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上司に「頑張ってください」は失礼!なぜダメ?ビジネスシーンで言い換えるなら?

おやさいなおライター/正しい日本語レッスン

ビジネスシーンで、「この言い回しって目上の人に使っていいのかな?」と疑問に思うことってありますよね。たとえば、「頑張ってください」。これ、実は目上の人に敬語として使うのはNGなのですが、知らなかった人も多いのではないでしょうか。

そんな人も、この記事を読めばもう大丈夫!なぜ「頑張ってください」は敬語として使えないのか、そして、上司や取引先の人などにも使える「頑張ってください」の言い換え例について、解説していきます。

なぜ「頑張ってください」は敬語として使えない?

たとえば後輩や同僚に「頑張ってください」と言われても気にならない人もいるかもしれません。しかし、「頑張ること」を目上の人に強いるような表現は厳密には失礼にあたり、敬語として使うのはふさわしくないのです。

まず、「頑張る」とは下記のような意味です。

1 困難にめげないで我慢してやり抜く。「一致団結して—・る」
2 自分の考え・意志をどこまでも通そうとする。我 (が) を張る。「—・って自説を譲らない」
goo辞書より一部抜粋 

「頑張ってください」と言うと「大変でもやり抜いてくださいね」「努力して耐えてくださいね」といった、やや上から目線のニュアンスになってしまうのです。したがって、目上の人に使うのは避けた方がベターです。とくに、かなり立場が上の人や礼儀に厳しい人には使わないよう注意しましょう。

「頑張ってください」を言い換えるなら?

それでも、目上の人が何かをするとき「うまくいってほしい」と思うことはあると思います。先述のとおり「頑張ること」を強いることはできませんが、その気持ちをどう表現すれば目上の人にも使えるのか、言い換え例をお伝えしますね。

①相手を応援する表現

<例>

上司「今日はこの後A社と商談だよ」

自分「そうなんですね!うまくいくよう、私も陰ながら応援しております

②相手の成功を祈る表現

<例>

上司「今日はこの後A社と商談だよ」

自分「そうなんですね!私もうまくいくように祈っております

また、独立・異動・転職する人への寄せ書きなどにも使えます。

・「新天地でのさらなるご活躍を祈念しております

・「Aさんの今後のご成功をお祈り申し上げます

単に「商談頑張ってください」「これからも頑張ってください」と表現してしまうより、丁寧で知的な印象になりますよ。

おやさいの余談メモ~あなたらしい気遣いを~

①②とはややニュアンスが変わりますが、相手を気遣ったり、相手に共感したりする表現が「頑張ってください」の代わりになることもあります。

<例>

取引先の担当者「今日はこの暑い中ずっと外回りなんですよ」

自分「大変ですね。無理はなさらないでくださいね

ほかにも「ご自愛ください」「お身体に気を付けて」などがあります。これらは①②と併せて使うこともできますよ。ぜひ、あなたらしい気遣いの言葉を考えてみてくださいね。

また、同じように相手の身体を気遣うものでいえば「お疲れの出ませんように」という表現もあります。こちらも正しい表現ですが、葬儀でもよく使われる表現のため、相手が葬儀以外でも使うことを知らない場合は、違和感をもたれてしまうかもしれません。そのため、もともと相手もよく使っている場合などでないかぎりは避けた方が無難でしょう。

今日からは、目上の人にふさわしい言葉遣いで気持ちを伝えてみてはいかがでしょうか。あなたが使う言葉の引き出しが、少しでも増えたら幸いです。

ライター/正しい日本語レッスン

<<明日から職場で使える正しい日本語の知識をわかりやすく発信中>>国語・日本語好きのWebライター。ビジネス敬語や日本語の「あれ、なんだっけ?」「これ、どうしたらいいの?」を1つでも多く解決できるよう、活動していきます。元編集者。校正実務講座修了済。趣味はイラストと語彙力アップ。【保有資格】中学・高校の教員免許(国語)。

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