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センバツ選考会36校徹底予想~2~ 近畿の神宮枠は公立2校の争いか?

森本栄浩毎日放送アナウンサー
毎年、難航する近畿は神宮枠でどこが浮上するか。21世紀枠も大混戦だ(筆者撮影)

 センバツ出場36校予想の2回目。今回は近畿以西と21世紀枠を予想する。近畿の選考はいつも難航するが、昨年に続き、神宮枠獲得によって増枠となった。21世紀枠は9校が横一線で、選考会当日のプレゼンテーションが大きくモノを言う。

近畿(7) 神宮枠は高田商と社の争いか?

 大阪桐蔭の神宮大会連覇により、神宮枠を加えて7校が選出される。4強は安泰で、準々決勝の試合内容から不利とみられた高田商(奈良)と(兵庫)にもチャンスが出てきた。上位は名門校が名を連ねる。2度目のセンバツ連覇が懸かる大阪桐蔭は、世代ナンバーワン左腕の前田悠伍(2年=主将)が絶対的エースとして君臨する。投打にどこまで前田の負担を軽減できるかが連覇へのカギだ。報徳学園(兵庫)は、エース・盛田智矢(2年)と堀柊那(2年=主将)のバッテリーを中心に、堅実な試合運びができる。例年以上に打線が力強く、上位進出も期待できる。智弁和歌山は、青山達史(2年=主将)を軸にした伝統の大型打線が看板で、左右の好投手がいる。古豪・龍谷大平安(京都)は、技巧派の桒江駿成(2年)に安定感が増し、4強入りの原動力となった。準々決勝敗退組からは、投打にハイレベルでまとまる履正社(大阪)の戦力評価が高い。彦根総合(滋賀)は大阪桐蔭に食い下がり、地域性もプラスされるだろう。現状、33校の一般枠で唯一の春夏甲子園初出場となりそうだ。最後の1枠は、以前にも述べた通りで、地域性で高田商がわずかに上回るか。

中国(2.5) 3番手予想の鳥取城北が抱き合わせ枠に浮上か?

 広陵(広島)が圧倒的な強さを見せた。主砲の真鍋慧(2年)は神宮大会でも2本塁打を放つなど、世代最強スラッガーの呼び声高い。投手陣も右腕・高尾響(1年)、左腕・倉重聡(2年)が安定し、本大会でも大阪桐蔭、仙台育英(宮城)と並ぶ優勝候補に推されるだろう。決勝で広陵に大敗したが、(山口)のセンバツ初出場も有力だ。エース・升田早人(2年)は、140キロを超える速球と変化球のコンビネーションが冴え、中国大会4試合を一人で投げ切った。準決勝で広陵に打撃戦の末、惜敗した鳥取城北が、四国との比較対象となる3番手に浮上するか。エース・新庄空(2年)が終盤に息切れして金星を逃したが、最後まで互角に戦った。高川学園(山口)は準決勝で光との同県対決に1-2で惜敗した。地域性も含め、わずかに及ばないか。

四国(3.5) 香川勢のワンツーで3、4番手の順位付けは難航か?

 3枠が確定。英明高松商の香川勢が32年ぶりのワンツーで、アベック出場を確実にしている。多彩な投手陣の英明は、横手投げ右腕の下村健太郎(2年)がエースに成長。ナチュラルに変化する直球を散らし、凡打の山を築く。打線も神宮大会の山梨学院戦で一挙6得点するなど、つながりがいい。昨夏甲子園8強の高松商は、甲子園でも投げた187センチ左腕の大室亮満(2年)が経験豊富。浅野翔吾(巨人入団)の抜けた打線は小粒になったが、甲子園でも中軸を打った久保慶太郎(2年)らが牽引する。出場確定となる3番手、中国との比較になる4番手の順位付けは難しい。英明に2-4で敗れた高知は、センバツのマウンドを経験している中嶋奏輔(2年)らの継投策で、投手陣に柱が欲しい。一方の鳴門(徳島)は、右横手投げのエース・真鍋至憧(2年)が四国大会2試合を完投した。両校とも昨春のセンバツを経験しているが、4番手は中国との比較で選に漏れる可能性がある。上と下の差は大きい。

九州(4) 長崎から初の2校出場が濃厚、4強で確定か?

 沖縄尚学が地元開催で地の利を生かし、優勝した。速球が武器のエース・東恩納蒼(2年)は、神宮大会で仙台育英を完封するかと思われたが、最終回に力尽きた。打線は1番の知花慎之助(2年)が勢いをつける。続くのは長崎勢。準優勝した長崎日大は、決勝で本塁打を放った豊田喜一(2年)、昨センバツでもレギュラーだった平尾大和(2年=主将)らが好機に強い。投手力の強化がポイントだろう。昨夏甲子園で2勝した海星は、予選1位校相手に1点差勝ちを重ね、4強入りした。三塁手から捕手に転向した田川一心(2年=主将)や堅守の二塁手・峯蒼一郎(2年)ら、大舞台を経験した選手が残っている。長崎勢の複数校出場は史上初の快挙となる。大分商は多彩な投手陣が看板で、抑えの右横手投げ・飯田凛琥(りく=2年)は、ピンチで力を発揮する。本番でも強心臓ぶりを見せてくれるだろう。準々決勝は1点差試合が相次ぎ、各校間の力量差は小さいが、九州は準決勝がよほど極端な内容にならない限り、4強進出校で決まることが通例だ。

21世紀枠(3) 東日本勢に有力校目立つ

 東日本5校に有力校、話題校が目立つ。地区大会で勝利している由利(東北=秋田)と氷見(北信越=富山)は投手力も良く、全国大会でも十分に対抗できるだろう。稚内大谷(北海道)は最北端の私立校で、厳冬に耐え甲子園をめざす姿に地元の期待も大きい。木本(東海=三重)は、多雨で知られる熊野市にあり、部員13人ながら好投手を擁する。石橋(関東=栃木)は3度目の地区推薦で、文武両道の名門として知られる。西日本勢では、小野(近畿=兵庫)と高鍋(九州=宮崎)の戦力が充実している。城東(四国=徳島)は女子マネージャーがノッカーを務め、12人の部員をサポートするなど、チームに一体感がある。神辺旭(中国=広島)は、練習に工夫を凝らし、グラウンドや練習時間のハンディを克服してきた。東、西からそれぞれ1校。地域を問わず1校の、計3校に吉報が届く。

21世紀枠は全国の球児に夢を与える

 21世紀枠に関しては、当日のプレゼンテーションに大きく左右される。それだけに、選ぶ側の責任は非常に重く、現状、9校は横一線としておく。全国の高校で、甲子園に出られるのは全体の100分の1に過ぎない。選ばれた学校には、日々、地道に努力している球児たちにも、夢や希望が持てるような活躍を期待している。

毎日放送アナウンサー

昭和36年10月4日、滋賀県生まれ。関西学院大卒。昭和60年毎日放送入社。昭和61年のセンバツ高校野球「池田-福岡大大濠」戦のラジオで甲子園実況デビュー。初めての決勝実況は平成6年のセンバツ、智弁和歌山の初優勝。野球のほかに、アメフト、バレーボール、ラグビー、駅伝、柔道などを実況。プロレスでは、三沢光晴、橋本真也(いずれも故人)の実況をしたことが自慢。全国ネットの長寿番組「皇室アルバム」のナレーションを2015年3月まで17年半にわたって担当した。

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