝る時にいつも指しゃぶりをしていて心配…」というのはとても多いご質問。癖になってしまうのでは?歯並びに影響が出てしまうのでは?と心配ですよね。
でも指しゃぶりは無理に急いでやめさせなくて大丈夫です!
指しゃぶりや拳しゃぶりは立派な自分をあやす手段です。自分で寝る力を獲得するために指しゃぶりが役立つことも多くあります。指をしゃぶって自分の力で眠りにつけるのであれば、それはとってもねんね上手なことなので直す必要はありません。
小児科と小児歯科の保健検討委員会によると、12ヶ月頃までの指しゃぶりは発達過程における生理的な行為なのでそのまま経過をみて良いそうです。1~2歳頃になると昼間の指しゃぶりは自然に減少してくる傾向にあり、退屈なときや眠いときなど一時的なものになってくるため、神経質になる必要はないとされていますよ。
参考文献)「指しゃぶりについての考え方」小児科と小児歯科の保健検討委員会
③背中スイッチがひどくておろせない
抱っこゆらゆら〜で寝かしつけて、そーっとそーっとおろしても…「ぎゃーん!!」と泣き出す赤ちゃんの察知能力はまるでエスパー。
この高感度の背中スイッチはパパやママの手を焼かせるものの1つです。
この背中スイッチは抱っこからおろそうとするから押されてしまいます。「頭から置くと 良い」「お尻を最後まで持ってゆらしてから置くと良い」など様々な説がありますが、全員に当てはまるものを探すのは難しいもの。色々な方の経験談の中で、お子さんに合う方法が見つかると少し楽になるかもしれません。
根本解決のためには、最初から抱っこではない寝かしつけを練習していくことが大切です。「あなたの寝る場所はここよ〜」と笑顔で話しかけ、抱っこ→おろす→抱っこ→おろすを繰り返すパフォーマンスをする練習から始めましょう。はじめはうまくできず、結局抱っこで寝ることになってしまうかもしれませんが、おりて寝なくてはいけないことを理解してもらうことは抱っこねんねのクセをとる大事な第一歩です。
また、低月齢の赤ちゃんの場合はおくるみをして寝かせることもスイッチの感度を下げるためには有効です。
④授乳での寝かしつけをやめたい
「授乳で寝ているのは悪いことなのではないか…」「やめなきゃいけないと思うけど、やめられません」などというお悩み相談も多くいただきます。
まず一つ断言できるのは、母乳やミルクを飲んだら眠くなるのはいたって普通のことです!飲みながら寝ることそのものが悪いことなわけではないので、あまり神経質になる必要はありません(添い乳の場合は安全確保が大切)。
ただし、飲みながら寝ているクセが原因で夜中にたびたび起きてしまうなどのトラブルがあってママやパパを苦しめている場合は、そのクセをとってあげることがトラブル解消につながる可能性が高いです。
その場合はまず「寝る=飲む」ではないと教えてあげましょう。たとえば、寝る前の授乳を電気がついているリビングで行ったり、授乳のあとに絵本を読むなど別のアクションをいれたりして、最後の授乳と就寝を切り離すのです。
いまは寝るためには飲むことが必要と学習してしまっているだけ。飲む以外の方法で寝られることを知ると、徐々に変化が期待できますよ!
⑤パパの寝かしつけは「イヤ!」と寝てくれない
パパ達を悩ませるのがこの問題。困ったことに、あるあるなんですよね…。
それもそのはず、赤ちゃん達は“いつも通り”が大好き。いつも通りであることに安心して、スムーズに寝つきやすくなるのです。
つまり、いつもママが寝かしつけをしているのに、パパが寝かしつけするのは赤ちゃんたちにとって“非日常”。安心できることではないのです。
パパの寝かしつけが日常になるように、定期的に取り組むことはとても大事なことです。
さらに、チェックしていただきたいのが“ママがいるところでやっていないか”ということ。 慣れたママがすぐそこにいるのにもかかわらず、パパが担当することの意味を赤ちゃんが理解できていないから泣いてしまうのかもしれません。
「今日はパパが寝かしつける!」という日は思い切ってパパに任せて、ママは姿を消してみましょう。ママがいないことがわかっていれば「パパが頼り!」と思ってもらいやすくなります。途中で「やっぱり私が代わる!」などということは避けましょう。それこそ赤ちゃんにとって、やっぱりママでないと寝られないという認識を強めてしまいます。
一度や二度ですぐにママとの差を埋めることは難しいかもしれませんが、「パパでも寝られた!」「俺でも寝てくれた!」という経験は両者にとって一歩前進するための大事な要素になります。
⑥昼寝をさせても30〜40分で起きてしまう
頑張って寝かしつけをしてもあっという間に起きられてしまうと、がっかりすると共にどっと疲れてしまいますよね。
月齢によっては30分程度で起きてしまうことがそんなに短すぎるとは捉えられないケースもありますが、長く寝てもらうためには寝かしつけのクセや光がカギとなるかもしれません。
睡眠の1サイクルは夜だと40〜60分程度ですが、昼はこれがもっと短く30〜40分とも考えられているので、その1サイクルで目が覚めてしまっているのが今の状態でしょう。
抱っこで寝かしつけられた子が、1サイクル経って浅く覚醒したときに「抱っこされていない!」と焦って泣いてしまっている...というイメージです。
その場合、最初から布団におりて寝る練習をしていくことが解決になります。そんなのは無理!と思うかもしれませんが、赤ちゃんは順応性の高い生き物。いまは抱っこされて「ここが寝る場所」と思っているので、その意識を少しずつ変えていきましょう。
