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女性の8割が「姿勢のよさ」を重視 ビジネスに外見はどれくらい影響する?

石川慶子危機管理/広報コンサルタント

 20代から60代997名(男性504、女性493、2019年6月28日~7月5日)に対して、ビジネスコミュニケーションの観点からウェブアンケートを実施しました。日常的なコミュニケーションで外見をどの程度重視するかといった観点と組織内広報活動との関連といった観点からの2回に分けて内容を解説します。1回目の今回は、外見とビジネスコミュニケ―ションの影響に焦点を絞ります。

女性の8割が「姿勢のよさ」を重視

 今回の調査は、帝京大学専任講師の吉野ヒロ子氏と筆者が実施しました。実施の背景は、広報やリスクといった観点から外見や印象についての先行研究が少ないことから数字を出すことに意義があると感じたからです。調査の概要は次の通りです。

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 ビジネスにおける外見の影響度について聞いてみました。具体的数字は下記の図の通りですが、「就活や転職の面接で、採用担当者の身だしなみや振る舞いがよいとその企業に入りたいという気持ちが高まる」「プレゼンの成否には担当者の身だしなみや振る舞い方も影響する」「企業のトップが魅力的だとその企業も良い企業であるように感じられる」「姿勢がよいと自信に溢れている印象を相手に与えることができる」「清潔感のある髪型やメイク、服装はビジネスを円滑に進める効果がある」という設問に対して、自分の考えに「よく当てはまる」「あてはまる」と答えた人がいずれも女性が70%以上、男性が60%以上と女性の方が重視しているのは予想通り。特に女性の場合には「姿勢のよさ」を8割が重視していたことは着目点となります。女性からの好感度を上げるには姿勢をよくすることがポイントになりそうです。また、「仕事がきちんとできていれば職業や立場にふさわしい服装や振る舞い方をしなくても問題ない」は、男性が20.8%、女性が13.8%。男性の方が外見に甘い傾向があるけれど8割近くの人が、「職業や立場にふさわしい服装や振る舞い方は大事」と考えていることになります。

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<ビジネスに外見が影響すると回答した方のコメント>

・(56歳男性)いけないことではあるが、(外見の)印象というものでその先の話の進み具合が変わってしまう。

・(29歳男性)よく内面が重要と言われるが、ファーストコンタクトの印象が後々重要なことが多い

・(51歳女性)影響すると思う。それに気を遣う姿勢が、仕事内容や相手に対する思いやりなどに通じると思うから。

ビジネスに影響する外見リスクは3割

 ビジネスにおいて外見が影響すると多くの人が考えていることは確認できましたが、行動にはどう影響しているのでしょうか。具体的に外見が原因で疎遠にした経験があるかどうかといった設問を用意して確認をしたところ、全体で3割の人が疎遠にした経験があると回答しています。年代別では若い人が多くて60代以上が結構少ないという結果でした。性別では差がありませんでしたが、差がないことが重要です。他の外見に関する意識を聞くと、男性の方がゆるいのに、外見が理由で切った経験は男性も女性も変わらない。つまり、男性は女性よりも口では外見は関係ないと言いつつ、女性と同じくらい外見が不快な人との関わりを断っているということになるからです。年収別でみると、年収が1200万以上の人は5割の人が外見が原因で疎遠にした経験があると回答しています。1200万以上の回答者がそもそも少ないのでそこは考慮すべきですが、ここから言えることは、年収が高い人とビジネスを進める際には、外見をおろそかにするとビジネスチャンスを逃すリスクが50%あるということ。また、コメントを見ると、実際の忌避行為の要因には「におい」について言及されていることが多く、回答者は、「におい」も含めて外見ととらえていることがわかります。

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※グラフでは小数点以下第2位を四捨五入しているため、合計しても必ずしも100とはなりません

<外見が原因で忌避経験ある人のコメント>

・(50歳男性)ある案件で取引前の資料のすり合わせで役所や司法書士事務所などを訪問する際、車で移動したのですが、その人の着ている「ジャンパー」があまりにも超カジュアルすぎて場違いな感じな、いで立ち。。。、しかも余り洗ってないような感じの臭いが車内に充満。。。スーツ姿の私たちはネクタイを緩めたと同時に車窓全開。。

・(47歳女性)同僚のフケがとにかくすごくて一緒にランチしなければならないのが苦痛だった。カーディガンの脇に穴があいてて注意できないまま早何年…

・(26歳女性)生まれつきの匂いではなく、お風呂入ってないとか洗髪してないとかだったので、して当たり前の事をしないのは人間性の問題だと思い、関わるのを辞めてしまった。言いにくい事なのでみずから気づいて欲しい。

 「外見がよいと思うポイント、残念だと思うポイント」という質問に対して、優れている点、損をしている点、男女ともに1位が「服装や身だしなみ」2位が「姿勢や体型」。1、2位の順番には違いがなく男女ともに同じ項目でした。男女ともに全身を見ており、そこを重視していることがわかりました。女性と明らかに違ったのは、男性は損をしている項目として「におい」が4位になったこと。男性は「におい」で損をしている人がいるといえます。これは、先ほどの忌避行為についてのコメントと合わせてみても納得できます。

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 私が個人的に実施している第一印象の調査では、「表情」や「声」が上位になりますが、今回は職場においてという設問でしたので、これは第一印象ではなく日常的なビジネスコミュニケーションにおける数字であることも留意してみる必要があります。なお、私が提唱している外見リスクマネジメントにおける外見とは、「表情や声」「服装や着こなし」「姿勢や体型」「歩き方やしぐさ」「髪型やメイク」であり、生まれつきの要素ではありません。外見リスクマネジメントは、自分はこう見られたいと思っているのに、相手からはそう見えていないギャップがある状況を外見リスクととらえ、自分の見られたい姿になることを外見リスクマネジメントと定義しています。今回の調査から、外見に「におい」を含めて回答する人がいたこと、身にまとうという意味からも外見を構成する要素に「におい」を追加することを検討したいと考えています。

 下記対談動画も参考にしてください。

「外見リスク」(リスクマネジメント・ジャーナル)*

*「リスクマネジメント・ジャーナル」は、記者会見解説やリスクマネジメント視点を磨く目的で日本リスクマネジャー&コンサルタント協会(RMCA)のチャンネルとして2018年5月から開始。今回は、ヤフーロッジスタジオにて収録。撮影・編集は、相馬清隆(RMCA理事/事務局長)。

吉野ヒロ子氏略歴

帝京大学文学部社会学科専任講師(広報論・広告論)。博士(社会情報学)

内外切抜通信社特別研究員、日本広報学会理事。博士論文「ネット炎上を生み出すメディア環境と炎上参加者の特徴の研究」、『つながりをリノベーションする時代』(弘文堂・共著)ほか。「ネット『炎上』における情報・感情拡散の特徴‐Twitterへの投稿データの内容分析から‐」(共著)は日本広報学会2018年研究奨励賞を受賞。

危機管理/広報コンサルタント

東京都生まれ。東京女子大学卒。国会職員として勤務後、劇場映画やテレビ番組の制作を経て広報PR会社へ。二人目の出産を機に2001年独立し、危機管理に強い広報プロフェッショナルとして活動開始。リーダー対象にリスクマネジメントの観点から戦略的かつ実践的なメディアトレーニングプログラムを提供。リスクマネジメントをテーマにした研究にも取り組み定期的に学会発表も行っている。2015年、外見リスクマネジメントを提唱。有限会社シン取締役社長。日本リスクマネジャー&コンサルタント協会副理事長。社会構想大学院大学教授

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