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ノルウェーとフィンランドでマスク着用要請へ、子どもは対象外 スウェーデンでは?

鐙麻樹北欧・国際比較文化ジャーナリスト|ノルウェー国際報道協会理事
13日ノルウェー・オスロのメトロ駅、マスク着用者はまだ少なめ 撮影:あぶみあさき

フィンランドでは

8月13日、フィンランド政府は、ソーシャルディスタンスが難しい大部分の地域でのマスク着用を要請すると発表した(政府公式HPフィンランド公共局YLE

フィンランドの国立健康福祉研究所THLはマスクの効果は未だに科学的根拠がそれほど強くはないことを強調しながらも、正しい装着方法であれば感染リスクを下げる追加対策になるとしている。

マスク着用を推奨されているのは

  • 公共交通機関で他者との距離を取りにくい時
  • 検査結果待ちや自宅待機中で緊急の用事で外出しないといけない時
  • 自宅待機義務のある国からフィンランドに到着した場合、空港から自宅まで移動する場合
  • 安全な距離をとりにくい状況

15歳未満のマスクの使用は推奨されない。

THLは布マスクは60度で洗濯をするか、洗剤を多少加えて5分間は煮沸消毒をするように呼び掛けている。

翌日にノルウェーも

8月14日、ノルウェー政府は記者会見で、17日からマスク着用を要請すると発表した。

現時点で要請期間は2週間で、状況に応じて要請を続行するかはその後決める(政府公式HP)

対象と条件

  • 全国各地ではなく、対象は首都オスロとインドレ・オストフォルド地域が生活・通勤圏の人々
  • 公共交通機関が混雑し、1メートルのソーシャルディスタンスが保てない場合
  • 小学生から小学生以下の子ども(13歳未満)のマスクの使用は推奨されず、2歳以下の子どもはマスクは使用するべきではない
  • 感染者や感染の疑いのあるものが医療機関・自宅間を移動する場合
  • 自宅待機義務のある国からノルウェーに到着した場合、空港から自宅まで移動する場合
  • 職場で対面の会話が避けられない場合など
  • マスク1枚の使用時間は最高4時間まで

どのようなマスクが使えるのか

  • 使い捨てマスク、布マスク、手縫いでも購入したマスクでも使用可能
  • 1度しか使えない医療用マスクより布マスクのほうが経済的で環境対策にもなる
  • 使用した度に洗う
  • 最低でも60度のお湯で洗うことができる素材でできたもの

マスクよりも1m距離のほうが予防効果がある

「マスクの予防効果は40%ほどで、1メートルの距離を他者ととるほうが感染予防対策効果は80%ある。マスクよりも距離をとるほうがより重要」、「マスクは、手洗いや1メートル距離などの感染予防対策と置き換えることはできず、補充対策でしかない」と保健大臣や保健局は強調した。

マスクを正しく着用していない人が多いため、保健局は布マスクの作り方も含めて情報周知をしていく。

ノルウェー公衆保健研究所FHIは、「ノルウェーで週に100人の新規感染者が発生した場合、同じ状況を防ぐためには20万人がマスクを使用する場合がある。週に1000人の新規感染者が発生した場合、同じ状況を防ぐためには2万人がマスクを使用する場合がある。感染率が低い状況下ではマスク着用の効果は低い」と説明した。

子どもと接する教育者などが子どもから感染する確率は高いのか?子どもは感染しにくく、他者に感染させる確率も低いためにマスク着用にはあまり効果がない。これはスウェーデンですでに事例があり、ノルウェー保健局は心配しすぎないように記者会見で求めた。

参照:ノルウェー公共局NRKノルウェー公衆保健研究所FHI

スウェーデンでは

北欧5か国でマスク着用の要請も義務化もまだ行っていないのは、スウェーデンのみとなった。

現地では着用推奨を求める声もあり、議論は起きている。

フィンランドノルウェーでの着用要請、デンマークでさらに進みそうな義務化対象地域の拡大。ご近所の動向は現地でもニュースになっている。

スウェーデンでも自主的にマスクを着用する人はおり、現地メディアは正しい着用方法の情報周知を増やしている。

北欧でマスク着用がとうとう当たり前の日常となるか

欧州の中でもマスク着用の動きが遅かった北欧地域。

7月末からアイスランドとデンマークが先にマスク着用へと動き、フィンランドとノルウェーが続いた。

スウェーデン以外の北欧諸国のマスク着用・義務化の動きには、欧州や他の北欧の国々からの影響を受けている(ようにしか私には見えない)。

「感染者数が増加傾向にある。他の国はすでにこういう対策をしているのに、なぜ我々の国ではしないのか」という批判の声を無視し続けることは、支持率を維持したい政府にとっても賭けだ。

北欧諸国では、マスク着用の要請・義務化の地域拡大、着用推奨期間の延長もありえる。

スウェーデンが今後どうするのか気になるところだ。

Text: Asaki Abumi

北欧・国際比較文化ジャーナリスト|ノルウェー国際報道協会理事

あぶみあさき。オスロ在ノルウェー・フィンランド・デンマーク・スウェーデン・アイスランド情報発信16年目。写真家。上智大学フランス語学科卒、オスロ大学大学院メディア学修士課程修了(副専攻:ジェンダー平等学)。2022年 同大学院サマースクール「北欧のジェンダー平等」修了。多言語学習者/ポリグロット(8か国語)。ノルウェー政府の産業推進機関イノベーション・ノルウェーより活動実績表彰。北欧のAI倫理とガバナンス動向。著書『北欧の幸せな社会のつくり方: 10代からの政治と選挙』『ハイヒールを履かない女たち: 北欧・ジェンダー平等先進国の現場から』SNS、note @asakikiki

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