もしくはその浅い覚醒のときに「光っているな...起きよう」と光に反応して目覚めてしまっているのかも。暗い部屋で昼寝をすることで解決する可能性もあります。(※真っ暗な寝室での昼寝は昼夜を覚えた生後2〜3ヶ月以降が推奨)
⑦夜中に頻繁に起きて泣く
夜泣きの原因はさまざま、考えられる要因をつぶしていきましょう。
1)スケジュール
連続して長く起きすぎると脳が疲れて感情的になりやすく、ぐずりやすくなります。下記の月齢別の目安も参考に見直してみましょう。
2)睡眠環境
光や音、室温や服装など刺激になって起こしてしまう要因がないか、チェックしてみましょう。寝室は真っ暗が推奨です。リビングなどから光が漏れている場合はカーテンや遮光テープなどを活用して塞ぎましょう。
音が気になる場合はホワイトノイズを。暑すぎや寒すぎも起きる要因になるので、大人よりも少し涼しめの格好をさせてあげましょう。
3)寝かしつけのクセ
もし何も心当たりがないなら、寝かしつけのクセが原因かもしれません。おっぱいを飲みながら寝たはずなのに気づいたらない!また眠るためにおっぱいが欲しい!など、自分だけでできること以外の何かが入眠のクセとなり、浅い覚醒の度にそれを求めて泣いてしまっていることが考えられます。
⑧毎朝4時や5時に起きて泣いてしまう
いわゆる「早朝起き」というトラブルです。原因として考えられる要因をチェックしていきましょう。
1)朝日の光漏れ
赤ちゃんは時計が読めないので、光が差し込んでいると「朝かな?」と起きてしまうこともあるのです。一筋の光にも反応してしまうことがあります。
等級の高い遮光カーテンや遮光マスキングテープなどを活用して、徹底遮光することで対策ができます。
2)寝るのが早すぎる
月齢にもよりますが、本人が寝られる睡眠時間以上の時間を親が期待してしまって、早く寝かせ過ぎてしまうと起こることがあります。例えば18時半に寝ている赤ちゃんが5時ごろに起床しているなら、それはおはようのお目覚めかもしれません。
3)昼寝が長すぎる/短すぎる
昼寝は長過ぎても短か過ぎても早朝起きに影響してしまうので難しいのですが、長すぎると早朝にもう眠くなくなって起床してしまうことが、短すぎると疲れ過ぎた状態で眠るために睡眠が浅くなって起きてしまいやすくなります。
睡眠記録をつけながらベストを探ってみましょう。
4)昼寝〜就寝までの時間が長すぎる
連続で長い時間起きていて疲れ過ぎた状態で眠りにつくと、眠りが浅くなって起きやすくなることが考えられます。前述の表も参考にしながら、疲れすぎないタイミングでの寝かしつけを図りましょう。
5)生活リズムの乱れ
夜の睡眠と朝寝の境界が曖昧になってしまったり、起床と就寝の時間がバラバラになることが乱れの原因になることが多いので、できるだけ毎日同じ時間に起床・就寝し、しっかり日光を浴びて活動してから朝寝に入れると良いでしょう。
6)室温の変化
朝方になるとエアコンが切れることによって起こりやすくなります。スイッチを入れるタイマー機能を活用したり、つけっぱなしにすることによって快適な室温を保ちましょう。
7)騒音
家族が早朝に起きる生活だったり、隣人の生活音やアラーム、始発の走る音などが聞こえたりして起きてしまうことが考えられます。
音が気になる場合は、ホワイトノイズを部屋に流して遮音しましょう。
⑨ねんねトレーニングはどのくらいで効果がでる?
夜しっかり寝られるようになるために「ねんねトレーニングをするといい」などと噂では聞いたことがあるかもしれませんが、「それって赤ちゃんを寝るまで泣かせるんでしょう?」「いったいどのくらい頑張れば効果がでるの?」などと気になることもたくさんあるかもしれませんね。
ひとくちにねんねトレーニングといっても、さまざまなやり方があるので成果が出るまでの時間の長さもさまざま。ファーバーメソッドに代表される部屋に一人にして泣く時間をつくる方法は、1週間続けていれば何かしらの変化は見えてくるほど比較的短期間で変化が見えやすい一方、少なからず泣いてしまうのが特徴。できるだけ赤ちゃんの希望に寄り添う形ですすめるトレーニングはやさしい分、時間はかかる傾向があります。
介入すればするほど長引く傾向にはなりますが、短期間で解決したいのか、時間はかかっても良いからやさしく取り組みたいのか、ご家庭の方針で選ぶことをおすすめします。
⑩泣かせっぱなしは愛着形成に影響があるのでは?
赤ちゃんを部屋に一人にして泣かせるなんて!親のことを信じられなくなってしまいそう…などと心配にもなりますよね。
でも大丈夫、愛着形成に問題はありません。2012年にオーストラリアの研究者たちがねんねトレーニングの長期的な影響についての研究を発表しているのですが、その中でねんねトレーニングをしても〝問題行動やストレスレベルに差がなかった〟という結果が報告されています。つまり〝愛着形成に悪影響はなかった〟ということになります。
もちろん、おなかがすいた、おむつが気持ち悪いなど理由があって泣いている場合は速やかに対応してあげることが愛着形成につながります。
参考文献)
Anna M H Price , Melissa Wake, Obioha C Ukoumunne, Harriet Hiscock “Five-year follow-up of harms and benefits of behavioral infant sleep intervention: randomized trial.” Pediatrics Oct;130(4) P643-51(2012)