絶対に食べておかねばならない 大阪のたこ焼「基本」3軒
生粋のたこ焼好きであるフードジャーナリストが厳選する
たこ焼が好き過ぎてたまらない。子供の頃から今に至るまで、好きな食べ物を聞かれたら、5本の指に必ず入るほど大好きだ。もちろん幼少期から自宅にはたこ焼器があり、週末などになるとたこ焼を焼いて食べたものだ。今でこそたこ焼はホットプレートなどでも焼けるが、筆者が子供の頃にはそんな便利なものはなく、ガスで焼くたこ焼専用の器械が家にあったのだ。
しかし残念なことに、東京で生まれて横浜で育った筆者は、大阪には縁もゆかりもない。だから子供の頃は大阪の地に憧れていた。いつか大阪に行って本物のたこ焼を食べるのだと。その願いは小学生の時に家族旅行で叶うのだが、道頓堀の屋台で初めて食べた大阪のたこ焼にはとても感動した。
それ以来、仕事やプライベートで大阪を訪れるたびに、必ずたこ焼店には何軒か足を運び続けている。いつしかフードジャーナリストを生業にするようになってからも、仕事的な目線よりも一たこ焼好きとして食べ歩きを続けてきた。
今回は幼少期より大阪のたこ焼をこよなく愛し、今も食べ歩くフードジャーナリストの筆者が、個人的に何度もリピートしている基本中の基本とも呼ぶべき3軒をご紹介しよう。大阪のたこ焼食べ歩きには欠かすことが出来ない人気店ばかりだ。
小ぶりのサイズに大きなタコ『大たこ』(1972年創業)
創業は1972(昭和47)年と、半世紀にわたり道頓堀で愛され続けている人気店が『大たこ』(大阪府大阪市中央区道頓堀1-4-16)。以前は太左衛門橋の南側で屋台として営業をしていたが、大阪市より不法占拠と訴えられて敗訴し、2010年からは近隣のビル1階へと移転。入口部分に往時を彷彿とさせる屋台風の焼場を設置して変わらぬ雰囲気を出しているほか、イートインスペースも出来たことで利用しやすくなっている。また、法善寺横丁内にも店舗を構えている。
『大たこ』のたこ焼は昨今の流行から比べると小さめのサイズ。しかしながら店名通り入っているタコが大きい。熱々のたこ焼を頬張れば、中から出汁の旨味とタコの旨味が広がってくる。周りをしっかりと焼いているにもかかわらず、柔らかくフワッとした食感なのは長年の歴史から生み出された技。何を隠そう、筆者が小学生の時に初めて食べたのが創業間もない屋台時代の『大たこ』。その美味しさは大人になった今も変わることがない。
世界にも認められた人気店『たこ焼道楽 わなか』(1961年創業)
笑いの殿堂『なんばグランド花月』の隣で、連日長い行列を作る人気店が『たこ焼道楽 わなか 千日前本店』(大阪府大阪市中央区難波千日前11-19)。創業は1961(昭和36)年だが、開業当初は菓子店として営業している店の軒先でたこ焼を焼いていたという。現在は大阪で10店舗営業しており、京都や福岡、大分にも店舗を展開。「ミシュランガイド京都・大阪」にビブグルマンとして掲載もされる人気店だ。
大ぶりのサイズのたこ焼は周りがカリッとしつつも中はトロトロ。生地そのものがしっかり旨味を含んでいるので、そのまま食べても美味しいが、ソースはもちろん釜炊き塩で食べるファンも多い。柔らかな生地と刻まれた塩生姜や天かすのクリスピーな食感とのコントラストも楽しい。熱々でトロトロなので慌てて食べると火傷すること必至。常に行列が出来ているが、同時に複数の鉄板で焼いていくので回転は早い。
梅田で70年愛されるソウルフード『はなだこ』(1950年創業)
JR東海道本線と大阪環状線のガード下に、1950(昭和25)年に開業した『新梅田食道街』の入口に店を構える『はなだこ』(大阪府大阪市北区角田町9-26)は、70年以上もの間愛され続ける老舗。ターミナル駅である大阪梅田に直結していることもあり、地元客やキャリーバッグを持った観光客で常に賑わいをみせている。屋台スタイルでテイクアウトがメインの店舗ながら、細長いカウンターでは立ち食いも可能だ。
大きめのサイズのたこ焼は高温で一気に焼き上げることで周りはふんわり、中はとろりとした食感に。火傷に気をつけながらかぶりつけば、中からみずみずしい大きなタコが顔を出し、生地の美味しさとタコの旨味が重なり合う。「ねぎマヨ」はたこ焼が隠れるほど豪快にネギが盛られる人気の一品だ。
今回ご紹介した3軒は、いずれも半世紀ものあいだ地元の人たちに愛され続ける、大阪のたこ焼を語る上で欠かせない名店ばかり。他にもまだまだ美味しいたこ焼店は大阪にたくさんあるので、まずはこれらの基本の3軒を食べてから自分好みの店を探して欲しい。
※写真は筆者によるものです。
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