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復帰目前のMVPが、リハビリ出場で打ちまくる。2試合で8打数5安打。ホームランと二塁打が2本ずつ

宇根夏樹ベースボール・ライター
ブライス・ハーパー(フィラデルフィア・フィリーズ)Jun 23, 2022(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 昨シーズンのナ・リーグMVP、ブライス・ハーパー(フィラデルフィア・フィリーズ)は、6月下旬から故障者リストに入っている。死球により、左手の親指を骨折した。

 だが、復帰は近い。8月23日から、ハーパーはAAAでリハビリ出場を始めた。そして、1打席目のホームランを皮切りに、打ちまくっている。この日の5打席は、ホームラン、四球、三塁ゴロ、四球、ホームラン。1本目はライト、2本目はレフトへ打ち分けた。続いて、翌日の5打席は、シングル・ヒット、二塁打、三振、二塁ゴロ、二塁打だ。最後の一打は、チームにサヨナラ勝ちをもたらした。

 2試合で8打数5安打。10打席中7度の出塁だ。この結果もさることながら、リハビリ出場にもかかわらず、途中で退いていないところが、ハーパーらしさを感じさせる。1試合目には、アウトになったものの、二盗も試みた。2試合目に打った1本目の二塁打も、打球は外野手の間を抜けていない。リハビリ出場であることを踏まえれば、一塁で止まっていてもおかしくなかった。

 ちなみに、チームメイトと同じく、ハーパーもAAAのユニフォームを着ていたが、ヘルメットはAAAではなくフィリーズのものだった。

 MLB.comのトッド・ゾレッキーらによると、当初の予定では、ハーパーは8月27日までAAAでプレーし、29日に復帰するはずだった。けれども、復帰は前倒し。26日にメジャーリーグへ戻ってくるという。骨折前と同じく、守備にはつかず、DHとして出場する。

 フィリーズは、ワイルドカードの2番手に位置しているが、ポストシーズンに進めるかどうかは、まだわからない。1番手には8ゲーム差をつけられていて、3番手とは2ゲーム差。ポストシーズン進出圏外の4番手とも、3.5ゲームしか離れていない。

 フィリーズのポストシーズン進出は、2011年が最後だ。ナ・リーグでは、最も遠ざかっている。ハーパーは、ワシントン・ナショナルズ時代に4度のポストシーズンを経験しているものの、いずれも最初のディビジョン・シリーズで敗退した。ハーパーは、2018年のオフにナショナルズからFAになり、同地区のフィリーズと13年3億3000万ドル(2019~31年)の契約を交わした。ナショナルズは、ハーパーがいなくなった最初の年に、ワールドシリーズで優勝した。

 なお、ハーパーは、2015年にもMVPを受賞している。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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