北朝鮮版ATACMS短距離弾道ミサイル2回目の発射
8月16日、北朝鮮の南東部にある江原道通川郡から2発の飛翔体が日本海に向かって発射されました。韓国軍の観測では水平距離230km、最大高度30km、最大速度マッハ6.1の短距離弾道ミサイルと推定されました。翌8月17日に北朝鮮は写真を公表。それは6日前の8月10日に初めて発射された北朝鮮の「新型兵器」と同じ物であり、アメリカのATACMSに酷似した短距離弾道ミサイルでした。
【関連】北朝鮮がATACMSに酷似した新型短距離弾道ミサイルを公開(2019年8月11日)
北朝鮮版ATACMSは8月10日の発射の際には水平距離400km、最大高度48km、最大速度マッハ6.1と韓国軍によって観測されています。8月16日の発射がこれより射程が短いのは高度を更に低くした条件変更によるものでしょう。様々な発射条件を試して実戦配備に向けたデータを着実に取っています。
その飛行性能や公開写真から北朝鮮版ATACMSは本家アメリカ版よりかなり大型化されており、イスカンデルより若干小さい程度の大きさだと考えられます。ただし操舵翼は本家ATACMSより逆に小さくなり形状もむしろイスカンデルのものに似ており、ミサイルの大型化によって速度が大幅に増したので強くなった衝撃波から操舵翼を保護するために仕様を変更した可能性があります。北朝鮮版ATACMSと本家アメリカ版との共通点はミサイル弾体の大まかな形状と発射車両の形式だけで、実は異なる点が多いと言えます。
2019年に北朝鮮はこれまで8回2発ずつ合計16発の弾道ミサイル発射試験を行いました。
- 5月4日 イスカンデル短距離弾道ミサイル×2(1発は失敗)
- 5月9日 イスカンデル短距離弾道ミサイル×2(夕方に発射)
- 7月25日 イスカンデル短距離弾道ミサイル×2
- 7月31日 大口径誘導多連装ロケット×2
- 8月2日 大口径誘導多連装ロケット×2
- 8月6日 イスカンデル短距離弾道ミサイル×2(西部から発射)
- 8月10日 ATACMS短距離弾道ミサイル×2
- 8月16日 ATACMS短距離弾道ミサイル×2
明確な失敗は1つしかなく、全て新型ミサイルの試射としては驚異的な成功率となっています。